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えっ「マーガリン」ってフランス生まれ!? 「バター」との違いで気になるのは…

知ってると誰かに話したくなるような【食べ物の違い豆知識】を紹介するこのシリーズ。30回目は、見た目も用途も似ているこの2つ。料理研究家・時吉真由美さんにうかがいました。

まずは「バター」と「マーガリン」について調べてみると…

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バター

牛乳から分離した脂肪分を練り固めた食品。加塩バターと無塩バターがあり、脂肪とビタミンA・Dに富む。

【出典】日本国語大辞典 小学館

マーガリン

大豆油・綿実(めんじつ)油などを原料とし、食塩・乳化剤・香料・着色料などを練り合わせ、バター状に仕上げた食品。1869年にフランスで初めて製造。人造バター。

【出典】デジタル大辞泉 小学館

つまり「バター」と「マーガリン」の違いって?

パンに塗ったりお菓子に使ったりと、似たような用途で使われることの多い両者ですが、原料に違いがありました。

バターは牛乳、マーガリンは大豆油や綿実油などの植物油脂がおもに使われます。

しかし、調べてみると、確かにマーガリンの主原料は植物油脂ですが、なかには魚油や豚脂・牛油といった動物油脂も使われることもあるようです。

完全に別物!…なのに似ているのにはこんな理由が

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原料だけではなく、製造工程も違うんですよ、と料理研究家・時吉さん。

バターは、生乳から分離させた乳脂肪を練り固めて作られます。乳脂肪分が80%以上であること、と規定されているんですよ。一方のマーガリンは、油脂に食塩・乳化剤・香料・着色料などを練り合わせて固めます」(以下「」内、時吉さん)

必要成分のみを取り出すか、さまざまなものを加えるか……製造方法もまったく異なるんですね。

バターとマーガリンの違い一覧

ちなみに、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によると、バターは“乳脂肪分が80.0%以上、水分が17.0%以下”と成分が規定されていました。

マーガリンは、農林水産省のJAS(日本農林規格)によると、油脂含有率によって80%以上がマーガリン、80%未満はファットスプレッドという名称で分類されます。

「固さも違いますよね。バターの質感は固めなので、いったん室温に戻さなければパンに塗ったりしにくいですが、マーガリンは冷えていてもやわらかいので、たとえ冷蔵庫から取り出した直後でもすぐに使えるのが便利です」

たしかに!

「お料理ではお互いに代用し合えますし、状態もほぼ同じように仕上がります。ただし、味わいや香りには違いが出ます。バターは牛乳が原料ということもあって、やはり風味が豊かでコクがあるんですよね。それに比べると、マーガリンはあっさりとした味わいですから、好みに合わせて使い分けておられる方も多いのではないでしょうか」

気になる?マーガリンの「栄養」の今

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ところで、マーガリンは体によくないと聞いたことがある……という人もいるかもしれません。その原因としてよく聞かれるのが、「トランス脂肪酸」です。

トランス脂肪酸とは、マーガリンなどの製造工程で生じる不飽和脂肪酸の一種。これを多く摂取すると、いわゆる悪玉コレステロールを増やし、心筋梗塞などのリスクを高めるという報告がWHO(世界保健機関)から出され、そこから健康を懸念する声が広がりました。

それを受けて、WHOは2003年、トランス脂肪酸の摂取量を減らす目標値を示しました(日本人の場合、1日の平均エネルギー量1900kcalで計算すると、1日に摂るトランス脂肪酸は2g未満が目標)。

食品中のトランス脂肪酸の含有量グラフ

内閣府 食品安全委員会「脂質の摂取~トランス脂肪酸を理解するために~」(平成30年)のデータをもとに作図

日本では、企業によるさまざまな工夫と努力の結果、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は、10年ほど前に比べてなんと9分の1ほどに減少しているんです(マーガリンから、添加物と水分を抜いたショートニングも、なんと12分の1に激減!)

……というわけで、よほど偏った食生活でない限り、それほど過敏になる必要はないのかもしれません。

こうした情報もアップデートしつつ、改めてバターとマーガリンを上手に使い分けていけるといいですね。

マーガリンってじつは救世主だった!?

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バターはフランス料理には欠かせない食品のひとつ

「そもそも、なぜマーガリンが誕生したのかご存じですか?

1869年、当時戦争中だったフランスではバターが不足したため、皇帝・ナポレオン3世がバターの代替品を懸賞募集。ある化学者のアイディアが採用されて誕生したのが、マーガリンのはじまりなんだそうです」

知りませんでした!

「戦争中なのになんとかしてバターの代用品を生み出すほど、フランスでは普段の食卓にバターが欠かせなかったことがうかがえますよね」

フランス料理ってたしかにバターをよく使うイメージがありますね。マーガリンが、そんなフランスでのバター不足を助ける救世主だったとは驚きました。現在では代用品としてではなく、すっかりひとつの食品として認識されるくらい親しまれるのも、発明のおかげだったんですね。

食べ物の違いのみならず、こうした誕生秘話も興味深いですね。

 

構成/kufura編集部

 

【参考】

・厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78333000&dataType=0&pageNo=1

・農林水産省「JAS一覧 マーガリン類」
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kikaku_itiran2-452.pdf

・厚生労働省「トランス脂肪酸に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091319.html

・内閣府 食品安全委員会「脂質の摂取~トランス脂肪酸を理解するために~」
file:///C:/Users/ZZ0555/Downloads/kai20180524ik1_210.pdf

時吉真由美
時吉真由美

料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表

土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍。

Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。

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