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「わかめ」の栄養はやっぱりすごい!健康効果から保存方法まで丸わかり

わかめは最も身近な海藻のひとつです。わかめの味噌汁をはじめ、日本の食卓に馴染み深い存在ですね。一般的な「わかめ」は海藻の葉の部分ですが、生・乾燥・塩蔵といろいろな状態で売られています。そして「めかぶ」「茎わかめ」などもわかめの一部。それらのさまざまな「わかめ」についてまずは解説。

また、「なんとなく美容や健康によさそう」というイメージはありつつ、栄養情報や保存方法についてはあいまいな部分が多いことも。読めばもっと食べたくなる、わかめの情報をじっくり解説します。

意外といろいろ!わかめの種類

意外といろいろ!わかめの種類

わかめ、茎わかめ、めかぶは、全部同じわかめから!

奥:めかぶ(刻んだもの)、左:わかめ、右:茎わかめ
刻む前のめかぶはこんな姿!茹でると鮮やかな緑色になります。

わかめというと、茎わかめ、めかぶといった種類がありますね。違う種類なのかな?と思っている人も多いかもしれませんが、実はどれも同じわかめ。違いは「どの部位を食べるか?」なんです。

わかめ:一般的にわかめと呼ばれているのは葉の部分。柔らかく食べやすい。

茎わかめ:その名の通り、わかめの茎に当たる部位。葉にはないコリッとした食感がある。

めかぶ:わかめの根本で生殖細胞が集まった場所。粘り気が特徴的。

また、わかめはもともと茶色をしていますが、茹でることであの緑色に変化するんですよ。

生、塩蔵、乾燥、カットわかめ

乾燥わかめ
塩蔵わかめ
カットわかめ

形状や保存状態によっても、さまざまな種類があるわかめ。見た目が茶色く、未加熱のものは茹でるなど加熱調理して食べる必要があります。

・生わかめ:収穫してすぐに洗浄処理した生のわかめを指す。食べるときは、さっと茹でる。鮮度が落ちやすいので、ほとんどは湯通しされた緑色のものが「生わかめ」として店頭に並ぶ。

・塩蔵わかめ:生わかめを茹でて乾燥させ、塩をまぶし保存性を高めたもの。

・乾燥わかめ(素干しわかめ):乾燥わかめは生わかめをよく洗い、乾燥させたもの。食べるときは要加熱。

・カットわかめ:生わかめを茹でて塩蔵したあと、塩抜きをして食べやすくきざみ乾燥させたもの。加熱不要で食べられるものが多い。

海藻ならではの成分がたくさん!わかめの栄養情報

海藻ならではの成分がたくさん!わかめの栄養情報

わかめ100gあたりに含まれる栄養素

わかめにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか? ここでは、乾燥わかめ(素干しわかめ)を水戻ししたものの100gあたりの数値を参考にお伝えします。

・エネルギー:22kcal
・炭水化物:5.9g
・糖質:0.1g
・たんぱく質:2.0g
・脂質:0.3g
・食物繊維:5.8g
・鉄分:0.5mg
・カルシウム:130mg
・マグネシウム:130mg
・ヨウ素:1900μg
・β-カロテン当量:1200μg

わかめで食物繊維補給!

わかめは食物繊維が豊富に含まれています。わかめを刻んだり、煮たりすると出る独特のぬめりも、食物繊維の一種によるものです。食物繊維は消化吸収や血糖値の上昇をゆるやかにすることで肥満や生活習慣病の予防に役立つほか、腸内環境を整える、便秘を予防することで新陳代謝を高め、美肌や美容にもいい影響が期待されています。

このようにさまざまな働きを持つことから、食物繊維は五大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)に続いて第6の栄養素ともいわれているほどです。

わかめのヨウ素、食べ過ぎはよくない?

ヨウ素はわかめに含まれるミネラルの一種です。甲状腺ホルモンという、エネルギー代謝を上げるホルモンの材料になるほか、生殖、成長、発達などに関わっています。欠乏するとエネルギー代謝が低下したり、発育を阻害することがあります。また反対に、摂りすぎると過剰症になることも……。食べ過ぎには注意が必要です。

ヨウ素は性別やライフステージに応じて推奨量や耐容上限量が定められています。詳しくは下記をご覧ください。

・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

鉄分・カルシウム・マグネシウムなどもしっかり摂取

わかめには日本人に不足しがちなミネラルである鉄分、カルシウム、マグネシウムが含まれています。

・鉄分
全身に酸素を運ぶ役割を担っています。吸収率が低いこともあり不足しやすいのですが、わかめに含まれる非ヘム鉄はたんぱく質やビタミンCと合わせて摂ることで吸収を高めることができます。

わかめレシピでたんぱく質をプラスするなら、「わかめとたまごのスープ」、ビタミンCをプラスするなら「わかめとみかんの酢の物」などがおすすめです!

・カルシウム&マグネシウム
カルシウムは骨や歯を健康で丈夫に保ち、神経の情報伝達に関わる、全身の筋肉の動きを調整するといった役割を持っています。骨にはカルシウムというイメージがありますが、実はマグネシウムもカルシウムとともに骨や歯を作っています。

さらに、マグネシウムはエネルギー代謝に関わる、カルシウムと拮抗して血圧を調整するなどの働きがあります。

わかめを食べるとどんな効果効能が期待できる?

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「わかめは髪の毛にいい」は都市伝説?

「わかめは髪の毛にいい」といった話を一度は耳にしたことがあるかもしれません。ですが、その根拠は明らかにはなっておらず、都市伝説の範囲を抜け出せていないようです。

健康面では食物繊維に注目

前述の通り、わかめは不足しがちな食物繊維が豊富。健康面では肥満や生活習慣病の予防など健康にいい働きが期待できますね。さらに、食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなるため、ダイエット中の腸活にもおすすめなんですよ。

乾燥わかめは特に保存性や利便性にも優れています。食物繊維を手軽に補いたいときのストック食材におすすめですよ!

低エネルギーだからダイエットにもうれしい!

なんといってもわかめは低カロリーで含まれる糖質が少ないのも魅力的! ダイエット中も安心して食べられますね。

わかめの保存方法

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生(茹でわかめ)は冷凍OK

生のわかめ(茶色いもの)が手に入った場合、鮮度が落ちやすいので、さっと茹でて氷水に入れたのち、余分な水気を切って冷蔵または冷凍で保存します。

茹でた状態で売られている緑色の生わかめなら、下茹で不要です。

・冷蔵保存
冷蔵庫で2~3日保存できます。鮮度が落ちやすいのでなるべく新鮮なうちに食べるのがおすすめです。

・冷凍保存

冷凍の場合は約1カ月保存可能です。好みの大きさに切り、ラップで小分けに包み保存袋に入れて冷凍庫へ。

味噌汁などの汁物ならそのまま鍋に入れればすぐに解凍されます。

塩蔵わかめは冷蔵・冷凍を使い分け!

塩蔵のわかめは長持ちするイメージがあり油断していると「賞味期限が切れていた!」なんてことも。冷蔵、冷凍それぞれ保存のコツをご紹介します。

・冷蔵保存
約3カ月から半年持つとされていますが、各パッケージに記載されている賞味期限に従いなるべく新鮮なうちに使い切りましょう。密閉できる保存袋に入れるのがおすすめです。

・冷凍保存
塩がついたまま食べやすい大きさに切り、茹でわかめと同様にラップで小分けに包み、保存袋に入れて冷凍庫へ。使うときはそのまま水に入れて解凍しながら塩抜きするだけで便利に使えます。保存の目安は約1カ月です。

 

撮影/黒石 あみ(小学館)

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高監修 高橋書店
・「もっとおいしくながーく安心 食品の保存テク」徳江千代子監修 朝日新聞出版
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
・農林水産省 ワカメ
https://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_menu/miso/04.html

(最終参照日:2022/06/12)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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