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炊きたてのおいしさが復活!五ツ星お米マイスターが教える「ごはんの保存法」【新米をおいしく食べよう♯4】

今年も手塩にかけて育てられた全国各地の新米が続々と登場しています。この秋、みなさん新米をおいしく食べていますか? 

米のプロとして活躍する「五ツ星お米マイスター」の西島豊造さんに、お米をもっとおいしく食べる方法を教えてもらうこちらの連載企画。今回は、食べ切れない時の「ごはんの保存法」について解説してもらいました。

ごはんをおいしく保存するには「冷凍」が正解!

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新米はもちろん炊きたてがいちばんおいしいですが、その日に食べ切れない時など、みなさんどのようにごはんを保存していますか? 炊飯器に入れたまま保温する、おひつに入れておく、冷蔵室で保存する、冷凍してしまう……etc.

西島さんに尋ねると、おすすめはズバリ「冷凍して保存する」とのこと。

「炊飯器や冷蔵室で保存すると、ごはんはどんどん劣化していきます。おいしいうちにそのまま冷凍してしまい、食べる時にまた炊きたての状態に温めて戻してあげる。これがおいしいごはんの保存法です。

しかし、この時にやり方を間違えると、炊きたてのおいしい状態に戻らないので、正しい方法を教えますね!」(以下「」内、西島さん)

一体、どのように保存するとよいのでしょうか? 早速、動画といっしょに確認してみましょう。

炊きたてのおいしさが蘇る「ごはんの保存法」

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(1)熱々のごはんを茶碗半分ほどラップにのせる。

まず、ラップを広げ、その上にごはんを乗せます。ごはんの量は茶碗半分くらいを目安にしてください。

ごはんは熱々のままでOKです。炊飯器から炊きたてのうちに、そのままラップに乗せてください

(2)ごはんの表面が均一になるよう、ふんわりと平らにする。

ラップに乗せたら、ごはんのふんわり感をキープしながら、表面を均一に平らにしていきます。

「この時に、ごはんを絶対にギュウギュウと押し付けたりしないでくださいね。こうすると一気においしくなくなってしまいますよ」

(3)ごはんの5〜10cm上辺りで手をかざした時に、熱さを感じなくなるまで2分ほど待つ。熱い蒸気が出なくなり、手をかざした時に熱過ぎなければOK。

すぐにラップで包まず、熱い蒸気が出なくなるまで待つのがポイントと、西島さん。

「この時、ごはんからまだ熱い蒸気が出ています。チェック方法は、ごはんの5〜10cm上辺りに手をかざしてみて。熱いと感じなくなるまで2分ほど待ちましょう。再度、手をかざして熱過ぎなければOKですよ」

(4)ラップをふんわりとかけて優しく包む。ラップが蒸気でやや曇るくらいがちょうどよい。

ごはんは人肌よりも少し温かい程度が理想。西島さんいわく、ラップが薄く曇るくらいがベストです。

まだ熱過ぎるうちにラップを閉じてしまうと、ラップの中に水蒸気が多く入ってしまい、加熱した時に水気の多いごはんになってしまいます。そのため、ある程度、熱さを取り除いてから包むことが大切なんです。

とはいえ、冷まし過ぎてごはんが冷たくなってしまうと、加熱しても炊きたてのおいしい状態には戻りませんので、注意してくださいね」

さらにこの時、ラップの上からごはんを握って、潰したり、成形したりしないこと。ふんわりした状態をキープしてくださいね。

(5)冷凍室に入れて、急速冷凍する。

ラップに包んだごはんを冷凍室に入れて、凍らせます。

「可能なら、金属製のバットの上などに乗せて、急速冷凍するのがおすすめ。早く凍らせたほうがおいしい状態のまま保存できます」

(6)食べる時は、600Wの電子レンジで約1分30秒を目安に加熱する。米粒の間の空気が温められて、炊きたてのおいしい状態に戻る。

炊き上がったごはんは、上手にほぐしてお米がキレイに立っていると、米粒と米粒の間に空気の隙間がたくさんあります。この「隙間」が、実は温め直す時のおいしさの鍵になるんです。

「おいしく温めるコツは、お米を温めるのではなく、空気を温めること。米の周りの空気を上手に温めることによって、炊き上がった時のおいしさに近い状態に戻るんです。そのため、米の周りに適度な空気の隙間があることが重要です。

だから、ふんわり包まないとダメなんですね。ごはんをギュウギュウに詰めると、米の周りの空気の層がなくなってしまいます」

西島さんの方法で冷凍したごはんは、温め直しても、まるで炊きたてのようにごはんの粒がふっくらと立っています。人肌くらいに冷ましているので、水蒸気がほどよくラップの中に残り、温め直してもくっついたり、ベチャベチャになったりしません。

食べ切れない時は、潔くすぐに冷凍してしまったほうが、また炊きたてに近い味をいただけます。ぜひこの方法で、余すことなく新米をおいしく食べてくださいね。

【取材協力】

西島豊造

五つ星お米マイスター。東京・目黒区にある米店『スズノブ』の3代目。北里大学獣医畜産学部畜産土木工学科を卒業後、北海道で水路などの農業土木の設計に携わり、1988年に家業の米店『株式会社 鈴延商店』を継ぐ。五つ星お米マイスターの資格を取得し、膨大な米と土に関する知識を活かし、新しいお米の時代を作るべく産地と消費者をつなぐパイプ役として、産地の特徴を活かした地域ブランド米作りに力を注ぎ、全国を奔走する。

 

取材・文/岸綾香

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