子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

自家製にもトライ!ドライトマトを活用したおいしいレシピ【乾物と仲良くなろう!】

昔から身近にあるけれど、ちょっと手を出しにくいという人も多い乾物。でも実は、生の状態より水分が抜けて成分が凝縮されていることで栄養パワーがアップしていることが多く、長期保存も可能なため、使いこなせるとたくさんいいことがある食材なんです。

そんな乾物の栄養情報に加え、基本の戻し方やおいしいレシピを、栄養士であり料理家であるあーぴんさんが紹介してくれるシリーズです。

今回は西洋版の乾物ともいえる「ドライトマト」を取り上げます。セミドライとドライの2種類があり、使い方も多少異なるそう。家庭菜園で収穫したミニトマトがたくさんあるときなどに挑戦したい、手作りドライトマトの作り方もご紹介します。

ドライトマトの基礎知識

null

こんにちは。栄養士の道添明子です。料理家「あーぴん」として、時短簡単・美味しい・おしゃれな“みんなが笑顔になれる幸せごはん”の料理教室を主宰、簡単レシピを毎日SNSで発信しています。

さて、今回はレストランでは食べるけれど家庭ではあまり馴染みのないドライトマトについて。「ドライトマトが乾物?」と思われるかもしれませんが、食材を乾燥させて保存性を高めたり旨味をプラスしたりしている点では、日本の乾物と同じ仲間。

地中海沿岸では定番の食材で、パスタや煮込み料理によく使われています。ドライトマトの健康効果やおすすめレシピをご紹介します!

セミドライとドライの2種類があります

写真上:セミドライトマト、左:ドライトマト、右:ドライトマトのオイル漬け、瓶はハーブなどを加えたオイルにドライトマトを漬けた市販品。

セミドライトマトとは半乾燥させたトマトのことで、水分が少し残っていてやわらかめ。そのまま食べたり、パンに乗せたりして使います。セミドライトマトは常温では日持ちしませんが、オイルに漬ければ保存食として重宝します。

また、ドライトマトはセミドライをさらに乾燥させてカラカラにしたもの。常温で保存できます。普段お店で見かけるのはこのタイプが多く、国産のもの、地中海沿岸のトマトの産地で作られたものなどがあります。また、チェリートマト(ミニトマト)で作ったドライトマトに塩味や甘味をつけた加工品もあります。

ドライトマト100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:291kcal
・たんぱく質:14.2g
・鉄:4.2mg
・βカロテン:2600μg
・ビタミンC:15mg

【参照】日本食品標準成分表2020年版(八訂)

 

「トマトが赤くなると医者が青くなる」のことわざがあるように栄養豊富なトマト。赤い色のもととなる色素が、抗酸化作用があるリコピンです。リコピンは油と一緒に摂ると吸収が良くなるので、ドライトマトとオリーブ油の組み合わせは栄養的にも優れています。

ドライトマトのビタミンCは生のトマトの約2倍。ビタミンCにも抗酸化作用があり、シミや肌荒れの予防にも役立ってくれます。

ドライトマトの扱い方

null

ドライトマトは戻して使う

セミドライトマトはそのまま使えますが、ドライトマトは戻してから使います。熱湯に5分〜10分浸すだけと簡単。約1.5倍になります。

戻した後は刻んでお料理に使えます。戻し汁にも旨味が出ているので捨てずに一緒に使いましょう。

オイル漬けにする

ドライトマトのオイル漬けには市販品もありますが、ドライトマトをお湯で戻してからオイルに漬けるだけなので自分でも簡単に作れます。そのままお料理に使えて便利な上、保存性も良くなります。

ではここから、自家製ドライトマトの作り方と、ドライトマトを使ったレシピをご紹介します。

手作りセミドライトマト&ブルスケッタ

null

まずはセミドライトマトを作ってみましょう。気が付いたら冷蔵庫でミニトマトが傷んでしまっていた!なんてことがありませんか?

使い切れないミニトマトはオーブンで簡単に作れるセミドライトマトにするのがおすすめ。今回は一般的な赤いミニトマトを使いましたが、黄色やオレンジなどカラフルなミニトマトで作っても楽しいですよ。

できたセミドライトマトをオリーブオイルに漬けておけば冷蔵庫で3週間ほど保存可能です。また、セミドライトマトをさらに天日で乾燥させるとドライトマトになります。

【材料】(作りやすい分量)

・ミニトマト 1パック(約20個)
・塩・こしょう 各少々
・オリーブオイル 適量

(1)オーブンは130℃に予熱しておく。ミニトマトは洗ってヘタを取り、水分を拭いて横半分に切る。

(2)天板にキッチンペーパーをしいて、ミニトマトを切り口を上にして並べる。130℃のオーブンで60分焼く。焼き上がったら塩・こしょうをふる。

セミドライトマトはひたひたのオリーブオイルに漬けておくと2~3週間保存できます。切り口ににんにくをこすりつけ、トースターで焼いたバゲットスライスにのせればあっという間にブルスケッタが完成!

トマトの旨味たっぷり!ワンパンアラビアータ

null

唐辛子の辛味が効いたトマトパスタです。ドライトマトとカットトマトをダブルで使用するトマトたっぷりレシピ。ベーコンのコクとトマトのグルタミン酸のおかげで、シンプルな材料でも満足度の高い仕上がりです。

パスタは別茹でせずにフライパンひとつで完成するワンパンレシピです。ここでは太さ1.6mmの茹で時間3分のものを使用しました。麺に筋が入っていて、早く茹であがり、ソースもしみ込みやすいです。一般的な茹で時間のものを使用する場合には、焦げ付かないように水の量を調整してください。

【材料】(1人分)

・スパゲッティ 100g(1.6mm、茹で時間3分のものを使用)
・ベーコン 50g
・玉ねぎ 1/4個
・にんにく 1片(みじん切り)
・オリーブオイル 大さじ2
・ドライトマト 10g(お湯200mlで戻す)
・トマト缶(カット) 100g
・コンソメ(顆粒) 小さじ1
・塩・こしょう 各少々
・赤唐辛子 1本
・パルメザンチーズ 適量

【作り方】

<下準備>
・ベーコンは1cm幅に切る。
・玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。
・ドライトマトはお湯で戻しておく。
・赤唐辛子は種を除いて小口切りにする。

(1)フライパンにオリーブオイルを熱し、弱火から中火でにんにく、赤唐辛子を炒めて香りを出す。ベーコンを加えて炒め、玉ねぎを加えて透き通るまで炒める。

(2)(1)にドライトマト、トマト缶、コンソメ、スパゲッティを加え、蓋をして中火で3分煮込む。
※麺が汁にきちんと浸っているように注意する。フライパンが小さい場合はスパゲッティを半分に折ってから入れる。

(3)仕上げに塩・こしょうで味をととのえる。器に盛りつけ、好みでパルメザンチーズを添える。

栄養満点コロコロ野菜スープ

null

冷蔵庫にある基本野菜、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんに加え、セロリを葉まで丸ごと使いました。食物繊維たっぷりの腸活デトックススープです。野菜は同じ大きさに切ると火の通りも均一になり、仕上がりもきれいです。にんじんはじゃがいもや玉ねぎよりやや火の通りが悪いので、少し小さめに切ると良いでしょう。

鶏手羽元や手羽先などを加えると一品で大満足なおかずスープになります。ここではウインナーを入れましたが、ベーコンやハムでも。

今回はセミドライトマトを使用しましたが、ドライトマトを使用する場合にはドライトマト20gを熱湯で5分戻して、1cm幅に切って使用してください。ドライトマトを使用することで生のトマトに比べて旨味がアップし、よりおいしく仕上がります。

【材料】(4人分)

・玉ねぎ 1個
・じゃがいも 1個
・にんじん 1本
・セロリ 1本(150g)
・ウインナー 3本
・セミドライトマト(オイル漬け) 10個
・オリーブ油 大さじ1(セミドライトマトを漬けたもの)

<調味料>
・水 400ml
・固形スープの素 1個
・塩・こしょう 各少々
・粗挽き黒こしょう(仕上げ用) 適量

(1)玉ねぎ、じゃがいも、にんじんは1cm角に、セロリは筋を取ってから1cm角に切り、葉は刻む。ウインナーは1cm幅に切る。

(2)鍋にオリーブ油を熱し、セロリの葉以外の野菜とウインナーを入れて軽く炒め、セミドライトマトを入れる。<調味料>を入れて、蓋をして野菜が柔らかくなるまで煮込む。アクがあれば途中で取る。

(3)野菜がやわらかくなったら、セロリの葉を加えて塩・こしょうで味を調える。器に盛りお好みで粗挽き黒こしょうをふる。

ドライトマト、セミドライトマトは、乾燥させることで元々栄養豊富なトマトの成分がさらに凝縮され、おいしさも栄養価もアップ。生のトマトとは違う味わいの旨味がお料理に深みを出してくれます。

ミニトマトがたくさんあるときはぜひおうちでもドライトマト作りにチャレンジしてみてくださいね!

道添明子(あーぴん)
道添明子(あーぴん)

栄養士、料理家。
日本女子大学食物学科卒業。大手食品会社にて新製品の企画開発などに携わる。その後企業向けの料理レシピ開発、シルバー大学や料理教室講師、企業の健康栄養セミナーなどで幅広く活躍。
「健康な体は毎日の食生活から」をモットーに、初心者でも作りやすいよう調理法を工夫し、素材を生かしたメニューを得意とする。各種SNSで日々レシピ情報を更新中。

https://lit.link/apinakikomichizoe

新刊『旬と野菜を愉しむあーぴんの絶品おかず』(宝島社)2023年9月13日発売!

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載