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私には「強み」と言えるものがない…?それは大きな勘違いです【森本千賀子の転職アドバイス】

私は転職エージェントとして、これまで1万人以上の転職希望者の方々と接してきました。その中には、自分を「過小評価」している方が多く見受けられます。

これまでのキャリアについてお聞きしているとき、私が「それは素晴らしいご経験ですね」「価値が高いご経験ですね」と言うと、不思議そうな顔をされるのです。「私としては当たり前のこととしてやってきた」「うちの会社では、これくらい皆がやっている」といったように、「褒められるようなことではない」と思い込んでいらっしゃるのです。

しかし、自分では「大したことない」と思っている経験が、転職市場では高く評価されることもあります。

高度な専門スキルだけが評価されるわけではない

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「私には“専門スキル”といえるものがない」と弱気になっている方が多く見受けられます。いわゆる、経理・人事・マーケティング・広報……といった特定専門分野での長期の経験・深い経験を積んでいない、ということです。

しかし、転職市場で評価されるのは、必ずしも高度な専門スキルだけではありません。

Aさんの事例をお話ししましょう。Aさんは、転職活動開始当初、自分のキャリアに自信を持てずにいました。これまでいろいろな部署を転々とし、担当業務が度々変わったので、「自分にはコアスキルといえるものがない」と思っていたのです。

「どの仕事も中途半端で……」「器用貧乏だから……」と、口から出るのはネガティブな言葉ばかりでした。

しかし、じっくりお話をお聴きしてみると、Aさんの高い能力が浮かび上がってきました。いろいろな部署を転々としたということですが、成果を上げられなくてたらい回しにされたわけではなく、新しい環境への適応能力が高く、初めての仕事も早々にキャッチアップする能力に長けた方だったのです。

Aさんが在籍していた会社は、多角的に事業展開していたことから、各事業部門で欠員補充や人員増強のニーズが突発的に発生することが多く、順応性に優れたAさんが重宝されていたようです。

自分の業務を棚卸しして言語化を

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Aさんがこれまで担当した業務、日々の仕事の中で心がけていたこと、工夫してきたことなどを細かく「棚卸し」してみると、次のような強みを言語化するに至りました。

  • 環境の変化に早く適応できる
  • 学ぶ意欲が高く、未経験の業務も早くキャッチアップできる
  • どんな仕事にも好奇心を持って取り組み、その仕事ならではのおもしろみややりがいを見い出すことができる
  • 人間関係をスムーズに構築できる

こうした能力は、例えば、急速に事業を拡大している企業や変革を図っている企業で強く求められています。
それに、どんな企業においても、ビジネス環境の変化や組織の成長の過程で経営課題は変わっていくもの。その時々の状況に応じた「変化対応力」は、幅広い企業で重視されているものであり、Aさんは図らずもその能力を手に入れていたのです。

なお、Aさんは転職活動の結果、人材サービス企業に入社されました。企業に対し、人材戦略や採用計画のコンサルティングを行う仕事です。さまざまな部署の役割や職種ごとの特性についての知識・経験を活かす道を選んだのでした。

 

専門スキルに自信がなくても、さまざまな仕事で汎用的に活かせるスキルは何かしら身に付いているはずです。それを整理・言語化して、自信を持ってアピールしてください。

構成/青木典子

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