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メモればOK…じゃない!? 会議の記録係「書記」のポイント【踊らず進む!会議のお作法】vol.5

“言った・言わない問題がなくなる”“やむを得なく欠席した人への共有”――会議中に記録しながら終了後に参加者に配布する“議事録”は、大人数の会議はもちろん、たとえ4人程度の少人数会議であっても、大切な“エビデンス”として欠かせないものになります。

会議にまつわるあれこれをチームビルディング・コンサルタントの尾方僚さんに教えていただく【踊らず進む!会議のお作法】、vol.5の今回は“書記”の役割と仕事をやり遂げるためのポイントについてお話をうかがいました。

「書記」がやってはいけないことは?

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突然ですが、質問です。

Q.会議の書記として議事録を作るときに、 “決してやってはいけないこと”は以下のうちどれでしょうか?

a.会議中に発言しない

b.会議室にPCを持ち込む

c.議事録に自分のコメントを挟み込む

こう並べると、何だかどれもやってはいけないこのように思えてきますよね。

気になる答えは……

A.ズバリ、「c.議事録に自分のコメントを挟み込む」です。

では、なぜ自分のコメントを挟み込んではいけないのでしょうか?

これから順を追ってご説明していきましょう。まずは、書記の仕事内容から。

記録係に専念!「書記」の仕事と役割

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会議の流れに沿って「事実のみを記載」

会議の主催者から書記に任命されたら、主催者や司会者から渡された“アジェンダ(会議の工程表)”をよく確認し、進行に沿って参加者の発言や課題・決定事項など、事実のみを記録していきます。
議事メモを取りながら、参加者としても何らかを発言するのがベストですが、記録することが疎かになってしまう場合は無理に意見を言わなくてもよいでしょう。

本来、会議中はなるべく顔を上げて発言している人に注目すべきですが、書記の役割を与えられた場合は別。会場にPCを持ち込み、その場で打ち込んでもかまいません。

しかし、企業風土や職種にもよりますが、一般的に書記意外の会議参加者がPCをずっと見ていたり、メモ以外の目的で何かを打ち込んだりしていると、主催者や他の参加者にあまりいい印象を与えないので注意が必要です。

会議終了後には司会者と「内容のすり合わせ」

会議が終わったら、司会者(もしくは主催者)と議事録として形にするための打ち合わせをしましょう。

事実に沿ってメモをとっているつもりでも、いつの間にか書記である自分の意見や方向性を反映した議事録になってしまう可能性があります。
本格的に作成する前に、会議中に書いた議事メモを見せながら、構成と内容についてバイヤスがかかっていないか、事実に基づいたものであるか、簡単な打合せをして確認しておきます。

確認をしてコンセンサスが取れ次第、議事録作成を開始します。

「まとめやすく分かりやすい議事録」を取るポイント3つ

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(1)重要な発言やキーワードをマーク!

発言者が早口だったり情報量が多かったりして記録が追いつかない場合は、発言全てを記録しなくても構いません。

発言者が提示した課題・疑問・解決策・共有事項など、重要なキーワードだけでも、発言者の名前とともにメモしておきましょう。
また、記録の途中で重要だと思った発言やキーワードについては、「」で囲む、頭に■や●、星をつけるなどマークして分かりやすくしておきます。

(2)事前に主催者(司会者)と会議の目的を共有

上述のように、会議終了後にも内容のすり合わせを行いますが、会議の前にも主催者もしくは司会者と簡単な打合せをして、目的とアジェンダを知っておきましょう。

事前に目的やアジェンダが分かることで、大体の流れが頭に入り、記録しやすくなるはずです。

(3)脚本家にならず「フラットなスタンス」で作成

会議中にメモをとるときも終了後に議事録にまとめるときも、“事実は事実”として距離感をもって書類に起こしましょう。

例えば、物事を決めるための会議であれば「○月○日までに●●部が~をやる」と決定事項を明記することが大切ですし、情報共有のための会議であれば、参加者から出た意見を正確にまとめてください。

人間のサガとしてありがちなのが、つい自分の意見に寄せた書き方をしたり、出席者への好き嫌いで事実と違う発言内容に変えてしまうこと。書記は脚本家ではなく、あくまでも“会議の記録係”なので、くれぐれもそこを間違えないように意識して役割を全うしましょう。

 

議事録にとくにフォーマットはありませんが、日時・参加者・会議の目的・内容など基本的な項目のほかに、書記である自分の名前も必ず明記してください。会社で決められた形式がある場合は、それに従いましょう。

具体的な“議事録の書き方”については、追って【踊らず進む!会議のお作法】vol.7でお伝えする予定です。ぜひチェックしてみてくださいね!

 


 

【取材協力・監修】

チームビルディング・コンサルタント

尾方僚

大手就職情報会社に9年間勤務した後、コンサルタントとして独立。大学や企業人事担当者向けの講演を数多く行い、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。現在、日本女子大学リカレント教育課程 講師、日本工業大学、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としてキャリア系科目を担当。著書は『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)、『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニュケーションズ)など多数。

【参考】

尾方僚(2011)『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)

尾方僚(2007)『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニケーションズ)

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