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傷みやすい「桃」の保存方法や上手な皮のむき方を紹介!桃と桃の缶詰での栄養の違いも

淡いピンク色、丸いフォルム、甘い香り……初夏の果物の中でも高い人気を誇ります。生の桃と缶詰で、栄養はどれくらい変わるの? 傷みやすい桃の上手な保存方法って?きれいに皮をむくには?などなど、桃に関するさまざまな疑問に管理栄養士がお答えします! 短い桃のシーズンをより楽しく味わうための基礎知識です。

桃の栄養情報

桃の栄養情報

実は歴史の古い果物である桃は、弥生時代に日本へ伝わったといわれています。桃は白桃のほかにも黄桃、ネクタリンなどさまざまな仲間が存在しています。今回は淡いピンク色の皮に白い果肉が特徴の「白桃」について解説していきます。

白桃1個(可食部約210g)あたりに含まれる栄養素

・エネルギー:80kcal
・糖質:18.7g
・ビタミンE(α-トコフェロール):1.5mg
・ナイアシン:1.3mg
・ビタミンC:17mg
・カリウム:378mg
・マグネシウム:15mg
・鉄分:0.2mg
・亜鉛:0.2mg
・食物繊維:2.7g

白桃の缶詰の主な栄養素

生の桃は出回る期間が短いですが、缶詰の桃は手に入りやすくそのおいしさからも大人気で、昔から親しまれてきました。缶詰に含まれる主な栄養素をご紹介します。

 

白桃の缶詰210gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:172kcal
・糖質:40.3g
・ビタミンE(α-トコフェロール):2.5mg
・ナイアシン:0.6mg
・ビタミンC:4mg
・カリウム:168mg
・マグネシウム:8mg
・鉄分:0.4mg
・亜鉛:0.4mg
・食物繊維:2.9g

比較のために生の白桃と同じ210gで算出すると、缶詰の方がエネルギーと糖質、ビタミンE(α-トコフェロール)、鉄分、亜鉛は高くなり、水溶性の栄養素であるナイアシン、ビタミンC、カリウムは少なくなっています。これはシロップ漬けにすることで糖質が増えるのと同時に、水溶性の栄養素が水分とともに流出してしまうからです。

白桃のエネルギー(カロリー)と糖質

生の白桃の100gあたりのエネルギーは38kcal、糖質は8.9gです。身近な果物のバナナやりんご、みかんよりもエネルギー・糖質ともに控えめ。また果物のなかでもヘルシーないちごと比較してみても白桃の数値はやや上回る程度。甘いから高カロリーなイメージがあるかもしれませんが、あまり心配する必要はなさそうです。

ただ、これは生の白桃での話。白桃の缶詰ではシロップ漬けになる分、エネルギー・糖質ともに生と比べてなんと2倍以上に! エネルギーや糖質の摂り過ぎを避けたいなら、生の白桃をおすすめします。

【果物100gあたりのエネルギーと糖質】
・白桃…38kcal、糖質8.9g
・白桃の缶詰…82kcal、糖質19.2g
・バナナ…93kcal、糖質21.4g
・りんご…56kcal、糖質14.3g
・みかん…49kcal、糖質11.0g
・いちご…31kcal、糖質7.1g

美肌にも期待!白桃の効果・効能

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白桃に含まれる多様なビタミン

白桃には各種ビタミンが含まれていますが、今回はビタミンE(α-トコフェロール)、ナイアシン、ビタミンCについて解説します。

・ビタミンE(α-トコフェロール)
ビタミンEは強い抗酸化作用と血流を促進する働きにより、美容や健康に役立つ栄養素です。酸化されやすい性質によりビタミンEを含む食べ物は傷みやすいといわれていますが、白桃も同様。味はもちろん、栄養面も考えて新鮮なうちに食べることが大切です。

・ナイアシン
ビタミンB群の仲間で糖質や脂質の代謝やアルコールの分解をサポートしています。ビタミンB1からはじまり葉酸、パントテン酸、ナイアシンなどのビタミンB群の働きの中でも、注目したいのがその「チームワーク」です。ビタミンB群は複数合わせて摂取することでその作用を高めることができます。

白桃は乳製品と組み合わせてヨーグルトやスムージーとしてもおいしく味わえますが、ビタミンB群は乳製品にも含まれているので栄養面から見ても相性がいいことが分かります。

・ビタミンC
ビタミンCは体内でコラーゲンを合成する働きや抗酸化作用があり、しみ・そばかす予防、免疫力を高める、ストレス対策など美容や健康に役立つさまざまな働きを持っています。水溶性のため、煮たり茹でたりすると失われやすいため、調理不要で生のまま、おいしく味わえる果物はビタミンCの補給にぴったりと言えます。

食物繊維ペクチンの働き

白桃には、野菜や果物に含まれる水溶性の食物繊維であるペクチンが含まれます。腸内環境を整える、血糖値を下げるなど健康にうれしい働きを持っています。また、ペクチンはジャムなどをゼリー状に固める性質があり「天然のゲル化剤」としても利用されています。

白桃に含まれるミネラル

白桃にミネラルというイメージを持つ人は少ないかもしれませんが、実はカリウムや鉄分、亜鉛など日頃不足しがちなミネラルも含まれています。

・カリウム
カリウムは偏った食生活で不足しがちなミネラルですが、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促すことで高血圧予防や生活習慣病予防に役立っています。塩分を摂りすぎる傾向にある日本人にとって、重要な栄養素なのです。おいしい白桃を食べて知らず知らずのうちにカリウム補給ができるなんて、うれしいですよね。

・鉄分
鉄分は血液に多く含まれ全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。鉄分は吸収率が低いこともあり不足しやすく、意識して取り入れたいミネラルです。野菜や果物などに含まれる鉄分は非ヘム鉄といい、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収が高まります。白桃は鉄分とビタミンCどちらも含まれているので効率よく摂取できるということになります。

・亜鉛
亜鉛は主に魚介類や肉などに多く含まれていますが、果物や種実類にも含まれています。亜鉛は味覚と深い関わりがあり、不足すると味が正常に感じられなくなるなどの欠乏症が現れることがあります。鉄分と同じく亜鉛も吸収率は高くありませんので果物だけでなくいろいろな食材からバランスよく取り入れたいですね。

白桃をおいしく食べるには?保存・皮むきのコツ

白桃をおいしく食べるには?保存・皮むきのコツ

白桃の保存方法

おしりまできれいなピンク色になったら食べ頃!

未熟な白桃は常温で保存します。常温で追熟が進み甘くなりますが、食べる前は冷蔵庫で冷やすと甘みが増し、より一層おいしく味わえます。

桃のおしりを見て緑色がなくなってきたら熟したしるしです。冷やし過ぎると甘みを感じにくくなるので、食べる2時間ほど前に冷蔵庫に入れるようにしましょう。

また、氷水に15分ほど浸して急冷する方法もありますので、急いでいるときは試してみてください。

白桃は冷凍できる?

白桃はまるごと冷凍保存することができます。熟した白桃は傷みやすいので、2~3日中に食べ切れないときは冷凍保存がおすすめです。水洗いした白桃はキッチンペーパーでやさしく丁寧に水気をとり、ひとつずつラップで包むだけ。

さらに保存袋に入れることで酸化が防げるので、鮮度をキープして長持ちさせることができます。

果物は水分が失われたり、空気に触れて酸化が進んだりすることで味だけでなく栄養面でも劣化してしまいますが、冷凍保存ならおいしさも栄養も長持ち。食べるときは白桃の上部に包丁で浅く十字に切れ込みを入れ、流水を当てれば素手で簡単に皮をむくことができます。

白桃の皮のむき方

実が柔らかい白桃は皮がむきにくい! おすすめの方法2つをご紹介します。

■湯むき

  1. 小鍋に白桃が浸かるくらいのお湯を沸かす。
  2. 中火にしたまま、上部に浅く十字の切り込みを入れた桃を入れる。20秒程度を目安に、ときどき上下を返しながら皮全体をまんべんなく湯に当てる。
  3. 鍋から桃を引き揚げて氷水で冷やし、切り込み部分から手で優しく皮をむく。

■包丁の背でなでる

白桃を包丁の背でなでるだけで皮がつるっとむけやすくなります。お湯を使えないときにおすすめの方法です。

  1. 包丁(小さめの果物ナイフでも)の背で、白桃の皮全体をやや強めになでる。なでる力加減は皮の色が少し変わるくらいの強さです。ポイントは全体をまんべんなくなでること。
  2. 包丁で桃の上部に浅く十字の切れ込みを入れて、素手でやさしく皮をむく。

 

・撮影/黒石 あみ(小学館)

【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
・JAグループ「とれたて大百科」もも
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=67
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」 http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html

(最終参照日:2021/12/14)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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