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賃貸か持ち家か…私の「住まい遍歴」にみる、家選びのポイントは?【ファイナンシャルプランナー・橋浦多美】

こんにちは。8歳の双子を子育て中、kufuraライターの橋浦多美です。普段、私はファイナンシャルプランナー(FP)としてお金の話をする機会をいただく一方、購入した戸建住宅やアパートで“賃貸運営”をする大家業もしています。

大学時代から不動産屋さんでアルバイトをしたり、家好きが高じて宅建士(宅地建物取引士)の資格を取得したり……、「家」に対する思い入れは気づけばけっこうな歴史になりました。

今回は、結婚後の私の住まい遍歴を振り返りつつ、住まい選びのポイントにスポットをあてて見ていきたいと思います。

新居は海外からスタート!結婚後の暮らしは2人で話し合って決めたいけれど…

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場所や間取り、インテリアなど、2人で話し合って決めたいことがたくさんある結婚後の暮らし。私の場合は、仕事の都合でロンドンに暮らしている夫と結婚したため、まずはロンドンに引っ越しするところからスタートしました。

新居は1bedroomの、当時夫が一人で暮らしていた部屋。広さは約70平米、築40年ほどの物件でした。ロンドンは古い家が当たり前で、なかには築100年なんていうお部屋もあります(そもそも築年数という概念がないかもしれません)。日本の家は新しければ新しいほど人気が高い傾向があり、実際新しい物件も多いので、正直この古さの物件に住むのは初めて。ちょっとドキドキしましたが、なんせ古いものを大切にするヨーロッパの風習。住んでいるうちにあちこち壊れますが、そのたびに直してもらいながら暮らしていました。

ロンドンの賃貸物件は大体の家具家電が元々備わっているものが一般的で、我が家ではお皿やスプーンまで備え付け。中には抵抗がある人もいるかもしれませんが、食事の内容も和食よりも洋食が多くなるので、我が家はありがたく使っていました。結果、私たちが購入したのは寝室にもう一台欲しかったテレビのみ。最小限の荷物でもこのように備わっていると引っ越しも楽だな〜と実感。この経験はその後にも生きるものとなりました。

ロンドンの家は、家具や家電が備え付けが一般的。古い家も多くレトロな感じですが、暖かみも感じさせてくれます。
ロンドンで購入した唯一の家電はテレビ。寝室に追加で置きました。

帰国後は賃貸マンションに。大型家具はレンタルを活用!

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その後日本に帰国することになり、東京で家探しをすることに。夫の会社から家賃補助があったので、賃貸で探しました。

ロンドンではほぼ備え付けのものを使っていた我々が困ったのは、大きな家具家電は持っていないということ。全部購入となると結構な出費だし、またいつどこに転勤になるかもわからない転勤族なので、すぐに購入する気にもなれず。

そこで、冷暖房のほか、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジが付いている賃貸マンションに決め、ソファやベッド、ダイニングテーブルなどの大物家具はレンタルで賄いました。利用したのは「STYLICS」というショップです。こういったレンタルシステムは、かなり優秀! 種類も豊富で、短期、長期と借りられる期間も様々。私が選んだのは、レンタル期間が終わったらそのまま買い取りになるタイプの家具でした。

また、不要になった場合にはすぐに引き取ってもらえるという便利さ。もう、なんてきめ細やかなサービス、日本最高〜と大感激! ちなみに買い取りになったものは今でも使っています。

家具インテリア STYLICS https://www.stylics.com/service/smartplan/

レンタルした真っ白なダイニングテーブル。今でも愛用しています!

賃貸のメリットとデメリットとは?

住み始めた賃貸物件は、眺めもよく、駅や街からのアクセスも良かったので、とても気に入っていました。

賃貸のメリットとしては、とにかく身軽であるということ。気に入らない点があれば、引っ越すことも可能ですよね。家は、実際に住んでみなければわからないことも結構あるもので、例えば、隣人の様子や、上の階や工事の音が気になる、支払いの計画はしていたものの、収入に変化があって家賃負担が重い……など、目論見が外れることも。

デメリットとしては、家賃負担が時に重くなることもあることです。我が家の場合は、住み始めた当時はリーマンショック後で経済が低迷していた時期でもあり、割とリーズナブルに借りられていたものの、更新時期になって、家賃を上げるという通達がきてしまいました。それでは予算オーバーになるので、引越しをすることに。その家のサイズに合わせて購入したカーテンやラグなどは廃棄処分となり、こういうことが重なると、いわゆる「引越し貧乏」になるのだなと痛感。

この時点でしばらく転勤もなさそうということで、売り物件を内見する日々が始まりました。家の賃貸、購入はそれぞれにメリットデメリットが存在しますが、購入するには“期限”があることには気をつけたいところです。ローンを組むということは信用の元に成り立っているので、収入や年齢に制限があるのは当然のこと。借りられるうちに買おうという結果になったのです。

自宅購入を決意!マンションか?戸建てか?夫婦で意見が食い違い…

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賃貸で住んだ場所が気に入っていたことや、土地勘がついたことなどがあったので、第一希望は賃貸で住んでいたエリア。

ここで問題になったのは、防犯の面から一軒家は避けたい私と、家を購入するなら一軒家という夫の気に入る物件に違いが出てきたこと。住んでいるエリアには戸建が少なく、少し遠方まで戸建、マンション含め内見する日々が続きました。

全部で30〜40件くらいは内見したと思います。内見が増えると、理想も高まってきて、「もう少し広かったら……、あと数分駅から近かったら、日当たりがちょっと……」と、いわゆる“たられば”が多くなってきて迷う羽目に。

最終決断は、歩み寄りが大切!

一旦初心に戻り、お互いに、譲れる、譲れないところのすり合わせをし、「どうして家を購入しようと思ったのか」「場所の一番の理想はどこなのか」などを細かく話し合い、結局賃貸で住んでいた場所から徒歩10分ほどの新築マンションに決めました。最終的には、

・街の様子をよく知っていて気に入っていたこと

・再開発計画があり、価格が下落しにくいと予想したこと

・私がこだわった日当たり良好の南向きだったこと

・夫がこだわった会社までのアクセス

などが決め手になりました。

南向きの日当たり良好な部屋で緑を育てています!

家具はレンタル継続。でも思ってもみないことが……

新築の家は、家具家電はもちろんついていなくて、まっさらな状態。ここでようやく大物家電を購入することに。それでも極力物を増やしたくなくて、レンタル家具は継続。あるもので賄い、クローゼットや、食器棚などに入らないものは処分しました。家自体が新しく綺麗なので、飾らずにシンプルイズベストにしたいと思ったのです。

目に入るところに無駄な物を置かないと作業をしていたところ……、なんとなく体調に異変が。妊娠していることがわかりました。その時すでに40歳。年齢的に、授かっても1人と思って購入した3LDK、70平米のマンション。家族が増えても3人家族と予想して購入したのですが、まさかの双子だったんです! 嬉しさとともに、この広さで大丈夫かな……という不安がよぎることに。人生の計画には何事も余裕が大事なのだと痛感させられることになりました。

都心のマンションに住んで8年、思うことは…

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とにかくスペースを確保したい!

予想よりも人数増で始まった暮らし。子どもが赤ちゃんの頃は特に子ども部屋を意識することはなかったのですが、現在小学2年生。荷物も増える一方です。間取り的には1人1部屋は難しいので、子ども2人1部屋のレイアウトで考えています。机を一気に2つ買うと場所を取るので、購入の決心がつかず、まだリビング学習は継続中。

そしてこの8年の間に、東京の地価はどんどん上昇し、購入した時よりも物件価格が上がってくれたのはいいけれど、広いところに引っ越したいと思った物件も驚くような高値。しばらくは様子見の日々が続きそうです。この広さで住み続けるには、スペース確保が必須。そのためにできることといえば、荷物を増やさず、捨て活やフリマアプリに出品する日々。目下、日課は「毎日捨てる、毎日出品」です。

これからの住まい選びで大事にしたいこと

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私たちの暮らしで大きな変化があったことといえば、3年前から流行り出した新型コロナですよね。それぞれに生活の変化は大きかったと思います。都会を離れて移住をした人や、テレワークが普及してテレワーク部屋を作った方、家や暮らしに関する価値観も大きく変化したと思います。

私自身も住まいや家族に関する考え方が、これまでの合理主義一辺倒から、あと10年くらいで終わってしまう子ども中心の生活を悔いのないように思い切り楽しみたい、そのためにはいろいろな余裕や遊びが大事と思うように。

都会の暮らしだけではなく、田舎に移住や海外暮らしもいいな〜と思ったり、地方暮らしの母も一緒に、みんなでワイワイ暮らしたいな〜と思ったり。広い家に、でっかい車も憧れますね。これからの住まい選びは、何かを我慢する暮らしから、自分の思いを大事に、夢や目標を叶える前向きな暮らしに進んでいくべきな気がします。

いや、日本の経済も然り、そうであってほしいと思っています。

経済と上手に付き合うために

経済の面から見ると、転換点がもう一つ。

これまでは超低金利だった日本の金利も少しずつ上向く傾向が強まってきました。諸外国では物の値段が上がってお金の価値が減るインフレが問題になっていますが、日本にもその波が少しずつやってきています。インフレになった時には、私たちがコツコツと貯めてきた現金や預貯金は価値が下がって目減りし、金(ゴールド)や株式、不動産など物で持っておくといいといわれています。そういった意味でも私たちの暮らしでは、不動産を所有することでインフレ対策にもなるんです。

私たちが住宅を購入するときに組む住宅ローン」は、現在、諸外国に比べても驚くほど低い金利水準で借りられます。この先の経済によってはもちろん上昇も考えられますが、現時点では、金利が低く、しかも住宅ローン減税まであるなんて、家を買いたい人にとってはとても優遇されているのです。

また、不動産という大きな買い物をする時には、家の資産状況を確認し、いる、いらないをしっかりと分別するきっかけにもなるし、お金の使い方に無駄はないか、今後はどういう資産構築をしていったらいいか、保険など、入ったら入りっぱなしになっているようなものも一旦整理しようと、お金の計画を改めて見直すきっかけになるのではないでしょうか?

そういった意味でも不動産を持つことは、人生設計の面でも、資産運用の中の面でも前向きな行動と言えそうです。

自分が選ぶ“家”という城との付き合い方は、将来を考えて前進あるのみ、ですね!

橋浦多美
橋浦多美

大学卒業後OLから25歳でアナウンサーへ転職。テレビ、ラジオ、司会等を中心に現在はフリーのアナウンサーとして活動中。得意分野は家計経済で、暮らしがよくなるお金との付き合い方を日々考えています。FP、宅建士、ビジネスマナー検定、食生活アドバイザーなどの資格を保有。双子男児の母。

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