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失敗しない「あさりの砂抜き」の方法。濃厚なガーリックバター蒸しも【沼津りえの神ワザ下ごしらえ #2】

kufuraの連載「ちょこっと漬け」でおなじみ、料理研究家・沼津りえさんの新シリーズ。テーマはズバリ「下ごしらえ」。ちょっとしたひと手間で料理の腕前がグンとアップするワザを紹介していきます。 

第2回目は、春が旬の「あさり」。失敗しない砂抜きの方法を教えてもらいました。

平らなバットで砂抜きを。殻をしっかり洗うのもポイント!

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あさりを食べたときに、残った砂が口の中でジャリッとする瞬間……イヤですよね。食べた瞬間、ガッカリしてしまいます。「ちゃんと砂抜きをしたはずなのにナゼ?」と思う人は、もしかしたら砂抜きの方法が間違っているのかもしれません。

「砂抜き中は、あさりが海の中にいる状態を再現してあげます。そうすると心地良くて、よく砂を吐くんですね。ボウルに入れて砂抜きをすると、下の方のあさりはうまく息ができません。平らなバットに入れて、少しだけあさりの表面が出るくらいがベストです。

さらに、みんな忘れがちなのが、砂抜き後に殻をしっかり洗うこと。あさりの殻には細かい凹凸があるので、実はここに結構汚れが残っています。貝殻同士をこすり合わせて洗うと、思った以上に水が汚れてびっくりしますよ。こうすると雑味がなく、おいしく調理できるんです」(以下「」内、沼津さん)

(1)3%の塩水を作る

水500mlに対して、粗塩大さじ1を入れて溶かします。

「3%くらいの塩水が海水に近く、あさりの砂抜きに適しています。塩は粗塩を使うのがおすすめです」

(2)あさりをバットに入れ、塩水を入れる

あさりが重ならないようバットなどに入れ、作った塩水を入れます。このとき、あさりの表面が少しだけ出ている状態がベスト!

「あさりが完全に水に浸かってしまうと酸欠になり、うまく砂を吐けません。塩水は全部使わなくてよいので、入れる容器の大きさに合わせて、塩水の量は調整してくださいね」

塩水を入れたらアルミ箔などをかぶせて暗くし、砂の中にいる状態を再現。このまま冷暗所に1〜2時間置きましょう。潮干狩りで収穫した場合は半日ほど置き、しっかり砂を吐かせてください。

(3)あさりをこすり合わせてよく洗う

2時間後、アルミ箔を取ると……しっかり砂を吐き出していました! まるで海の砂の中にいるような、あさりが心地良い状態だったのが分かりますね。

さらに、きれいな水の中に静かに入れてよく洗います。実はここがポイント!

「あさりの殻の表面には細かい凹凸があるので、実は結構汚れています。水の中であさり同士をこすり合わせて洗い、汚れをしっかり落としてください。こうやって洗うと、きれいだった水がどんどん濁っていきますよ。

ここでしっかり洗うことで特有の磯臭さも取れ、調理したときに雑味のないおいしいあさりを味わえます」

(4)あさりの砂抜きが完了!

水を2〜3回替えてよく洗い、水がきれいになったらOKです。これであさりの砂抜きは完了です。

使い切らなかったら冷凍もできる。旨味もアップ!

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あさりは冷凍保存もできます。冷凍する場合は、砂抜きをしたあさりをポリ袋に入れ、空気を抜いて冷凍室へ。保存期間は冷凍で1カ月が目安です。

「冷凍するとあさりの旨味がアップします。使い切れないときは、冷凍しておくと便利ですよ。調理するときは、通常は貝は水から入れて使いますが、冷凍したあさりは沸騰した状態の汁などに凍ったまま入れた方が口がよく開きます」

にんにくバターが濃厚!「あさりのガーリックバター蒸し」

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さらに手軽にもう一品! いつもの白ワイン蒸しをにんにく&バターでグッと濃厚に仕上げます。

 

【材料】(作りやすい分量)

あさり(砂抜き済み)・・・200g

バター・・・20g

にんにく・・・1片

水・・・大さじ1

白ワイン・・・大さじ2

イタリアンパセリ・・・適量

 

【作り方】

(1)フライパンにバターとみじん切りにしたにんにくを熱し、中火でバターを溶かします。

(2)にんにくの香りが立ったらあさり、水、白ワインを入れ、沸騰してきたらふたをして、あさりが開くまで待ちます。

(3)あさりの口が開いたら、刻んだイタリアンパセリを振ってできあがり。

食べてみるとあさりがふっくらとおいしく、ジャリッとすることも一切なく、あさりの旨味を存分に味わえました。私はボウルで砂抜きをしていたので、たまに砂がしっかり抜け切れていないこともあったのですが、その理由もよく分かり、以前よりあさりを気軽に使えるようになりました。

「パスタにしたり、スープやお吸い物にしたり、シンプルに酒蒸しにしたり、あさりは幅広く使えます。調理したときに砂が入っているとガッカリしてしまうので、ぜひこの方法を試してみてくださいね!」

次回は「ささみ」の筋取りを紹介します。

取材・文/岸綾香

【取材協力】

沼津りえ

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『野菜まるごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube  管理栄養士  沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」

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