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素材の取り扱いに十分注意!「和室(畳・障子・ふすま・桟・小物)」のお掃除方法【家事大学 学長 高橋ゆき的お掃除の基本】vol.32

和室には障子やふすま、木製の桟など、壊れやすく、取り扱いに注意が必要な素材が多く使われているため、お掃除の際は細かいところまで注意を払って丁寧に行う必要があります。特に畳は、フローリングと同じ感覚で何気なく掃除機をかけてしまうと、畳表面にどんどんキズがついてしまって、畳を劣化させてしまうことにもなりかねません。

そこで『kufura』では、今回も家事研究家で株式会社ベアーズ副社長・高橋ゆきさんが学長を務める「家事大学」のテキストなどを参考に、楽しく家がきれいになる“高橋ゆき流お掃除メソッド”をご紹介していきます。連載第32回目のテーマは「和室(畳・障子・ふすま・桟・小物)のお掃除方法」。障子やふすま、桟などについたホコリと、畳の汚れをしっかり取り除いて、きれいで心地よい和室にするための、楽ラクお掃除方法を見ていくことにしましょう。

お掃除便利ツール「軍手ぞうきん」が大活躍!

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和室のお掃除もリビングルーム同様に、まずは部屋の中のホコリを落とすことから始めます。その際に大活躍してくれるのが、高橋ゆきさんおすすめのお掃除便利ツール「軍手ぞうきん」。これは、ゴム手袋の上から軍手をはめたものですが、ぞうきんが入りにくいすき間や細かい部分も、指一本いっぽんできれいに掃除することができます。

軍手ぞうきんは洗剤をつけて使うこともできますが、障子やふすま、木製の桟など日本古来の素材に使うと、変色や傷みの原因になることもあるため、和室をお掃除する際は化学洗剤は使いません。軍手ぞうきんの片手を水で濡らして水拭きし、もう片方の手で乾拭きするというように、和室は水拭きと乾拭きのみでお掃除するようにしましょう。

和室には壊れたり、破れたりしやすいアイテムも多いものですが、自分の手だけでお掃除する軍手ぞうきんなら、自由自在に力を加減することができるので、優しく拭くことができて安心。軍手ぞうきんは、『指先感覚で自在に使える!「軍手ぞうきん」家事研究家・高橋ゆきの魔法のお掃除道具DIY』で動画付きで解説しているので、あわせてご覧ください。

お掃除の前に4つのアイテムを準備しよう!

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和室をきれいにするために、まずは次の4つのアイテムを用意してください。

(1)軍手ぞうきん

(2)掃除機

(3)ぞうきん

(4)酢水

酢と水を4対6の割合で混ぜて酢水を作ります。酢水はスプレーボトルに入れておくと、お掃除の際に使いやすくて便利です。

実践!和室の楽ラクお掃除方法

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では早速、和室のお掃除を始めていくことにしましょう。まず最初に、障子やふすま、桟などの大きなホコリを落としてから、畳をお掃除していきます。

<障子>

まずは両手に軍手ぞうきんをはめます。ホコリがたまりやすい障子の桟は、一段一段端から端まで指先ですべてなぞり、軍手ぞうきんにホコリを吸着させるようにしましょう。四隅にホコリがたまって指先ではなかなか取れない場合は、綿棒を使って取り除きます。

<ふすま>

面積の大きいふすまは、軍手ぞうきんをはめた手のひらを使い、上から下へと手のひら全体で一定方向に拭き下ろします。ふすまは座った状態で開けることも多いため、下側に汚れが集中していることも。低い目線で念入りに汚れをチェックしましょう。

<桟>

桟は、軍手ぞうきんをはめた手でつかみながら拭くのがポイント。手のひらと指でしっかり桟を握ることで、手のひらで桟の表面を、また指で桟のくぼみをいっしょに拭くことができるので、一度できれいにホコリを取り除くことができます。

<小物>

人形のガラスケースや和素材のランプシェードといった和室に飾ってある小物類も、軍手ぞうきんをはめた手で優しく表面をなでて、ホコリを落としていきます。細かい部分のホコリも、指先を上手く使ってしっかり取り除くようにしましょう。

<畳>

和室内にあるさまざまなもののホコリを払い落としたら、最後に畳の掃除を始めます。

(1)換気をしながら掃除機をかける

まず最初に、窓を開けて和室内の空気の入れ替えをします。掃除機をかける際は、障子やふすま、家具などに掃除機をぶつけてキズをつけてしまうことのないよう、掃除機本体を手に持った状態でかけるようにします。

(2)部屋の奥から手前へと掃除機をかける

掃除機は、部屋のいちばん奥から出入り口に向かってかけます。手前から掃除機をかけ始めると、奥を掃除する際に掃除をすませた手前エリアに再びホコリが舞うことになるので、必ず部屋の奥からかけ始めるようにします。また、畳の目に対して垂直に掃除機をかけると畳が傷んでしまうので、畳の目に沿って手前から奥へと一方向にかけるようにしてください。

(3)ぞうきんで水拭きをする

掃除機をかけ終わったら、固く絞ったぞうきんで畳を水拭きしていきます。汚れが目立つ場合は、ぞうきんに酢水をスプレーしてから拭くようにするといいでしょう。ただし、布地でできた畳のへりは、酢水を使うと変色してしまうこともあります。へり部分については、必ず水拭きのみでお手入れするようにしてください。

(4)畳の目に沿って拭く

水拭きをする際も、掃除機をかけるときと同様に、畳の目に沿って拭くようにします。畳に水分が残らないようにぞうきんは水けをしっかり絞り、拭き終わったあとはきちんと乾燥させるようにしましょう。

和室内の湿度と採光にも注意が必要!

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和室はほかの部屋に比べて、カビに弱い素材が多いので、湿度にも気をつけなくてはいけません。こまめに換気や通気を行い、畳などにカビが発生しないよう注意しましょう。また、和室に置いてあるタンスの中などにも湿気はこもりがち。数分間だけでいいので、たまにはタンスの引き出しを一段ずつ開けて、風を入れる習慣をつけるようにしましょう。

湿気を取り除くためには、日中は障子などを開けて採光することも大切です。ただし、畳は日差しに弱く、日焼けしやすいので、日差しの強い夏場や西日の強い時間帯は、長時間開けっ放しにしないように注意してください。

いかがでしたか? 畳だけでなく障子やふすまなど、和室にはデリケートな素材が多く、掃除する際に注意すべき点がいくつかあります。ここでご紹介した正しいお掃除の仕方をきちんと押さえて、素材を傷めることなくきれいな状態をキープしていきましょう。

構成・文/土田奈々子

【参考】

高橋ゆき(2014)『楽ラク掃除の基本』(学研パブリッシング)

家事大学1級・2級 家事研究員資格講座テキスト』-日本講師支援機構

【取材協力】

ベアーズ

高橋ゆき
高橋ゆき

家事代行サービスの株式会社ベアーズ取締役副社長。 キッズからシニアまで暮らしの向上を研究し、家事のスペシャリストとしてテレビ・雑誌などで幅広く活躍中。おそうじは、”楽ラク(楽しく、楽に)キレイ”をテーマに、身近にあるもので様々なアイディアグッズを開発。2015年 には世界初の家事大学設立、学長として新たな挑戦を開始。2016年のTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」でも家事監修を務める。 書籍「楽ラク掃除の基本」(学研プラス)が好評発売中。

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