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あなたの自治体は?「自転車保険の加入」の義務化…非加入だとどうなる?

近年、「自転車保険」を義務化する自治体が増加しています。加入していない場合、何か罰則はあるのでしょうか?

今回は、自転車の安全に関する研究や広報活動をしている一般財団法人日本自転車普及協会の谷田貝一男さんに自転車保険について詳しくお話をうかがいました。

「自転車保険の加入」が義務化されている自治体はどこ?

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平成25年、自転車保険に加入していなかった11歳の少年が起こした事故によって、少年の親に対して約9,500万円の賠償金が請求されるという出来事がありました。当時、大きなニュースになったことを記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この頃から自転車保険への注目度が高まり、全国で自転車保険(自転車損害賠償保険)への加入を義務付ける動きが広がっています。

2018年4月の時点で自転車保険の加入が“義務”“努力義務”とされている都道府県は、以下のようになっています。

【義務】

埼玉県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鹿児島県

【努力義務】

北海道、東京都、香川県、徳島県、福岡県、熊本県

今後、他の都道府県にも義務化の傾向が広がっていくと予想されます。

努力義務と義務の違いは?非加入だと「罰則」はある?

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それでは、自転車保険の加入についての“努力義務”と“義務”の違いとは?

例えば、今年の4月から自転車保険の加入が“義務”となった埼玉県の条例では、

<自転車利用者(未成年者を除く。)は、その自転車の利用に係る自転車損害保険等(自転車の利用によって他人の生命又は身体を害した場合における損害を塡補するための保険又は共済をいう。以下この条及び次条において同じ。)に加入しなければならない。>(埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例)

とされています。

一方で、“努力義務”の東京都では、

<自転車利用者は、自転車の利用によって生じた他人の生命、身体又は財産の損害を賠償することができるよう、当該損害を塡補するための保険又は共済(次条において「自転車損害賠償保険等」という。)への加入その他の必要な措置を講じるよう努めなければならない。>(東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例)

とされています。

ニュアンスの違いがおわかり頂けましたか?

谷田貝さんによれば、今のところ、非加入の人に対しての罰則を設けている都道府県はないとのことですが、万が一、加害者になった場合の補償のリスクを考えると、自転車保険の加入を各自が徹底する必要があります。

自転車保険に「実は加入している」というケースもある

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現在、自転車事故に特化した保険に加入していなくても、自転車安全整備士が点検整備した自転車に貼られる「TSマーク」で自転車事故による損害の補償が確約されている場合があります。

その他にも、利用中のクレジットカードの任意保険や傷害保険、火災保険、自動車保険の特約などによって、自転車事故の際の賠償責任保険が付帯されている場合があります。

加入中の保険の補償内容や、手持ちのクレジットカードの規約をよく確認してみましょう。子どもの事故の補償についても、年齢条件や、補償範囲など注意深く確認することが必要です。

表作成:谷田貝一男(一般財団法人日本自転車普及協会/自転車文化センター学芸員)

自転車は便利な乗り物ですが、加害者にも被害者にもなる可能性があります。自分だけでなく、家族の加入状況を確認したうえで、加入していない場合は、自転車損害賠償保険に加入しましょう。


【取材協力】

谷田貝一男(やたがいかずお)

一般財団法人日本自転車普及協会/自転車文化センター学芸員。各地の自転車通行環境や利用状況の調査を基にして事故発生原因と安全利用方法を検討し、その結果を講演や執筆等を通じて広報する活動を行っている。著書に『自転車のルールとマナー (安全に楽しく乗ろう!自転車まるわかりブック)』(教育画劇)などがある。

 

【参考】

「埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例」が改正されました~自転車損害保険加入義務化等~(平成30年4月1日施行)- 埼玉県

東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例 – 東京都青少年・治安対策本部

 

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