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甘夏ってどんな果物?栄養情報・保存方法・選び方まで解説します!【管理栄養士監修】

寒くなってくると柑橘類がたくさん出回りますが、その違いをしっかり知れば、選ぶのがもっと楽しくなる! 冬から春にかけておいしくなる、身近な柑橘類の栄養や味わいの違いについて解説していきます! 今回は甘酸っぱくてジューシーな果肉が特長の「甘夏」についてです。

甘夏の特徴

甘夏の特徴

甘夏ってどんな果物?

甘夏はもともと日本生まれで歴史も古い、「夏みかん」の仲間です。直径が約10cmあり、重量は同じ柑橘類の温州みかんと比べると約4.5倍もあります。

夏みかんの中でも酸が抜けるのが早い品種として発見されたあと各地に広まりましたが、正式には「川野夏橙(かわのなつだいだい)」という品種名が付いています。「川野」というのは、発見されたのが大分県にある川野豊氏の果実園であることに由来しています。

甘夏は旬の時期が長い!

甘夏の旬は春から初夏の時期(2~6月頃)です。「夏」という響きから夏が旬のイメージがありますが、春にはもう旬を迎えます。冬が旬のものが多い柑橘類の中で、春に味わえる「春柑橘」のひとつ。ほかの柑橘類に比べて旬の時期が約4カ月と長く楽しめるのが特徴です。

【春の柑橘の旬】

・甘夏:2~6月頃(約4カ月)
・夏みかん:4~7月頃(約3カ月)
・不知火(デコポン):2月~4月頃(約2カ月)
・はるみ:2~4月頃(約2カ月)

皮のむき方

甘夏の皮は分厚く素手でむくのは難しいですが、ナイフや包丁を使って十字に切れ込みを入れると簡単に手でむくことができます。

薄皮も厚みがあるのでむき、果肉だけを取り出して食べます。種も入っているものが多いので、気を付けて食べましょう。

甘夏の味・食感

甘夏の味は甘酸っぱい味わいのなかにほろ苦さを感じるのが特徴です。果肉の粒ひとつひとつを“さじょう”といいますが、甘夏のさじょうはプチプチとした食感が楽しめます。

甘夏の栄養情報

甘夏の栄養情報

甘夏のエネルギー・糖質量

甘夏は1個(可食部約250g)あたりのエネルギーは105kcal、糖質は22gです。温州みかん、デコポン、はっさくに比べるとやや低カロリーで低糖質な柑橘ですが、1個が大きいので食べ過ぎないように気をつけましょう。

厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」によると果物の摂取量は1日200gが目安とされています。

柑橘類100gあたりのエネルギー/糖質量

・甘夏:42kcal/8.8g
・温州みかん:49kcal/11.0g
・デコポン:56kcal/12.3g
・はっさく: 47kcal/10.0g

甘夏に含まれるビタミン類

甘夏には主に次のようなビタミン類が含まれています。以下はすべて甘夏1個分(可食部約250gあたり)の含有量です。

・β-クリプトキサンチン:300μg
β-クリプトキサンチンは柑橘類に含まれているカロテノイド色素で柑橘類の色味(黄色や橙色)の素になる成分です。体内でビタミンAとして利用されるためプロビタミンAと呼ばれます。皮膚や粘膜の健康維持、免疫力を高める、視覚を正常に保つほか子どもの成長にも欠かせない栄養素です。

・ビタミンB1:0.20mg
ビタミンB1は糖質からエネルギーを産生する代謝に関わる栄養素です。不足すると糖質をうまく利用できず、エネルギー不足や倦怠感の原因になります。

また、脳のエネルギー源も糖質(ブドウ糖)なので脳が働き末梢神経を正常にコントロールするためにも欠かせません。

・ビタミンC:95mg
ビタミンCは体内でコラーゲンを生成するために必要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあるほか、免疫力を高める、しみ・そばかす予防、鉄分の吸収を助ける働きで貧血予防、ストレスへの抵抗力を高めるなど健康や美容にうれしいさまざまな働きを持っています。

甘夏に含まれるクエン酸の働き

甘夏を食べると感じる酸っぱさはクエン酸によるものです。酸っぱい味を想像するだけで唾液が出てくるように、酸味は消化液の分泌を促すことで食欲を増進する働きをします。

一般的に「疲れにはクエン酸!」というイメージがありますが、疲れや夏バテによる食欲不振にもおすすめです。

むくみ防止にも!カリウムの働き

甘夏1個(可食部約250g)にカリウムは475mg含まれています。カリウムは偏った食生活で不足しやすいミネラルです。水分代謝に役立つほか、塩分(ナトリウム)の摂り過ぎを調整してくれる働きがあり、生活習慣病予防のために積極的に摂りたい栄養素です。

甘夏の爽やかな香り成分リモネン

甘夏の香り成分リモネンはさまざまな効果が期待されているファイトケミカルのひとつ。ファイトケミカルとは植物が外敵から身を守るために作り出す苦み・香り・色などの成分です。

リモネンは爽やかな香りが特徴で頭をすっきりさせたいとき、リラックスしたいときにおすすめ。アロマ素材としても人気です。

甘夏をもっとおいしく!選び方と保存方法

甘夏をもっとおいしく!選び方と保存方法

おいしい甘夏の選び方

甘夏を選ぶときは次のことをチェックしてみてください。

ヘタ:きれいな緑色をしている。乾燥したり、茶色くなっていない。
:ハリとツヤがあり、色が明るくきれい。
重み:手に取るとずっしりと重みがある。
香り:甘酸っぱい、いい香りがする。

甘夏の保存方法

・基本はそのまま室温保存

甘夏は皮が厚く丈夫なので、室温でも長持ちします。風通しのよい冷暗所に置くとよいでしょう。

・室温が高い場合は冷蔵保存

暖房が強めの場合など、室温が高いときは冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。その際はビニール袋に入れて口を閉じ、乾燥を防ぎましょう。

・冷凍保存すればすぐ食べられる!

皮と薄皮を取り除き、果肉だけを保存袋に並べて空気を抜いたものを冷凍庫で保存します。冷凍した甘夏は半解凍でシャーベットのように楽しめます。1カ月ほど日持ちしますが、長期間保存したものはジャムにするなど加熱殺菌してから食べると安心です。

【参考】

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省 農林水産省「食事バランスガイド」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書籍
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書籍
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」コラーゲン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html

(最終参照日:2021/10/06)

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