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「本当の聞く力」を身につけるために、今日からできることって?「LISTEN」監訳・篠田真貴子さんに聞きました!

家庭や仕事場で、きちんと人の話を聞けていますか? そして自分の話を聞いてもらえていますか? 『kufura』とJ-WAVEがタッグを組んだラジオ番組『KURASEEDS(クラシーズ)』(月〜木 朝5〜6時)では、毎朝暮らしに役立つヒントをお届けしています。今回のテーマは「聞く力」。

「聞く」はまず、好奇心と敬意から

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今、『LISTEN』という「聞く力」について書かれた本が、ベストセラーになっています。今回は、その本の監訳をした篠田真貴子さんに「聞く」ことはどんな力をもつのか、そして「聞く力」を身につけるには、具体的にどうしたらいいのか、ご自身のエピソードを交えながら教えていただきました。

『LISTEN__知性豊かで創造力がある人になれる』
ケイト・マーフィ/著、篠田真貴子/監訳 2,420円(日経BP社)

この本を読み進むに連れて、私自身、日頃の友人や同僚との会話を思い出して「あ〜、私はまったく人の話を聞けてない」と気づかされることばかり。あまりに心に刺さるフレーズが多く、付箋だらけになっています。

「聞くこと」の大切さに気づいたきっかけ

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現在の職につく前、一年ほど仕事を離れていた篠田さん(篠田さんは“ジョブレス”期間と表現されています)。その期間に、多くの友人から声をかけてもらい会話を重ねたことが“聞く力”に気づくきっかけだったそう。

「ジョブレス期間に、友人や知人など多くの人にお会いしました。みなさん“これからどうするの?”と聞いてくださり、それに応えるように、私が都度考えていることや感じていることを話す……つまり、聞いてもらう機会がとてもたくさんあったんです。話しているうちに“あ、私こんなこと考えていたのか”と改めて気づくことが、色々ありました。

と同時に、相手の方たちも、自分が今直面している課題などを、ざっくばらんに話してくださって。みなさんきっと、会社名や役割などに縛られてない“今の篠田さん”なら、と思って、うちとけて話してくださったんだろうなと感じたんです。

そこで、“聞く、とか聞かれるということの奥深さ”に突然ハッと気がつきまして、これはすごいもんだなと。そんな経験が直接のきっかけです」
(以下「」内、篠田さん)

「この人は、どうしてそう考えるんだろう?」

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“聞くことの奥深さ”に気づいた篠田さんはその後、アメリカで書かれた一冊の本『LISTEN』に出会い、監訳を手がけます。

「この本には“聞く”ってどういうことか、が繰り返し出てきます。中でも芯になってくるのが、聞く=相手への好奇心と敬意を持って接すること、だと。“好奇心”という言葉は、なんと文中に35回も出てくるほど。

今のアメリカでは、たとえば政治的見解の違いが人間関係にまで影響を及ぼしたり、 親戚が集まれなくなったりなど、コミュニケーションが大きな課題になっています。

意見が違う相手と会話をするときに、相手を説得するのではなく“この人は、どうしてそう考えるのだろう?”と、一度受け止めて、そこに関心、好奇心を持って話を聞くこと。そうすることで、本当に大切にしたい関係性を取り戻せると、この本では説いています」

この“相手の意見を一度受け止める”ということ、ココが一番難しい! 相手の話を聞いていると、どうしても自分の意見を言いたくなってしまいますよね。

話している人の表情や様子を、観察してみる

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仕事の打ち合わせや、友人知人たちとの会話でも、相手の話を聞いてるとついつい“でも、それって……”と、口を挟みたくなりませんか?

そんなとき、篠田さんが実践している方法を教えていただきました。

「ひとつには、まず“自分が話さない時間”を決めること。たとえば最初の3分は、絶対黙っている、とか。そして黙っていると、その間に“じゃあ次はこれを言おうかな”と脳内でメモをしてしまいがち。でもそれだと、実は話を聞けてない。脳内メモはNGです!

とにかく話している相手に集中して、その様子を観察してみる。例えば、落ち着いてるな、とか、自分の言葉じゃなさそう、とか。相手の表情などにも注意を向けて話を聞いてみるんです」

脳内メモ!やりがちです。ついつい、次に言いたいことを考えがち。でもここで、相手の様子に集中しておくことが、次の会話にいきてくるそう。

「相手の発言が終わって自分の意見を言う時には、いきなり本題に入らず、ワンクッション置くといいんです。まず最初に“すごく熱を込めてお話しされてるな、という印象を受けました”など、相手の話を聞いてみた印象を伝えてみる。そのあと“で、私、考えたのですが……”と、自分の意見を言う。

このワンクッションが入るだけで、こちらがたとえ全く違う意見をお伝えするにしても、相手に受け入れてもらえる度合いが変わってくる気がします」

自分の話を聞いてもらえていたんだ、と相手に納得してもらえる“ワンフレーズ”を挟むこと、これなら今日からできそうです。

「良い話の聞き方」「悪い話の聞き方」って?

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この本『LISTEN』には、会話をすすめていくときに“良い聞き方”と“悪い聞き方”があると紹介されています。

悪い聞き方というのは“ずらす対応”です。
“この間、うちの犬が逃げちゃったんだよね”と言われたとき、“そうなんだ!うちの犬はね……”のように、自分の犬の話に持っていってしまう。

それに対して、良い聞き方というのは“受け止める対応”です。
“この間、うちの家の犬が逃げて大変だったんだ”に対して“それは大変だったね、それでどうしたの?”と、その人の犬の話をちゃんと続けていく、こんな対応です」

つい“ずらす対応”をしてしまいがちなのは、アドバイスを求められているときなんだそう。確かに、「そういうとき、私はこうしたよ!」など、自分の話にしてしまいがち。

でも、そんな“ずらす対応”を続けてしまうと、自分の話を聞いてくれない人=ちょっと意見が違う人=私のことをわかってくれない人と、だんだん距離が遠くなってしまう、ということにも……。

親の「聞き方」で、子どもの学力が伸びる?

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本の中では、話をじっくり聞いてもらった子どもは、 その後の知能テストの結果が伸びた、という研究結果も紹介されています。

「この知能テストは、横に保護者がいて、子どもは問題を解く前に“こうやって解こうと思うんだ”と保護者に説明をしてから解いていく、というもの。

説明を聞いている保護者が“いやそうじゃなくて”とか、“ こっちのやり方がいいんじゃない?”など介入せず、子どもが何を言っても“なるほど、そうなんだね”と、ただ聞くだけでいる方が、圧倒的にテストの結果が良い、という結果が出たんです

篠田さんご自身も“ただ聞く”という対応をすることで、子どもの知的ポテンシャルを引き出せた体験をしているそうです。

「子どもが宿題で困って“ね、ママこれわかんない”って言ってきたとき、“それ、どういう問題かもう1回ママに言ってみて”と、子どもに問題を読んでもらうんです。そこから“その問題のどこがわかって、どこがわからないの?”と、ただ私は質問していく。それだけなんですけど、そのうちに“わかった!”って、子どもが自分から答えに辿りつけることは、確かに時々あって。

ただ聞いていくだけで、子どもの知的ポテンシャルがちゃんと出てくるっていうのは、日常に応用できる良い教えだな、と思っています」

根気よく“聞いてもらう”ことで、子どもが自分の中から答えを見つけることに繋がるんですね。

「へー!」と面白がって話を聞く、ということ

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最後に、篠田さんご自身が“聞く”ときに一番大切にされていることを伺いました。

「やっぱり大切なのは好奇心ですね。心からおもしろがること、へーって感心する、というところだと思います。

たとえば子どもが、“この問題がわからない!”っていうときでも、その“わからない”に興味をもつこと。アドバイスしようとか思わず、“そうなんだ、わからないんだ”って返しています(笑)。その問題を解決するのはあくまで当事者の子ども自身、でも好奇心や共感を持っているということを、言葉や態度で示しながら聞いていく。そうしていると、たとえば家族の間でも、無駄なギスギスもなく関係性が上手くいくな、という感じがしています」

きちんと“聞く”ということは、“あなたに興味をもっています”と示すこと。

毎日、無意識に繰り返している会話のひとつひとつを、もう少し大切に考えてみようと気付かされた今回のお話でした。

今日からすぐに実践できる“聞き方”のヒント、ぜひ皆さんの毎日にも取り入れてみてください。

ラジオ番組『KURASEEDS(J-WAVE)』では、これからも暮らしを豊かにする情報をお届けしていきます。ぜひラジオも併せて聴いてみてくださいね!

文/古橋祐也


エール株式会社取締役。社外人材によるオンライン1on 1を通じて、組織改革を進める企業を支援している。

外資系のコンサル企業、製薬会社を経て「ほぼ日」取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を約1年設け現職。人と組織の関係や女性活躍に関心を寄せ続けている。『LISTEN――知性豊かで 創造力がある人になれる』『ALLIANCE アライアンス――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳。

 

【 ラジオ番組 『KURASEEDS』(クラシーズ)】

放送局:J-WAVE(81.3FM)

放送日時:月~木曜日  AM5:00~6:00 

「暮らしに役立つ」いろいろなヒントを、気持ちのいい音楽とともにお伝えしていく生番組。ナビゲーターは、山中タイキさんと『kufura』編集長の佐藤明美。ラジオと同時に kufuraのインスタグラムアカウント(@kufura)からも、毎朝インスタライブで生配信しています。

その日の放送内容を、山中タイキさんが自身の言葉で綴っている番組のインスタグラム( @kuraseeds813)も読み応えたっぷり。

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