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公園に動物がいっぱい!? 駅チカ「練馬区立美術館」とパブリックアート【子どもと楽しむ美術館】vol.11

歩くのもつらい夏の暑い時期、お子さんと一緒にどこへ行こうか迷ってしまう……そんなときは、美術館へどうぞ! いつも涼しく、湿気もない美術館は夏に出かける場所としても最適。

今回ご紹介する『練馬区立美術館』は、お子さんが楽しめる野外公園もすぐそばにある美術館です。あわせて、いつでも観に行ける都内の“パブリックアートエリア”についてもお伝えします。

駅チカが嬉しい!「みる・みせる・つくる」美術館

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西武池袋線「中村橋駅」からわずか徒歩3分の場所にあるのが、1985年に開館した『練馬区立美術館』です。駅からすぐの場所にあるので、暑い日だけでなく雨の日も通いやすいのがうれしいですね。

駅からわずか3分の場所にある『練馬区立美術館』

『練馬区立美術館』のコンセプトは「みる・みせる・つくる」。企画展示室で展覧会を「みる」だけでなく、併設された区民ギャラリーで「みせる」、創作室で「つくる」ことも楽しめるように建物が設計され、イベントなども開催されています。

また、同じ建物内にある『練馬区立貫井図書館』では、美術館に収蔵されている作家や展覧会についての蔵書も充実。美術館・図書館共催のイベントを実施することもあります。

のんびりとくつろげる美術館ロビー

そして『練馬区立美術館』は、切り口が斬新な企画展が多いのも特長。
フランス生まれの19世紀のイギリス人画家・シスレーが描くセーヌ川とフランス洪水史とを関連付けて検証してみたり、近年注目を集めている幕末から明治期にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年の大規模な回顧展を開催したりと、じつに奥深い内容です。

『一魁随筆 西塔ノ鬼若丸』明治5-6年(1872-73)

『義経記五條橋之図』明治 14 年( 1881 )

収蔵品は日本の近現代美術作品が充実していて、不定期に開催されるコレクション展も人気となっています。

2018年8月5日(日)~9月24日(月・休)まで、上記『一魁随筆西塔ノ鬼若丸』や『義経記五條橋之図』『風俗三十二相うるささう寛政年間処女之風俗』などの作品が展示される企画展「芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が開催されますので、興味のある方はこの機にぜひ足を運んでみてくださいね。

『風俗三十二相 うるささう 寛政年間 処女之風俗』明治21年(1888)

いつでも行ける! アートあふれる緑地

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そして『練馬区立美術館』をおすすめする理由のひとつは、「練馬区立美術の森緑地」が隣接していること。

この緑地は2015年に大リニューアルを行い、20種類32体のカラフルな動物彫刻が展示されるようになりました。観て楽しい、触って楽しいオープンスペースは公園なので、入場も無料です。

カラフルなキリンやゾウ、テナガザルは、新潟県の越後妻有地域にある作品『脱皮する家』で知られる彫刻家・鞍掛純一によるもの。

重厚なブロンズ製のゴリラやライオンは、銅像制作で知られる黒谷美術によって制作されました。

これらのほかに、体と足が大根になっているウマの親子『ネリマーマ』や、体毛が芝で覆われた体長4メートルのクマ、メタリックなトンボ、そして美術の森緑地案内役の『ネリビー』などなど、どれも個性あふれる彫刻ばかり。

大きな作品の足の下をくぐってみたり、小さな作品なら背中に乗ってみたり。緑地内にいる彫刻を全部探したり、遊び方、楽しみ方は自由。お気に入りの動物について話す、彫刻を主人公に物語を作ってみるなど、親子で対話を楽しむこともできるおすすめの場所です。
彫刻をひとつずつ見ながら緑地を探検してみれば、あっという間に1〜2時間は経ってしまうはず。

 

夏の暑すぎる日は、少し涼しい午前中や夕方を狙って訪れてみましょう。水分補給を忘れずに、ときどき美術館の中に避難するなど暑さ対策を十分にしながら楽しんでくださいね!

【施設情報】

練馬区立美術館

東京都練馬区貫井1-36-16

開館時間:10:00~18:00
※ 入館は17:30まで

休館日:月曜(月曜が祝休日の場合はその翌平日)、年末年始、展示準備期間

最寄り駅:西武池袋線「中村橋駅」徒歩3分

 

練馬区立美術の森緑地

東京都練馬区貫井1-36-26

道端にあるアート「パブリックアート」を楽しもう!

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都内には、「練馬区立美術の森緑地」のように公共空間で楽しめるアート作品、いわゆる“パブリックアート”のある場所がいくつもあります。パブリックアートの楽しみ方とともに、都内の有名なスポットをご紹介します。ぜひお子さんと一緒にお散歩してみましょう!

パブリックアート…どんなふうに楽しめばいいの?

パブリックアートは、単に公共の空間に美術作品があるというだけで、鑑賞の仕方はあまり美術館と変わりません。

ただ、入場料や開館・閉館時間があるわけではないので、気になった作品があったらその場にずっといても構わないですし、朝・昼・夜と異なる時間に訪れて天候や光の差による作品の見え方の違いを観察してみてもいいでしょう。

また、他の用事やショッピングのついでにお子さんと立ち寄って、「どんなふうに見える?」と対話しながら作品鑑賞するのにももってこいです。街中など屋外にある作品を観ることで、意外な感想や鋭い意見が飛び出てくるかもしれませんよ!

おすすめ! 都内の「パブリックアート」充実スポット

(1)西新宿/「新宿アイランドタワー」〜「都庁」周辺

高層ビルが立ち並ぶ西新宿、特に「新宿アイランドタワー」周辺はパブリックアートの宝庫。アメリカの現代美術家、ロバート・インディアナによる巨大な文字作品『LOVE』をはじめ、10名の現代美術作家が制作した作品をビル内外で楽しむことができます。

また、「東京都庁舎」にも彫刻やレリーフなど38点の作品が展示されています。

(2)「六本木ヒルズ」周辺

巨大な蜘蛛のオブジェをはじめ、「六本木ヒルズ」もパブリックアートに溢れた場所。9点の美術作品と13点のストリートファニチャー(自由に座ることができる椅子)が配置されています。

ちなみに、巨大な蜘蛛の作品はフランス人美術家、ルイーズ・ブルジョワの『ママン』という作品。蜘蛛の真下から作品を見上げてみると、卵をたくさん抱えていることがわかります。「六本木ヒルズ」を訪れたら、ぜひ近づいて作品を眺めてみてください。

(3)『丸の内ストリートギャラリー』(「丸の内仲通り」周辺)〜銀座

木彫で動物を表現したシリーズで知られる現代の彫刻家・三沢厚彦の作品や、20世紀を代表する彫刻家ヘンリー・ムーアの作品など一度はどこかで目にしたことのある彫刻作品が並ぶ、丸の内。オフィス街なので土日祝日は人通りが少なくなり、お子さんと一緒にお散歩しやすいはず。

『丸の内ストリートギャラリー』で彫刻を観たら、有楽町を抜けて銀座まで歩いてみましょう。数寄屋橋交差点近くにある美術家・岡本太郎のモニュメントなど、意外なところにもパブリックアートが置かれていますよ。

※ 画像の転載は一切禁止させていただきます

(※ 情報は2018年8月現在のものです)

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