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黄金色でカリカリッ!芋名人の極上「芋けんぴ」は秋のおやつにぴったり【沼津りえの季節の手仕事 #7】

季節の移ろいを感じながら、作る過程を楽しみたい「季節の手仕事」。旬の恵みを存分に味わう逸品を料理研究家・沼津りえさんが丁寧に解説してくれます。

今回は、旬の「さつまいも」を使って絶品「芋けんぴ」を作ります。“芋名人”の沼津さんが、黄金色に仕上げるコツを懇切に伝授。一度食べると、止まらなくなるおいしさです!

しっかり乾燥させてから揚げればカリッカリの食感に!

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子どもたちが芋掘り大会でさつまいもを収穫してきたという家庭も多いのではないでしょうか。今回紹介する「芋けんぴ」は子どものおやつにもぴったりです。

「さつまいもが大好き!」という沼津さんは、若い頃、毎日芋けんぴを作っていたそう。いまも秋になると、自身の料理教室で「芋けんぴだけをひたすら作る会」を開催しているそう。

「20代の頃、芋けんぴ作りにハマってしまって、仕事から帰ってきては夜中に芋けんぴを作って……を毎日繰り返していました(笑い)。職場に持っていくと好評で、毎日作っては持参していたんです。

そのときに、黄金色に作る究極のワザを追求しました。今回は一部始終をお見せします! もう本当に、食べると止まらなくなるんですよ」(以下「」内、沼津さん)。

作りながら「こんな真剣な顔を見せることはあまりないかも」と笑う沼津さん。そんな表情も併せて、秘伝のレシピをお楽しみください!

【材料】(作りやすい分量)

さつまいも・・・中1本(200〜250g)

揚げ油・・・適量

砂糖・・・大さじ2〜4

水・・・小さじ1〜2

酢・・・小さじ1/2弱〜1

【作り方】

(1)さつまいもを切る

さつまいもは、まっすぐなものを選ぶと仕上がりがキレイです。両端を切り落とし、半分に切ってから、切り口を下にしてまな板に立てて安定させ、5mm幅に切ります。最後は横に倒して切りましょう。

「厚さを均等にした方が、ムラなく揚げられます。長さは8cmくらいが作りやすいですね。細く切ればカリカリに、太く切ればしっとり。厚さは好みで調整してください。私はカリカリが好きなので、細めに切ります。さつまいもは固いので、気をつけてゆっくり切ってくださいね」

(2)水に浸けてアクを抜く

切り終わったら水に浸けてアクを抜きます。水が透明になるまで、3〜4回洗ってざるにあげます。

「でんぷんが残っているとカリッと揚がりにくいので、水に浸けてアクを抜いてください」

(3)しっかり乾燥させる

そしてここが大事なポイント。水気をペーパーなどでしっかり拭いてざるに広げ、しっかり乾燥させます。風通しをよくして、早く乾燥させましょう。ざるがない場合は、バットや大きめの皿でもOKです。

「水分が多いと揚げ時間が長くなり、カリッとした食感に仕上がりません。表面が乾くまでしっかり乾燥させると極上の芋けんぴに仕上がるんです」

最低でも1時間以上置いて乾かしてください。余裕があるときは天日干しに。急いでいるときは、扇風機やドライヤーで風を当ててもいいそう。

(4)フライパンで揚げる

しっかり乾いたら、フライパンでカリッと揚げます。1cmくらい揚げ油を入れ、油の表面がゆらゆらしてきたら、さつまいもを入れましょう。欲張りすぎず、2回に分けて揚げていきます。

そして第2のポイントは、油の中で平らに広げたら、カリッと揚がるまでしばらく触らないこと。

「高温だと焦げてしまうので、低温でじっくり揚げていきます。すぐに触るとさつまいもがまだやわらかいので曲がってしまうため、5分くらいはじっと我慢してくださいね」

5分経ち、水分が飛んで細くカリカリになり、触ってもさつまいもの形が変わらなくなったら、場所を移動しながら均等に火を通し、丁寧に揚げます。

(5)きつね色になる手前で取り出す

そして「ここからが勝負!」と沼津さん。細くてカリカリに揚がったものを見極めて、きつね色になる手前で取り出していきます。

「第3のポイントは、黄金色の芋けんぴにするために、揚げすぎないこと。茶色く色づいてから取り出すと、余熱で火が通り過ぎてしまいます。焦げると甘味が抜けてしまうので、きつね色になる手前で取り出すのがベスト!」

最後は空気に触れさせ、カラッと揚げます。残りも同様に揚げてください。

(6)飴を作る

黄金色に揚がったさつまいもは、このまま塩をかけて食べるだけでもおいしいのですが、今回は飴を絡めて仕上げます。

揚げたフライパンに少し油を残し、砂糖、水、酢を入れます。

「水は入れすぎるとベタベタになるので注意して。さつまいも100gに対して、砂糖大さじ1、水小さじ1/2が目安です。酢を少量入れると、さわやかな甘味になり、さらに飴同士がくっつきにくくなります」

火をつけたら、砂糖が溶けるまで触らないこと。すぐに触ると結晶ができてしまいます。

(7)さつまいもに飴を絡める

溶けた砂糖が飴色になって泡も少なくなってきたら、揚げたさつまいもを入れ、菜箸を2つ使って全体に飴をよく絡めます。

底に飴が残っていたら火をつけて水分を飛ばし、空気に触れさせながら飴を絡めてください。

「空気に触れると乾いて、飴がはがれやすくなります。これで冷めてもくっつきにくくなりますよ」

火を止めたら、バットにあげて素早く冷ましましょう。粗熱が取れたら清潔な手でほぐし、くっついている所をはがします。

(8)できあがり!

冷めたら完成です。この黄金色の仕上がり……さすが芋名人、完璧ですね!

食べると「カリカリッ!」と軽い食感! さつまいもの甘味が広がり、さわやかな飴が絶妙に絡んでいます。甘すぎないので、ポリポリ何本でも食べられてしまって、これは危険なおいしさ。後引く味で、あっという間になくなってしまいました。

「芋けんぴって買うと高いし、好みの食感や甘さのものになかなか出会えないですよね。自分で作ると好みの太さや甘さに調整できるのもイイところ。さつまいも以外には、砂糖、水、酢しか使わないし、超コスパのいい秋のお菓子です」

作ってみると沼津さんの言う通り。しっかり乾燥させる、きつね色になる手前で揚げるを守れば、失敗なく極上の芋けんぴが作れました!

さつまいものおいしい季節、秋のおやつにいかがでしょうか?

取材・文/岸綾香

【取材協力】

沼津りえ

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『野菜まるごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu  YouTube  管理栄養士  沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」

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