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【脱・中学受験】母と息子(12歳)でカナダに親子留学。我が家が「受験を辞めて留学」に決めた理由は…

受験をはじめ、子どもの教育に関する悩みを抱える人は多いと思います。日本のシステムに疑問を感じているなら「海外留学」もひとつの選択肢かもしれません。12歳の息子くんと一緒に、8カ月前からカナダに「親子留学」しているエディター・高橋香奈子さんの短期連載がスタートします!

子どもが小学6年生の夏に、母子2人でカナダに!

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お久しぶりです。はじめまして。

どちらの方もいらっしゃるかと思います。2022年の夏まで東京に住んでおり、『kufura』や同じく小学館のファッション雑誌『Oggi』でエディターとして活動していた高橋香奈子と申します。

昨年、息子が小学6年生の夏休みからカナダのバンクーバー地域の小学校へ留学、私も帯同する形で移住をしました。今回は、少し長くなりますが、中学受験をする予定だった我が家が、なぜ急に留学の決断をしたのか。その理由について紹介したいと思います。

「中学受験」をさせる予定で、小学5年生まで塾通い

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小学6年生のときに留学を開始しましたが、我が家の場合、何年も前から計画したものではありませんでした。実は小学5年生の途中まで塾に通っており、中学受験をする予定でいたのです。

塾に通いはじめたのは、息子が「(みんなが塾へ行っているからボクも)塾へ行きたい」と言ったのがきっかけ。小学校の大半が中学受験をする地域の学校にいたため、私もなんとなく、低学年のころから「うちもこのまま中学受験をするのだろうな」とは思っていました。

そこからなんの疑問もなく、塾生活がスタート。もともと勉強が好きなタイプではありませんでしたが、塾のおかげで学校の授業もよく分かるようになったり、学校とは違う新しい友達ができたりで、楽しく通っていました。

ところが、通ううちにだんだん塾で習う内容が難しくなってきて大変と感じるようになったり、テストの結果が思わしくないと肩身が狭いように感じたりするようになったこともあるかもしれません。おそらく、息子の中で、何か違和感が出てきたのでしょう。ある時、息子が「塾を辞めたい」と言ったのです。

この時のことをのちに息子に聞いて判明したのは、自分の気持ちが乗らないときも、皆と同じように、同じことをさせられることに疑問がわいたのだそう。「自分のペースで、自分の心地よい環境でやりたかった」と。今思うと、のびのびとしたタイプの息子らしい意見です。

我が家には中学受験が合っていなかった。失敗と反省

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まさか、こんな展開になるとは想像していなかったので、驚きましたが、その言葉を聞いた私は、意外にもすんなりと受け入れることができました。

このようなことを言うと、計画的に中学受験に取り組んでいる親御さん達から叱られてしまうと思いますが、結局、私自身、子どもに中学受験をさせる意味を見つけられていなかったのだと思います。みんなが受験するから、という雰囲気にただ流されていただけでした。

私は地方で育ったために、都会の中学受験情報にまったく疎く、また自分の仕事の忙しさとコロナ禍から、学校見学の機会もあまり得られず、親として息子に合っていそうと思える中学校をなかなか見つけられずにいました。

塾の先生に「志望校は?」と聞かれても、的確に答えられない状態。息子自身も「小学1年生から続けている野球ができる専用フィールドのある学校がいい」くらいしか希望がなくて。

また、塾の先生に、受験と野球の両立ができるかと聞いたら、ほとんどの場合は無理だと言われ……まだ“子ども”である小学生のうちに、勉強漬けにさせる選択肢しかないことも、私の中では腑に落ちていませんでした。

とはいえ、私の子育て方針としては、“息子が楽しいことがいちばん”なので、もし息子が塾が楽しいと続けていたら、小学5年生のうちに息子に合いそうな学校を見つけられるよう、私自身必死になっていたとは思います。

偏差値教育に違和感。子どもの「好き」を伸ばしたい

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小さなころからずっと、そして今も、“子どもらしい子ども”タイプの息子。

中学受験しないことが決まり、息子のこれからの将来についてふと考えると、小学校を卒業して、近所の公立の中学校に行ったら、また塾に通って、高校受験が控えている。そして、その後はまた塾に通って大学受験……。

子どもの年齢が上がっていくうちに、本人の意識も代わり、受験することの意味を見出してくるかもしれない。本人に将来の確かな目標ができたら、それに向けてがんばるようになるかもしれない。だけど、もしかしたらまた中学受験と同じような繰り返しになる可能性もある……。そんな不安が頭をよぎりました。そして、ずっと“偏差値”に追われることになります。

息子は、勉強が好きなタイプではないし、将来のために勉強をしなければいけないと割り切れる大人っぽさもまだ持ち合わせていませんでした。“息子が楽しいことがいちばん”と思うと、塾にずっと通って、必死に勉強を続けなければならない未来に違和感がありました。

そして私が息子のためにしたいことを改めて考えるとそれは、息子が将来、少しでも安定した道に進むためのレールを引いてあげるよりも「自分自身で生き抜く力を身につけられる環境を与えたい」という事でした。それに気づいたら、やはり我が家に必要なのは偏差値教育じゃないな、という思いに。

個性を大事に、アートやIT教育が進んでいる環境を!

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まだ英語も話せなかった小学生低学年のころ旅先にて。一緒に遊びたい気持ちだけで、グングンと友達をつくっていきました。
描いた絵を表彰してもらう息子。

中学受験を断念することは、世間的にはマイナスのように受け取られることかもしれません。ですが、私にとっては、この経験があったからこそ今があります。

息子が毎日笑顔で過ごせ、好きなこと、得意なことを伸ばしてほしい。なにより人間力のある大人になってほしい。息子の得意なことって? 息子が笑顔になれる環境って?と考えていくことで、息子の性格や特徴、個性について、今一度棚卸しをするタイミングとなったのです。

息子は、小さいころから旅好きの私と一緒に2人でよく海外旅行をすることがありました。そんなときも、恥ずかしいよりも、楽しいことが好きな性格が幸いして、息子はものおじせず、だれとでもすぐに友達になります。

そのおかげで、旅先で家族ぐるみで仲良くなり、いまだに連絡を取っているファミリーもいるほど。そして、アートやIT関係が得意で、小学校で描いた絵画で表彰されたこともあります。

“みんなと同じが安心”とは真逆のタイプなので、のびのびと過ごせ、個性を認めてくれる環境が合うのだろうと思いました。さらには、一緒によく旅行をしていたことで、息子が「英語を話せるようになりたい」と興味をもっていたこともあり、そこから導き出したのが、海外という選択肢でした。

次回はこちら→【脱・中学受験】息子(12歳)との「カナダ親子留学」を可能にしてくれたビザの仕組みとは…

高橋香奈子
高橋香奈子

ファッションエディター。ファッション雑誌『Oggi』(小学館)、ウェブマガジン『mi-mollet』(講談社)を中心に、書籍、ウェブコンテンツ、ファッションカタログなどの編集・ライティングを行っている。好きが高じて著者として出版した、旅行ガイド本『子連れGUAM』(ワニブックス)は、これまでなかった“子連れ母”目線が話題を呼び、何度も重版。プライベートでは、12歳野球少年の母。2022年8月末から息子と2人でカナダに移住。親子留学の様子はInstagram@takahashi_kanako_  で投稿中。

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