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夏の甘酸っぱい味「あんず」!ドライあんずとの栄養の比較や保存方法について解説します

アプリコットオレンジと言われるように、赤みがかったオレンジ色が特徴的なあんず。あんずにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。旬の季節は夏ですが通年手に入るドライあんずは身近な存在ですね。生のあんずとドライあんずの違いや保存方法、おすすめの食べ方まで解説します!

あんずの栄養情報

あんずの栄養情報

生のあんずは酸っぱくてシロップ漬けやドライフルーツに加工されることが多く、食べたことがないという人の方が多いかもしれません。

あんずとプラムの違いは?

同じくらいの時期に出回る、あんずと似た果物に「プラム」があります。

つるりとしたピンク~赤色の果皮をもつプラムは、甘酸っぱくみずみずしい食感が特徴。一方あんずは「アプリコットオレンジ」と呼ばれる鮮やかなオレンジ色が特徴。爽やかな酸味が初夏らしさを感じさせます。機会があればぜひ食べ比べてみてくださいね。

あんず100gあたりに含まれる主な栄養素

・エネルギー:37kcal
・炭水化物:8.5g
・糖質:6.9g
・食物繊維:1.6g
・水分:89.8g
・カリウム:200mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.1mg
・β-カロテン:1400μg
・β-クリプトキサンチン:190μg
・α-トコフェロール:1.7mg
・ビタミンB2:0.02mg
・ビタミンB6:0.05mg

ドライあんずとの栄養価の違い

ドライフルーツでお馴染みのドライあんず。生のあんずよりも手軽に手に入り、親しみがありますね。生と比べて水分が約1/5と少ないです。エネルギーは8倍、鉄分は約7.7倍、亜鉛は9倍、β-カロテンは約3.4倍に。ほとんどの栄養素は増加しています。

以下はドライあんず100gあたりの数値です。

・エネルギー:296kcal
・炭水化物:70.4g
・糖質:60.6g
・食物繊維:9.8g
・水分:16.8g
・カリウム:1300mg
・鉄:2.3mg
・亜鉛:0.9mg
・β-カロテン:4800μg
・β-クリプトキサンチン:270μg
・α-トコフェロール:1.4mg
・ビタミンB2:0.03mg
・ビタミンB6:0.18mg

あんずの糖質・カロリーとダイエット

生のあんずは一般的な果物と比べてみるとバナナ、りんご、みかん、キウイよりエネルギー・糖質ともに控えめで低カロリー・低糖質な果物といえます。ドライあんずは水分が減っているため、同じ重さあたりの糖質量は生のあんずの約8.8倍になります。

ダイエット中のデザートやおやつ(間食)にあんずは適するの?と、気になるところ。あんずはダイエット中に役立つ食物繊維やカリウムが豊富でヘルシー。だから、ダイエット中も安心して食べられますよ。

食べる量は生のあんずなら1日200g程度を目安に。ドライあんずなら1日60~70g(200kcal程度)までにするとよいでしょう。また、シロップ漬けやジャムは砂糖が入るため生のあんずよりも高カロリーかつ高糖質。食べすぎには注意です。

【果物100g当たりのエネルギーと糖質】

・あんず…37kcal、糖質6.9g
・ドライあんず…296kcal、糖質60.6g
・あんずシロップ漬け(缶詰)…79kcal、糖質18.1g
・あんずジャム…252kcal、糖質64.2g
・バナナ…93kcal、糖質21.4g
・りんご…56kcal、糖質14.3g
・みかん…49kcal、糖質11.0g
・キウイ…51kcal、糖質10.8g

美容に、健康に!あんずの効果・効能

美容に、健康に!あんずの効果・効能

食物繊維補給にはドライあんずを上手に活用!

食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、あんずにはどちらも含まれています。ドライあんずの方が生のあんずよりも食物繊維が豊富です。

水溶性食物繊維のペクチンは食後の血糖値の上昇をゆるやかにする、コレステロールの吸収を抑える働きがあり、生活習慣病の予防や改善に役立ちます。不溶性食物繊維は腸内環境を整えることで新陳代謝を高め、美肌や美容にもいい影響が期待できますよ。

【あんず100gあたりに含まれる食物繊維】

・あんず…水溶性食物繊維0.6g、不溶性食物繊維1.0g
・ドライあんず…水溶性食物繊維4.3g、不溶性食物繊維5.5g

さまざまなビタミン類が含まれる

あんずは健康や美容に役立つさまざまなビタミンが含まれています。

・β-カロテン、β-クリプトキサンチン
体内でビタミンAとして利用されるためプロビタミンAと呼ばれます。皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあり、乾燥肌やニキビの予防に役立つほか、抗酸化作用によって老化予防(アンチエイジング)も期待できます。

・α-トコフェロール
体内でビタミンEとして働く栄養素のなかで最も強い作用を持っています。抗酸化作用があり、老化や動脈硬化の予防に役立つほか、末梢血管を拡張する、性ホルモンの分泌に関わるなどさまざまな働きをしています。

・ビタミンB群:ビタミンB2、ビタミンB6
ビタミンB2、ビタミンB6ともにエネルギー代謝に関わっています。代謝を高めたいときにおすすめの栄養素です。しかも、ビタミンB群は複数が力を合わせて作用が高まりますよ。ドライあんずをヨーグルトやコーンフレークのトッピングにするなど、ビタミンB群を含む乳製品と合わせてみてもいいですね。

不足しがちなミネラル類も!

あんずにはカリウム、鉄分、亜鉛など不足しがちなミネラルが含まれています。ミネラルを効率よく摂取したいときにはドライあんずがおすすめ。

・カリウム
カリウムは偏った食生活で不足しがちですが、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促すことで健康に役立っています。塩分を多く摂りがちな日本人には重要な栄養素。持ち運びできるドライあんずは忙しいとき、手軽にカリウム補給できるおやつ(間食)に最適ですね。

・鉄分
鉄分は全身に酸素を運ぶ役割をしている反面、吸収率が低いこともあり不足しやすくなっています。貧血が気になる人だけでなく、健康のためにも積極的に取り入れたいですね。そのままさっと食べられる、おいしいドライあんずなら手軽に鉄分補給できますよ。

・亜鉛
亜鉛は味覚に関与する栄養素です。不足すると味が感じにくくなることがあります。偏った食生活、極端な食事制限によるダイエットで不足しがち。バランスのよい食事を心がけ、ドライあんずのように亜鉛を含む食品を取り入れるのもおすすめです。

あんずの保存方法・おいしい食べ方

あんずの保存方法・おいしい食べ方

追熟は室温、完熟したら冷蔵庫へ!

未熟なあんずは室温(冷暗所)に数日置き、追熟させることで甘くおいしくなりますが、完熟すると傷みやすいので冷蔵保存します。

このとき果肉が重なっていると重みで傷みやすくなるためパックまたは保存容器に重ならないよう1段に並べて、乾燥を防ぐためにパックならポリ袋に入れて、保存容器なら蓋をして冷蔵庫の野菜室へ。早めに食べ切りましょう。

あんずは冷凍保存もできます!

完熟したあんずを食べ切れないときは冷凍で約1カ月保存できます。皮付きのまま、縦の筋に沿って一周切れ込みを入れ半分にします。種や黒い部分、傷んでいる部分があれば取り除き、食べやすい大きさに切って保存袋に重ならないよう平らに並べて入れ冷凍庫へ。

冷凍あんずは冷蔵庫に移して半解凍になった頃、シャーベットのような食感が楽しめるほか、凍ったままヨーグルトや牛乳と合わせミキサーにかけてスムージーやジェラートとしておいしく味わえます。完全に解凍すると食感を損なうので解凍中は忘れないように気を付けてくださいね。また、冷凍保存とはいえ長期保存したものは加熱調理でジャムにしてから食べると衛生的です。

ドライあんずのおいしい食べ方・レシピ

そのまま食べることが多いドライあんず。あまり知られていないおいしい食べ方やレシピをご紹介します。とっても簡単に作れるのでぜひ、お試しください。

・濃厚あんずジャム

あんずを砂糖と一緒に鍋でコトコト煮ると、水溶性の食物繊維(ペクチン)の力でとろみがついた甘酸っぱくておいしいジャムが作れますね。このとき、生ではなくドライあんずを使えば、とっても濃厚な味わいのジャムが作れるんです。手作りジャムができたら、夏はかき氷にかけて食べるのがおすすめです。色鮮やかで、とってもおいしいですよ。

・ドライあんずヨーグルト
ドライあんずをヨーグルトにトッピングするとおいしいのはもちろんですが、夜のうちにドライあんずをヨーグルトに漬け込んでおくとドライあんずがやわらかくなり、味が馴染んで次の日の朝ちょうどおいしく味わえますよ。ひと味違ったフルーツヨーグルトをぜひ一度味わってみてくださいね。

・撮影/黒石 あみ(小学館)

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省 農林水産省「食事バランスガイド」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・JA「とれたて大百科」スモモ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=86

(最終参照日:2022/01/07)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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