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あなたの「夏のお弁当」大丈夫?お弁当歴10年の管理栄養士が実践する「食中毒対策」6ヶ条

気温が高くなると、気になり出すのが日々の「お弁当」。きちんと涼しい場所で保管できていたらよいですが、子どもや夫のお弁当、心配ですよね?

そこで、自身も2人の子どもたちのお弁当作りを担当してきた管理栄養士の沼津りえさんに、実際に普段から行っているお弁当の食中毒対策を教えてもらいました。今年の猛暑は特に注意が必要です!

実は「夕飯の残り」が危険だった!

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沼津さんは以前、お友達からお弁当作りの悩みを相談されたことがあるそう。子どもたちが「お弁当のおかずがよく変なニオイがする」というのだとか(汗)。話を聞いてみると、前日の残り物を詰めていたそうで、どうやらそれが原因とのこと。でも、夕飯の残り物を詰めるって、よくあることですよね。

「みなさん意外と言葉の通り、“夕飯に残ったもの”を詰めているんです。

たとえば唐揚げを大皿に出して、家族が自分の箸で取ったり、生野菜の上にのったりしていた状態で、みんなが食べ残したものを翌日お弁当箱に詰める。これってちょっと危険ですよね。口に入った箸が触れたり、生野菜の水分がついたりしているかもしれません。

私は夕飯のおかずを翌日のお弁当に入れたいなと思ったときは、食卓に出す前に、必要な分だけ先に取り分けてしまいます。清潔な状態で別の皿や保存容器に入れ、すぐに冷蔵庫へ。翌日は電子レンジなどで温め直して、中まで再加熱してから、冷まして詰めています」(以下「」内、沼津さん)

「残ったから明日のお弁当に入れよう」と思いがちですが、そもそも順番が違うのですね! もし前日に仕込んでおきたいのなら、肉に下味をつけて漬けておき、当日は焼くだけにしておく。そうした方が衛生的とのことでした。

「水分」は徹底的に除去せよ!

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さらにお弁当が腐敗するいちばんの原因は「水分」とのこと。ご飯をバットなどに広げて、冷まして詰めるのは必須です。肉じゃがなど汁気が出る煮物なども、夏のお弁当には適していません。逆にれんこんなど水分の出にくい根菜類はおすすめとのこと。

「いちばん気をつけているのは野菜を入れるとき。野菜は水分が出やすくて要注意ですが、娘たちのお弁当には野菜もバランスよく入れてあげたい。ゆでたブロッコリーなどはしっかり冷まして、水気がある場合はキッチンペーパーで徹底的に拭いています。ミニトマトはヘタを取ってから入れるといいですね。レタスなどを入れるときもしっかり水気を拭いて。

さらに詰めるときに、野菜の側に温かいおかずがないかもチェック。温かいおかずの側に入れてしまうと、せっかく水分を拭き取っても熱で水分が出てしまいます」

お弁当に適しているのは「コロッケ<唐揚げ」その理由は?

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さらに要注意おかずは、実は「コロッケ」と沼津さん。具材にもよりますが、コロッケのじゃがいもは水気を吸いやすいので、腐敗しやすい可能性が。それよりもカラッとしっかり中まで加熱してある唐揚げの方が安心度は高め。

「ポテトサラダも注意が必要ですが、水が出やすいきゅうりなどは入れず、ハムだけに。冷やした状態で詰めて、このときも詰める際に側に温かいおかずがないようにしてください」

さらに、唐揚げ以外にも、夏場におすすめのお弁当のおかずはこちら。

・しっかり中まで焼いた卵焼き

・濃いめの味付けの照り焼きやしょうが焼き

・ちくわの磯辺揚げ

・しっかり焼いた小さめのハンバーグ

・れんこんの煮物(汁気をよく切る)など

半熟卵、生の明太子やたらこもしっかり加熱を!

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普段はおいしい半熟卵ですが、お弁当には不向き。同様にいつもは使いやすい明太子やたらこ、要冷蔵のかまぼこやちくわも夏場は注意が必要です。

「オムレツやゆで卵など、半熟の状態でお弁当に入れるのは絶対に避けましょう。おにぎりの具材にも大活躍する明太子やたらこですが、夏場は生で入れずに加熱した方が安心です。加工してある鮭フレークはいいですね。

かまぼこやちくわも要冷蔵の食材なので、夏はさっと焼いてから入れて。ちくわにきゅうりを詰めるのは、この時期は避けた方が安心です」

また、おにぎりを素手で握る際は、手に傷があると食中毒の原因になるので、しっかり確認を。ネイルや指輪なども隙間の汚れが危ないそうです。

最強の殺菌食材「梅干し」はご飯に散らすが正解!

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昔からお弁当の殺菌食材として頼れる「梅干し」。沼津さんは梅干しの殺菌効果をフルパワーで活用していました。

「お弁当に入れる梅干しは、はちみつ梅干しや減塩タイプのものよりも、昔ながらの塩分が14〜15%くらいあるような酸っぱい梅干しの方が殺菌効果が高めです。

ポンと1個置くよりも、ご飯にちぎって散らしたり、混ぜ込んだりした方が、広範囲に効果があります。ご飯と一緒に炊いて、梅ご飯にしてもいいですね。うちの子どもたちには、梅干しは散らした方が食べやすいと好評だったので、いつもご飯に散らしていました」

他にも、酢で漬けたピクルスを入れたり、紅しょうがを刻んで入れたりすることも。また、市販のわさびの抗菌シートなど、便利なお弁当アイテムを使ってもいいですね。とはいえ、「やはり梅干しがいちばん!」とそのパワーは圧倒的とのことでした。

ちぎった梅干しを混ぜた方が広範囲に殺菌効果が。
おにぎりの具材にも「梅干し」は最強!

夏はお弁当に「保冷剤」は必須!

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沼津さんは「夏のお弁当には保冷剤は絶対つけないとダメ!」とのこと。

「お弁当を冷房の効いた涼しい場所で管理できればよいのですが、学校や会社に持っていく移動中こそ炎天下の可能性がありますよね。

私はお弁当箱の上下に保冷剤をつけて、お弁当箱を保冷剤で挟んでいます。保冷剤が1つの場合は、冷気は上から下に行くので、上にのせるといいですね。市販の保冷バッグを使うのもおすすめです。

また、小さめのケースに入れた果物や市販のミニゼリーを凍らせて、保冷剤代わりにすることも。凍ったまま入れておくと食べるときに冷たくて、子どもたちにも好評でした」

またお弁当箱ですが、水分を逃し、通気性のよい「わっぱ」を使うのも◎。その際、水気がないようしっかり乾かしてから使ってください。

私も時々お弁当を作るのですが、好みだからといってちょっと卵を半熟で入れてしまったり、明太子やたらこもよく考えたら生ものなのに、普通に入れていたなと大反省……。特に暑い時期はアウトですね!

お弁当は誰かのために作る場合、子どもや夫は自分の目の届かない場所で食べる可能性があるからこそ、普段の料理以上に余計に気をつけなければいけないなと改めて感じました。

どれもお弁当歴10年の沼津さんが実践してきた確かなテクばかり。家族や自分を食中毒から守るために、ぜひ取り入れてみてください。

取材協力/管理栄養士・沼津りえ 取材・文/岸綾香

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