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「栗」の簡単皮むきテク・栄養・茹で時間など、もっとおいしく食べる基礎知識

栗は秋の味覚の代表格。実はアーモンドやくるみなどと同じくナッツの仲間です。ナッツということはカロリーが高いの?など気になる点もありますよね。
また、おいしいけれど自分で調理するとなるとやはり皮むきが大変なので、購入を迷うという人も多いかも。今回は、皮むきが楽になるテクニックをはじめ、気になる栗の栄養情報、調理のコツなどを、管理栄養士の小嶋絵美さんにまとめて教えてもらいました!

糖質多め、脂質少なめ!栗の栄養情報

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栗100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:147kcal
・炭水化物:36.9g
・たんぱく質:2.8g
・糖質:32.7g
・食物繊維:4.2g
・カリウム:420mg
・カルシウム:23mg
・鉄分:0.8mg
・ビタミンB1:0.21mg
・ビタミンB6:0.27mg
・葉酸:74μg
・ビタミンC:33mg

栗に含まれるカロリー・食物繊維・脂質・たんぱく質

栗はアーモンドやくるみなどと同じナッツ類。アーモンドなどに比べると糖質は多いですが、脂質・たんぱく質は控えめで低カロリーです。

栗はビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれているので健康やダイエットに役立ちますが、どのくらい食べてもいいのかが、気になるところ。

ナッツ類100gあたりのエネルギー・糖質・脂質・たんぱく質

・日本ぐり(生):147kcal/糖質32.7g/脂質0.5g/たんぱく質2.8g
・アーモンド(いり 無糖):608kcal/糖質9.7g/脂質54.1g/たんぱく質20.3g
・くるみ(いり):713kcal/糖質4.2g/脂質68.8g/たんぱく質14.6g
・落花生(大粒 いり):613kcal/糖質9.9g/脂質49.6g/たんぱく質25.0g

 

おやつとして食べる場合、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」によると間食は200kcalが目安なので、1日約8個(約200kcal)ほどにとどめるとよいでしょう。

栗に期待できる効果・効能

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食物繊維が豊富!

食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、栗には水溶性食物繊維0.3g、不溶性食物繊維3.9gと不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は腸内環境を整えることで便秘予防はもちろん、新陳代謝を高めることで健康だけでなく美容にもいい影響が期待できます。

栗に含まれるビタミン類

・ビタミンB群
栗にはビタミンB1、ビタミンB6、葉酸などビタミンB群が含まれていますが、ビタミンB群の働きで注目したいのがその「チームワーク」。複数を合わせて摂ると作用を高めることができるんです。ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝をサポートする働きがあり、ビタミンB6はたんぱく質の分解やエネルギー代謝に役立ちます。葉酸は赤血球を作るために必要で貧血が気になる人におすすめです。

・ビタミンC
ビタミンCは体内でコラーゲンを生成するために必要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康を維持する働き、抗酸化作用があり、免疫力を高める、しみ・そばかす予防、貧血予防(鉄分の吸収を助ける)、ストレスへの抵抗力を高めるなど健康や美容に役立つ働きを持っています。

ビタミンCは加熱調理によって壊れやすいですが、栗に含まれるビタミンCはでんぷん質に守られているので加熱調理をしても壊れにくいのがうれしいポイントです。

栗にはミネラル類もたくさん!

・鉄分
鉄分は全身に酸素を運ぶ役割を担っています。吸収率が低いこともあり不足しやすいのですが、栗に含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収を高めることができます。栗にはもともとビタミンCが含まれているので鉄分を効率よく摂取できますね。

・カルシウム
カルシウムは骨や歯を健康で丈夫に保つ、神経の情報伝達に関わる、全身(心臓含む)の筋肉の動きを調整するなど、丈夫な身体づくりや健康のために大切な役割を担っています。カルシウムは不足しがちなので、いろいろな食品から積極的に補いたいですね。

・カリウム
カリウムは野菜不足など偏った食生活で不足しがちなミネラルですが、栗にも含まれています。体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促す働きがあり、塩分を摂りすぎる傾向にある日本人にとって重要な栄養素です。

事前準備が重要!栗のむき方

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鬼皮のむき方

栗の実を包む硬くてツルツルとした丈夫な皮を「鬼皮」といい、鬼皮をむくと現れる薄い皮を「渋皮」といいます。鬼皮はそのままでは硬いため、水または熱湯に浸してやわらかくしてからむきます。水なら一晩、熱湯なら1時間ほどを目安にしてくださいね。詳しいむき方は下記の通りです。

  1. 栗は水またはお湯に浸けておく。
    ※浸水時間は水なら一晩、熱湯なら1時間ほど。
  2. 色が薄くざらざらしたおしりの部分を切り落とす。
  3. あらかじめ切れ込みを入れた部分からむく。むいたあとは水に浸けておく。

渋皮煮にするなど渋皮を残したい場合は、2で切り落とす部分を小さくし、手で丁寧にむきましょう。

渋皮のむき方

栗の甘露煮や栗ご飯を作りたいときは渋皮もきれいにむきましょう。

鬼皮をむいた栗はおしり側から包丁を入れて渋皮を引っ張るようにして一気にむきます。これを繰り返すと表面がボコボコにならず、きれいにむけます。包丁が滑って怪我をしないように気をつけてください。

渋皮をむいたあとは水に10分以上浸けてアク抜きをしましょう。

まるごと茹でれば皮むきいらず

栗の皮むきが面倒なときは、まるごとゆでるだけで簡単においしく食べられますよ。鍋に丸ごとの栗500g(約20個)、水1.5ℓ、塩大さじ1を入れて強火で沸かしたら、弱火にして30分以上茹でます。

火を止めて粗熱がとれるまで待ち、ザルに上げたら、包丁で半分に切り小さめのスプーンを使って実をすくって食べます。

栗の保存方法

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丸のまま保存する

栗は硬い鬼皮があるので丈夫そうに見えますが、常温で保存すると中の実が乾燥しやすいため、冷蔵保存がおすすめです。新聞紙に包んでからビニール袋に入れて冷蔵庫へ。また虫が付くのを防ぐという意味でも冷蔵保存がいいでしょう。

むいた栗の保存方法

栗をすぐに使い切れないときは冷凍保存しましょう。渋皮をむいてアク抜きした栗は水気を丁寧にふき取り、保存袋に重ならないよう平らに入れて空気を抜き冷凍庫へ。このとき金属トレーに乗せると早く温度が下がり鮮度をキープできますよ。

冷凍栗は凍ったまま栗の甘露煮や栗ご飯に使えて便利です。保存期間は約1カ月を目安に、必ず加熱調理して食べてください。

 

撮影:黒石 あみ(小学館)

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・厚生労働省 農林水産省「食事バランスガイド」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」 http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・JA「とれたて大百科」クリ(栗)
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=69

(最終参照日:2021/02/23)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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