子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「旅先にもっていく薬」何があれば安心?【旅する救命救急医・中島侑子の役立ちメモ 第3回】

救命救急医&旅行医学会認定医&1歳児の子育て中の母、中島侑子です。「旅」と聞いて心配になる事柄は人それぞれかと思いますが、「病気」はかなり上位に入るのではないでしょうか?「何の薬を持って行けばいいの?」「予防接種は受けた方がいいの?」という方がほとんどなのが実状でしょう。そこで、連載第三回目は、3年間世界一周をしていた私が実際に持って行った持参薬と世界一周に行く前に受けた予防接種をご紹介します。参考にしていただけると幸いです。

アレコレ薬を持参するも、ほぼ減らず…

旅先にもっていく薬って、ついアレコレ多くなりがちですよね?

実際私も世界一周に出るときに持って行った薬は、実はすごく沢山ありました(笑)

抗生剤、一般的な風邪薬、胃薬、酔い止め、高山病の薬、下痢止め、整腸剤、解熱鎮痛剤、マラリア予防薬、抗生剤入りの軟膏……etc.

でも、旅立ってから2~3カ月たっても、ほぼ一つも薬が減らなかったので、このうちの多くを日本へ送り返しました。

持っていると安心な薬は国によって違う

では持参薬はどうやって取捨選択すればいいのか?というと、訪れる国によって全然変わってくると思います。

(1)インドへ行くとしたら

例えば今私がインドに行くとすれば、持っていくであろう薬は、「下痢止め、整腸剤、解熱鎮痛薬」の3種類です。

「下痢止め」は日本では基本的に使うことがあまりありません。なぜならば、感染症の場合、排便により体の中から異物を出すという大切な役割があるからです。

ただ、インド等アジア圏を旅していると、香辛料や慣れない食事にあたって下痢が起こることもありますし、数時間トイレに行けない移動になる場合もあります。日本の「トイレ付バス」のような素敵なものは、インドやアジア諸国にはありません。野原のようなところで止まって「ここがトイレだよ」と言われたこともありました(笑)

ですので、“やむをえず”下痢止めを使う場合があるのです。

(2)カリブ海クルーズに行くとしたら

では、カリブ海クルーズに行くとしたら?

私が持っていく薬は、「酔い止め、解熱鎮痛剤」の2種類です。私はすごく船酔いをするタイプなので、船旅には酔い止めが欠かせません。

クルーズ以外にも、「ペルーでナスカの地上絵を見る旅」をされる方は、セスナが揺れるので酔い止めを持っていった方がいいかもしれませんし、電車に酔う方は「ロシアを横断するシベリア鉄道の旅」にも持っていった方がいいかもしれません。

(3)キリマンジャロに登山するとしたら

ではアフリカ最高峰キリマンジャロに登山するとしたら?

私が持っていくのは「高山病の薬、解熱鎮痛薬」です。富士山に登った時に頂上で高山病になり、あまりにも頭が痛くて意識が朦朧(もうろう)とし、残念ながら頂上の記憶がほとんどありません。

高山病になる、ならないは体質によって違うようで、ならない人は全くなりませんが、かなり辛い病なので高所に行かれる方は持って行ってもいいかもしれませんね。

(4)マラリアの感染リスクがある地域へ行くとしたら

アフリカの中でもマラリアの感染リスクがある地域を旅するときは? 勿論「マラリア予防薬」ですね。

つまり何が言いたいかというと、訪れる場所や個人によって持っていく薬が変わるということです。

「子連れ旅」実際に持っていった薬はコレ

私は子どもが産まれてから、生後3カ月でオランダに、生後10カ月で台湾に連れて行きましたが、その時何を持って行ったかというと、解熱鎮痛剤(坐薬)と『冷えピタ』などの冷却ジェルシートです。

赤ちゃんは生後半年までは母体免疫があるため、病気になりにくいです。なので、逆に生後半年以内で高熱が出ている場合は異常事態ととらえてすぐに病院に行ってください。

その他の年齢の子どもも、海外旅行中に様子がおかしい場合は、基本的には「様子をみる」ではなく「病院に連れて行く」方がいいと思います。

ただ近くに病院がないような場合や、長時間移動のときなどのために、上述した薬を用意していきます。

 

今回は海外旅行へ行くときの持参薬についてお伝えしましたが、次回は海外旅行へ行くときの予防接種に関してお伝えしようと思います。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載