子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

デコポンは…不知火?栄養や美味しさを保つ保存方法、選び方を解説します【管理栄養士監修】

寒くなってくると柑橘類がたくさん出回りますが、なんとなく買うものを決めているという人も多いかもしれません。その違いをしっかり知れば、選ぶのがもっと楽しくなります。数回に分けて、冬から春にかけてが美味しい、身近な柑橘類の栄養や味わいの違いについて解説していきます! 今回はポコンと突き出たおへそが特徴的な不知火(デコポン)をご紹介します。

不知火(デコポン)の特徴

不知火(デコポン)の特徴

「不知火(しらぬい)」は清美とポンカンという2種の柑橘類を掛け合わせて生まれた品種です。実がみかんよりもひと回り大きく、ヘタがぷっくりと膨れたフォルムが特徴。

この形で見覚えがあるものに「デコポン」がありますが、違いはあるのでしょうか。実は「不知火」が品種名であるのに対して、「デコポン」はJA熊本果実連が持つ登録商標(ブランド名)です。

不知火の中でも糖度などの厳しい基準を満たしたものだけが、「デコポン」という名で販売することを認められているのです(以下本文中は「不知火」と表記します)。

不知火(デコポン)の旬

不知火の旬は春の時期で2~5月頃。収穫したあと、1~3週間ほど貯蔵して酸味を抜いてから出荷されています。

皮むき簡単なのがうれしい!

不知火の皮はデコボコしていて一見するとかたそうですが、みかんと同じように手で簡単にむくことができます。

じょうのうと呼ばれる薄皮もやわらかく、そのまま食べられます。

しっかしりた甘み&ぷりぷり食感

甘みが強く、ほのかな酸味があります。果汁がたっぷり、ぷりっとジューシーな食感が魅力です。甘みが強く、果汁が多いのでジュースやスイーツ作りにも向いています。

不知火(デコポン)の栄養情報

不知火(デコポン)の栄養情報

不知火(デコポン)のエネルギー・糖質

不知火は1個(可食部約175gあたり)でエネルギー98kcal、糖質21.5gです。甘みが強いため、ほかの柑橘類と比べてみるとややカロリーが高いことが分かります。

【柑橘類のエネルギー・糖質(100gあたり)】

・不知火:56kcal、糖質12.3g
・温州みかん:49kcal、糖質11.0g
・はっさく: エネルギー47kcal、糖質10.0g
・甘夏:エネルギー42kcal、糖質8.8g

ビタミン類が豊富!

不知火には次のようなビタミン類が豊富に含まれています。※以下、全て不知火1個(可食部約175gあたり)の含有量

・β-クリプトキサンチン:1103μg
β-クリプトキサンチンは柑橘類に含まれているカロテノイド色素で柑橘類の色味(黄色や橙色)の素になる成分です。体内でビタミンAとして利用されるためプロビタミンAと呼ばれます。皮膚や粘膜の健康維持、免疫力を高める、視覚を正常に保つほか子どもの成長にも欠かせない栄養素です。

・葉酸:30μg
名前からは少し分かりにくいですが、葉酸はビタミンB群の仲間です。特に産前産後や赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素ですが、男女問わず全ての人に大切な栄養素です。赤血球を作るために必要で貧血予防に役立ちます。

・ビタミンC:84mg
ビタミンCは体内でコラーゲンを生成するために必要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあるほか、免疫力を高める、しみ・そばかす予防、貧血予防(鉄分の吸収を助ける)、ストレスへの抵抗力を高めるなど健康や美容にうれしいさまざまな働きを持っています。

カリウムでむくみ防止&生活習慣病予防

不知火1個(可食部約175g)にカリウムは298mg含まれています。カリウムは偏った食生活で不足しやすいミネラルです。水分代謝に役立つほか、塩分(ナトリウム)の摂り過ぎを調整してくれる働きがあり、ダイエット中のむくみ予防や生活習慣病予防に役立ちます。

おいしく食べるための参考に!選び方と保存方法

おいしく食べるための参考に!選び方と保存方法

おいしい不知火(デコポン)の選び方

不知火を選ぶときは次のことをチェックしてみてください。

ヘタ:きれいな緑色をしている。乾燥したり、茶色くなっていない。
:ヘタの膨れ具合や形は味に影響しないので気にしなくてよい。
:ハリとツヤがあり、色が明るくきれい。
重み:手に取るとずっしりと重みがあるものは水分が多くてジューシー。

不知火(デコポン)保存時の注意点

・基本は室温保存でOK

不知火は、涼しい季節(3月頃まで)は室温でも長持ちします。風通しのよい冷暗所に置くとよいでしょう。

・暖かいときは冷蔵保存で

室温が高いときは冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。その際はキッチンペーパーや新聞紙に包みビニール袋に入れて口を閉じ、乾燥を防ぎましょう。

・冷凍保存

皮をむき、薄皮付きの果肉をひとつひとつばらしてから保存袋に重ならないように並べて入れ空気を抜き冷凍庫で保存します。冷凍した不知火は半解凍でシャーベットのように楽しめます。

1カ月ほど日持ちしますが長期間保存したものはジャムにするなど加熱殺菌してから食べると安心です。

【参考】

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・JAグループ「とれたて大百科」デコポン
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=93
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」コラーゲン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html

(最終参照日 2021/10/13)

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載