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「ご入用」の意味と使い方は?よくあるNG例についても解説

“ご入用”という言葉は、どんな場面で使うのでしょうか。【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#91】では、“ご入用”の意味や使い方、よくある間違い例についてお届けします。

“ご入用”について解説していただいたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「ご入用」の意味とは?

「ご入用」の意味とは?

入用”(いりよう)の意味は、必要とすること。または、必要な費用のこと

“入り用”とつづることもあります。尊敬の接頭辞“ご”をつけて“ご入用”と言った際には、相手が必要としていること・費用を表す言葉となります。

具体的な物や、かかる費用など、使用の目的がはっきりしていることに関して使う言葉です。

ごくまれに“にゅうよう”という読み方をすることもありますが、現代の日本語では“いりよう”と読むのが一般的です。

「ご入用」はどんなシーンで使う?

「ご入用」はどんなシーンで使う?

“ご入用”(ご入り用)は、取引先や顧客のニーズを探ったり、必要なときに相談や依頼をしてほしいと伝える際に使われることの多い言葉です。

【例文】

・もしサンプルがご入用でしたら、郵送いたします。

プライベートにおいては結婚や引っ越しなど、物や金を必要とする節目を迎えている相手に対して、お祝いや贈り物をするときの一言としても使われています。「お金がかかる」という直接的な表現がはばかられる際にも使います。

【例文】

・開業されたばかりで何かとご入用かと思います。

「ご入用」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

「ご入用」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

“ご入用”は、使用の目的がある程度決まっている実用品やお金に対して使う言葉ですただ“必要”という意味ではありませんので、注意が必要です。

【NG例文】

・そのプロセスには、長い期間がご入用になると思います。

→“必要”と同義ではない。“入用”は、使用の目途がある実用的な物・費用に対して使う言葉。漠然とした時間や、抽象的なものに対して使うことはない

「ご入用」の例文は?

「ご入用」の例文は?

“ご入用”を使った例文を通じて使い方をイメージしてみましょう。

・領収書はご入用でしょうか?

・何かご入用でしたらお申し付けください。

・梱包材がご入用の際は、お声がけください。

・新生活に際しては、何かとご入用のことでしょう。

このように具体的な物・費用に対して使われています。

「ご入用」を言い換えると?類語は?

「ご入用」を言い換えると?類語は?

続いて、“ご入用”と類似した意味を持つ言葉をご紹介します

(1)「ご必要」

どうしてもなくてはならないこと。ビジネスシーンでも日常会話でも幅広い場面で使われています。

【例文】

ご必要の際はお申し付けください。

(2)「ご要望」

ある物事の実現を求めて望むこと。

【例文】

ご要望でしたらお伺いします。

ご要望にお応えします。

(3)「ご不足」

足りないこと。説明や資材など、何かが足りずに必要なときに使われます。

【例文】

ご不足があれば、ご指摘ください。

「ご入用」の対義語は?

「ご入用」の対義語は?

「ご不要」

「ご不要」は、“ご入用”と対の意味を含んでいます。意味は、必要ではないこと。いらないこと。

【例文】

ご不要になりましたらお申し付けください。

 

以上、国語講師の吉田裕子さんに“ご入用”の使い方を解説していただきました。

実用的な物・費用に対して使われているというポイントをぜひおさえておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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