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まるで美術品!うっとり眺めたい「エンボス加工缶」の魅力【お菓子缶の世界】#7

お菓子缶を愛して47年。3歳の頃からお菓子缶の魅力に取りつかれ、とうとうお菓子缶の専門書まで出してしまった,私、中田ぷうです。
今回は、今、増えつつあるエンボス加工が施された缶の魅力について迫りたいと思います。

エンボス加工とは?

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エンボス加工された缶を裏からみるとこんな感じです。

現在は紙のパッケージにも施されるようになってきましたが、エンボス加工とはもともと金属の容器にのみ用いられた加工方法です。

雄型(おがた)と雌型(めがた)と呼ばれる上下の金型で金属の板をはさみ、プレスすることによって缶の表面に凹凸ができ、立体的な表現が加わります。エンボス加工が施されていない缶と並べてみると、やはり迫力やインパクト、美しさが違うことを実感していただけると思います。

ただひとつ、エンボス加工は金型の製作費がかかるので、どうしても値段が高くなってしまうという問題があるのですが、最近は以前よりもエンボス加工を施したお菓子缶をちょくちょく見かけるようになりました。

やはりインパクトがあるので、商品の訴求力も強くなるのでしょう。エンボス加工を施したお菓子缶を作るメーカーやブランドが増えてきているように感じます。

輸入もののエンボス加工缶は、もはや美術品!

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こちらはイギリスのブランド『チャーチル』の「オーチャード(フルーツキャンディ)」という商品なのですが、ふただけでなく側面にもエンボス加工が施されており、本当に美しいのです! モチーフや色使いもちょっとクラシカルなのが、イギリスらしい缶。かなり昔からある缶ですが、今もネットなどで入手できますので、「チャーチル オーチャード 缶」で検索してみてください。

日本でも1977年から販売されている、イタリアの『アンブロッソリー』社の通称“ビーズ缶”(正式名は「デイジーキャンディ缶」)。97年に1度終売になりましたが、2009年にリバイバル販売。そこから10年以上経ちますが、今だ人気の缶で、中でも若い子たちの間では「レトロでかわいい!」と支持されています。

そしてこちらが輸入エンボス缶の最高峰だと思っている『ガーディナーズ・オブ・スコットランド』のファッジ缶。画像は鳥がエンボス加工されたものですが、他にも牧場の動物が描かれたものや海の動物が描かれたものなどがあり、ぜひ本物を見ていただきたい!

繊細な色使いとエンボス加工が本当に美しいのです。食のセレクトショップ『ディーン&デルーカ』などで取り扱いがあります。

イタリアで100年以上の歴史を持つ『トローニバーチ』の蝶番缶は、印刷が施されておらず、エンボス加工だけで仕上げた缶もあります。このシンプルな美しさ! エンボス加工ならではの良さが全面に出たチョコレート缶です。こちらもネットで見つけることができます。

日本ブランドからはおしゃれでかわいいエンボス加工缶をご紹介

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去年2022年、日本出店100周年を迎えた洋菓子メーカー『ユーハイム』。その100周年事業として、1980年頃からある「テーゲベック」のパッケージを刷新。缶ぶたに中に入っている“テーゲベック”をエンボス加工であしらった缶になりました。エンボス加工がなくてもかわいかったと思いますが、やはりエンボス加工がされたことでかわいさの迫力が増しています。これはぜひ店頭で本物を見ていただきたいです!

グルテンフリー&低糖質スイーツのブランド『青山デカーボ』の「ジュエルボタン缶」と「ミニジュエルボタン缶」は、ハイヒールとジュエルボタンの部分のみにエンボス加工を施したことで、インパクトのあるデザインに。

日本のエンボス加工缶を見ていると、外国のものほど全面にエンボスが施されていないのですが、部分的に加工を施すだけでも、缶のインパクトが強くなることがわかります。

いかがでしたか。エンボス加工が施された缶は、あの凹凸がおもしろく、つい裏面を見てはうっとりしています。最近では、紙箱でエンボス加工が施されたものが出てくるほど。今後も多くのエンボス加工が施された容器が誕生すると思います。

中田ぷう
中田ぷう

編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』、『素晴らしきお菓子缶の世界』(共に光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学生、大学生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。Instagram

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