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「まぐろ」の栄養、健康効果を解説します。種類や部位によってカロリーや脂質の量はどう違う?

寿司ネタの王様「まぐろ」は、栄養面でも王様級! 気になるカロリーや脂質量、種類による違い、赤身とトロの比較、缶詰のツナまでついてじっくり解説します。さらに健康や美容に役立つ栄養素とその働きもご紹介します。

選ぶときの参考に!まずはまぐろの種類を解説

選ぶときの参考に!まずはまぐろの種類を解説

まぐろは高級なものから身近なものまで様々な種類があります。寿司ネタとしても高級で知られる「大トロ」がとれるのはクロマグロとミナミマグロだけなんですよ。

クロマグロ:マグロのみならず魚類のなかでも最高級。一般的に本マグロと呼ばれている。
・ミナミマグロインドマグロとも呼ばれている。クロマグロに似ていることもあり高級品。
・メバチマグロ:国内で消費されるマグロの約4割以上がメバチマグロ。目が大きくぱっちりしていることがメバチの由来。
キハダマグロ:黄色い体をしていることからキハダ(黄肌)という名が付いた。世界で最も流通量が多く、手頃な価格で身近な存在。缶詰にも使われている。
ビンナガマグロ:小型のマグロでビンチョウマグロとも呼ばれ、ツナ缶にも使われている。脂がのった部分はビントロとして回転寿司でもおなじみ。

まぐろの栄養情報

まぐろの栄養情報

まぐろは種類だけでなく部位によっても大きく栄養素が変わる魚です。

最も流通量の多いキハダマグロの赤身と、刺身の王様とも呼ばれるクロマグロのトロで栄養上の違いを見ていきましょう。

キハダマグロ(赤身)100gあたりに含まれる主な栄養素

・エネルギー:102kcal
・たんぱく質:24.3g
・脂質:1.0g
・鉄分:2.0mg
・DHA(ドコサヘキサエン酸):150mg
・EPA(イコサペンタエン酸):32mg

クロマグロ(トロ)100gあたりに含まれる主な栄養素

・エネルギー:308kcal
・たんぱく質:20.1g
・脂質:27.5g
・鉄分:1.6mg
・DHA(ドコサヘキサエン酸):3200mg
・EPA(イコサペンタエン酸):1400mg

貧血予防に欠かせない鉄分が豊富

まぐろは鉄分が豊富です。特に赤身に多く含まれています。鉄分は全身に酸素を運ぶ役割を担っていて、貧血予防にも欠かせない大切なミネラルです。

鉄分には動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。まぐろに含まれるヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高いため、鉄分を効率よく摂取できますよ。

妊婦さんは食べる量に注意を!

鉄分豊富なまぐろですが、水銀が含まれているため妊娠中は摂取量に気をつける必要があります。詳しくは厚生労働省のHPをご覧ください。

・厚生労働省「これからママになるあなたへ」https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/27981/nimpu-fish.pdf

まぐろはたんぱく質源としても優秀

まぐろにはたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は筋肉だけでなく皮膚や髪の毛、骨、臓器など全身の細胞、さらには免疫細胞の材料にもなる重要な栄養素です。
たんぱく質を構成するのはアミノ酸ですが、まぐろは人体では合成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれることから「良質なたんぱく質源」といえます。

DHAとEPA

DHAとEPAはどちらも不飽和脂肪酸という部類のなかで特に健康効果が期待されているオメガ3脂肪酸です。まぐろの赤身よりもトロに多く含まれています。

オメガ3脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし血中脂質のバランスを整えることで動脈硬化予防などが期待されています。さらに、DHAは脳や神経の働きを向上する働きがあるといわれています。

部位により大きく異なるエネルギー(カロリー)

まぐろは種類や部位によってエネルギー量が変わります。まぐろのトロは脂質が多くとろける食感がたまらないおいしさですが、エネルギーが赤身の約3倍も! そのため、ダイエット中などエネルギーを控えたいときには低カロリーな赤身がおすすめですよ。

ツナ缶(水煮)100gあたりに含まれる主な栄養素

ツナ缶(水煮)は生のまぐろよりも低カロリーですが、主な栄養素を比較するとどれも含有量が少なくなっています。また、同じツナ缶でも油漬のものはエネルギーや脂質が大幅に増えるので、脂質やエネルギーを控えたいときはパッケージをよく見て選びましょう。

・エネルギー:70kcal
・たんぱく質:16.0g
・脂質:0.7g
・鉄分:0.6mg
・DHA(ドコサヘキサエン酸):120mg
・EPA(イコサペンタエン酸):20mg

まぐろは健康にも美容にもうれしい効果・効能が!

まぐろは健康にも美容にもうれしい効果・効能が!

生活習慣病の予防に

まぐろにはDHA、EPAという良質な脂肪酸が含まれています。DHA、EPAは血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし血中脂質のバランスを整えるため、生活習慣病予防に役立ちます。
良質な脂肪酸といっても食べ過ぎは肥満の原因になるので、バランスのよい食事を心がけながら適度に取り入れるといいですね。

たんぱく質&鉄分は美肌にも必須!

まぐろは皮膚細胞の材料となり美しい肌をつくるために欠かせない良質なたんぱく質が豊富で美肌を保ちたい人、目指したい人におすすめです。

まぐろに含まれる鉄分は血液の材料となり血色のよい肌をつくるために役立ちます。さらに、身体中に酸素を運び新陳代謝を高めるためダイエットや美容にいい働きが期待できますよ。

・撮影/黒石 あみ(小学館)

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
・厚生労働省「これからママになるあなたへ」https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/27981/nimpu-fish.pdf
・水産庁「まぐろに関する情報」 https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h29_h/trend/1/sankou_3_3.html
・水産庁「かつお・まぐろ類に関する国際情勢について(令和4年4月)」 https://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/attach/pdf/index-11.pdf
・厚生労働省「e-ヘルスネット」HDLコレステロール
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-071.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」良質なたんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html

(最終参照日:2022/05/14)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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