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お客様を取り次ぐ際の注意点は?来客対応の基礎をおさらい【「なんだか品がいい」と言われる女性のビジネスマナー#9】

上司や同僚とアポイントのある取引先の担当者が会社の受付に到着したという連絡を受けたら、どのように対応したらいいのでしょうか。

今回は、キャリア形成やビジネスマナーを専門とするライフスタイリストの北條久美子さんにお客様を取り次ぐ際の基本的な流れや注意点についてうかがいました。

訪問客を取り次ぐ際の流れ

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“取り次ぐ”という言葉には、“仲介する”という意味があります。ビジネスシーンにおいては、お客様からの電話や訪問を受けたときに、しかるべき相手につなぐことを指します。

さて、取引先の相手が来社してからの流れは、受付担当の人が案内したり、受付に設置された内線電話で担当者を直接呼び出したり、部署で連絡を受けた人が案内をしたりと、会社によって異なりますよね。

様々なケースがありますが、今回は、お客様が訪問したとの連絡を受けてから、社内の同僚や上司に“取り次ぐ”までの流れを解説していきます。社会人経験が長くても、意外と忘れているポイントがあるかもしれないので、おさらいする気持ちでチェックしてみましょう。

基本的な流れは以下の通りです。

【STEP 1】受付でお客様を迎える

「〇〇様、お待ちしておりました」と相手の名前を言い、感じの良い挨拶を。

【STEP 2】どこに案内するか伝える

「会議室にご案内します」「これからエレベーターで5階の部屋にご案内します」など、どこに案内するのかを伝えます。

【STEP 3】自分が前を歩き、少し振り返りながら案内する

お客様の前を歩き、時折振り返りながら歩く速度を合わせて目的の場所まで案内します。

【STEP 4】会議室に着いたら、ノックをして中の様子を見てから案内する

まだ会議室を使っている人がいるかもしれないので、急に開けないように注意しましょう。

【STEP 5】座る位置を案内する

遠慮して入口の近くの席に座ってしまうお客さんもいらっしゃいます。出入り口から遠い“上座”に「こちらにどうぞ」と案内し、「おかけになってお待ちください」と伝えます。

【STEP 6】アポイントの相手が来たら、お茶を用意する

取り次ぎを終えたら、お茶出しが必要な場合もあります。会話を邪魔しないような小さな声で「どうぞ」と一声かけて静かに置きます。

取り次ぐときの注意点は?よくあるNG例を解説

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取次ぐ人が仕事を切り上げないことで、相手を待たせてないように

訪問客を取り次ぐ際に、注意したいのが、取り次ぐ相手が取り掛かっている仕事を切り上げられずにお客様を待たせてしまうケースです。

例えば上司から「お茶を出しておいて」と言われ、お茶出しまでしたものの、そのまま10分放置……といったケースもしばしば見受けられます。

上司がきちんと訪問客と会うまでが“取り次ぎ”ですから、上司の様子を見ながら「お客様がお待ちです」と再度伝えることが必要になる場合もあります。

どうしても相手を待たせてしまう場合は、その旨を伝え、どれくらい待つのか伝えよう

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先述した通り、担当の相手が訪問客と会うまでが“取り次ぎ”です。時間通りに来ていただいた訪問客をお待たせしてしまう場合、「部長の●●は前の会議(打ち合わせ)で……」と言ってしまうと、予定通りに来たのに他を優先しているという印象を与えかねません。

理由を言うとしたら「(急な)電話が長引いております」のほうが無難かもしれません。その場合は上司にも、先方に「お電話で遅れております、と伝えた」という旨を報告する必要があります。

また、電話を受けた時点で、あとどのくらい時間がかかるのか目途がたっている場合には、具体的に「あと5分ほどで参ります」というふうに、“あとどのくらいで担当者が来るのか”について伝えたほうがいいでしょう。

取次ぎで考えられるトラブルとその対処法

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アポイントなしで取引先が来社した場合は?

アポイントがない場合でも、「近くに来たから」「新年のあいさつに」といった理由で取引先の相手から突然の訪問を受けることは少なくありません。
例えば、上司宛の来客があった場合、お客様に「本日、お約束はされておりましたか?」と確認したうえで、上司に取り次ぐかどうかの指示を仰ぎます。

上司が対応できない場合や不在の場合は「ご来社ありがとうございます。おいで頂いたことは伝えておきます」とお礼の言葉を述べましょう。

アポイントがあったのに取り次ぐ相手が不在だったらどうする?

しばしば、取引先とのアポイントがあったにも関わらず、取り次ぐ相手が不在……という事態も発生することがあります。

直前の用事が長引いたり、アポイントを忘れたり、予定が変わったのにアポイントをキャンセルし忘れたりといった理由が想定されます。いずれの場合も急いで当事者の携帯電話に連絡をとって、指示を仰ぎます。

お客様を待たせたり、打ち合わせができなくなった場合は「申し訳ありません」と心からお詫びします。

以上、北條久美子さんに取り次ぎの方法についてうかがいました。

“他社の敷居をまたぐ”というのは、ある程度の緊張感を伴うものです。そんなとき、心のこもった取り次ぎによって、会社のイメージアップにつながるのではないでしょうか。時々、基本の流れをおさらいしておくといいかもしれませんね。

【取材協力】

北條 久美子

東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアの研修・セミナ―を行い、顧問として企業の人財育成や教育体系の構築にも携わる。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト。睡眠マネジメントやマインドフルネスなどをワークに取り入れ、自分らしく、かつ生き方(ライフスタイル)を美しくすることを自らも目指し、それを広める場作りに力を入れる。著書に『ビジネスマナーの解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『働き方のセブンマナー』(講談社)ほか。

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