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働き方はさまざま!キャリアコンサルに聞いた「自由な働き方」への心構え

最近、“副業”や“多業”、“パラレルキャリア”などといったキーワードを耳にすることが多くなりましたよね。従来の雇用形態にとらわれない自由な働き方は、家庭と仕事を両立させてプライベートを大切にしながら働きたいと考える女性たちからも注目を集めています。しかし、このような自由な働き方にはとても興味があるけれど、何から始めたらよいのかわからず不安、という女性は多いようです。そこで今回は、人材紹介サービスの株式会社Waris代表取締役/共同創業者でキャリアコンサルタントの田中美和さんに、“女性が組織にとらわれずに自由に働くための心構え”を伺いました。

必要なのは、豊富な実務経験と専門性、セルフマネジメント能力

株式会社Warisでは、人事・広報・マーケティング・経理など事務系総合職の経験が豊富なフリーランス女性と企業のマッチングサービスを提供しています。

女性が組織にとらわれずに働くためには、まず何が大切なのでしょうか? 基本的な心構えや求められるスキルについて伺いました。

「まず、大前提として、フリーランスとは“独立したプロである”という心構えが大切です。企業に雇われている社員ではない、という気持ちですね。フリーランス、在宅勤務などというと“気楽そう”というイメージをもたれる方も多いですが、それは大まちがい。職場から離れた環境の中で求められる成果をきちんと達成するためには、時間管理能力・セルフマネジメント能力など“自分を律する”スキルが必須です。

そして、何よりも大切なのが、専門的なスキル・実務経験です。弊社でも、広報・マーケティング・人事などの経験が豊富な人材であることが、フリーランスとして仕事を獲得するうえでの条件となっています。

“経験豊富”であるという目安は、だいたい10年前後。といっても、経験が10年未満だから必ずしもNGという意味ではなく、経験10年くらいの人材が“即戦力になるプロ”として企業から仕事を得やすいということです」

“キャリアブランク”をできる限り短くすること。細く長くでもいいので、継続的に働く

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田中さんによると、経験年数だけでなく、できる限り継続的に働くことも非常に重要なのだそうです。

「離職期間をできる限り短くすることも大切です。我々の業界ではこれを『キャリアブランク』と呼んでいるのですが、妊娠・出産などで退職したら、なるべく間を空けずにたとえ週3日からでも復帰することをお勧めします。

“細く長く”でいいので継続的に働き続けることが、ご自身のキャリアにとってプラスになります。この『キャリアブランク』が長くなりすぎると、復職に向けて一歩踏み出しにくくなる、という心理的なリスクもあるのです」

株式会社Warisでも、子育てなどで多忙な女性社員が家庭と仕事を両立できるよう、フレックスタイム制や時短勤務などの人事制度を設けています。コアタイムは10時~12時の2時間のみとし、子どもが就寝している早朝や深夜などに業務を遂行することもできるそう。

最近ニーズが強いのは“広報・マーケティング” 資格はプラスαになるが経験を積んで

組織に頼らず働くために、士業などの資格取得を目指す女性も多いですが、資格はどれくらい評価されるのでしょうか?

「もちろん、プラスに評価されることも多いですが、何よりも大切なのは“即戦力になる実務経験”です。たとえば、人事の実務経験がある方が社会保険労務士の資格を取得したら、プラス・アルファとして評価されるかもしれません。

まったく未経験の分野へのキャリアチェンジをされる方も多いですし、応援はしています。でも、その場合でも、資格を取得したらまずはどこかに勤めて下積み経験を積んだ方がよいでしょう」

最近とくにニーズが高まっているスキルはありますか?

「広報・マーケティングのニーズが高まっていると感じます。とくに、ウェブ・マーケティング。広告を打つだけで商品が売れる時代は終わったので、自社の商品・サービスを積極的に周知させるスキルをもった人が求められています。社内に広報・マーケティングの人材が不足していたり、いたとしても経験が浅かったりするパターンも多いので、外部のプロを使いたいという企業が増えています」

 

以上、女性が組織にとらわれずに働くためのポイントでしたが、いかがでしょうか?

田中さんによると、フリーランスは保険料なども自己負担なので、会社員時代と同じ報酬を手にしたいなら1.2~1.5倍の収入を獲得するのが目安。この水準を安定的に稼ぐためにはやはり豊富な経験と高いスキルが必要になるので、いずれフリーランスとして働きたいと思っている女性は、早い段階で自分の専門性を定めて経験を積むことが大切だそうです。

【取材協力】

※ 田中美和(たなかみわ)・・・株式会社Waris代表取締役/共同創業者。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラー。国家資格キャリアコンサルタント。1978年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現 日経BP社)入社。編集記者として特に働く女性向け情報誌「日経ウーマン」を担当。これまで取材・調査を通じて接してきた働く女性の声はのべ3万人以上。女性が自分らしく前向きに働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年株式会社Waris設立。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会共同代表理事

2017/4/14 BizLady掲載

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