子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

【妻が思う】今の自分から「新婚の頃の自分」に教えたいこと。既婚女性174人の納得の回答は

結婚生活のスタート直後は、不安と期待が入り混じった高揚感のある時期です。日常生活が定着した後にこれまでの軌跡をたどると、いくつかの教訓が刻まれているのではないでしょうか。

今回は、結婚後4年目以降の既婚男女349人(男性175人・女性174人)にアンケートを実施。

「新婚だった“あの頃の自分”に、今の自分から教えることができるなら、何を伝えたいですか?」と質問してみました。

夫編に続く今回は、妻からの声をご紹介します。

夫サイドからは、新婚時の自分に対して「お金を大切に」「家事・育児に関わって」「妻とコミュニケーションをとるように」といった声が多く聞かれましたが、妻サイドから寄せられたのは?

いい母親、いい奥さん、仕事…「全て完ぺきは無理」

null

今回のアンケートで多くの女性から多く寄せられたのは、新婚時に張り切りすぎていた自分への声掛けでした。

「全部1人でこなそうとしなくて大丈夫。手の抜き方を覚えると楽になる」(40歳・自営業/結婚15年目)

「全部完ぺきにやって一人前とか思わなくていいよ。できない日があっても当たり前。また次の日からがんばればいいよ」(38歳・公務員・団体職員/結婚5年目)

「良い奥さんをしようとがんばらなくて大丈夫だよ。仕事と家事の両立だけでも大変なのに、いいかっこうをしようとして疲弊してしまったので」(41歳・主婦/結婚6年目)

「もっと家事をズボラにした方がいいし、パートに出た方が貯金できるよ」(57歳・主婦/結婚20年目以上)

周囲の期待に応えるために、母、妻、仕事など、自分に課された役割を完ぺきにこなそうと思っていた頃を振り返る回答が目立ちました。

最初が肝心!「尽くす」を当たり前にしないで

null

続いて、最初のがんばりすぎた状態が家族にとっての“スタンダード”になったことへの後悔も聞かれました。

「張り切って朝ごはんを作っても、独身時代朝食をとらなかった夫はそんなに喜んでないんだよ」(46歳・主婦/結婚18年目)

「言いたいことはしっかりと伝え行動に移してもらうようにしないと、ダメ夫になる」(47歳・自営業/結婚13年目)

「旦那はわかってないだけで、言えばやってくれる。わかってないだけで、言えばやってくれる。もっと言いたいことをハッキリ言った方がいい」(50歳・総務・人事/結婚20年目以上)

「最初に“いい嫁キャンペーン”をすると、それが当たり前になって要求がどんどん増える」(50歳・主婦/結婚18年目)

「仕事が忙しそうだからとなんでもやってあげてしまうと、そのうち何もやってくれなくなってしまうと教えたい」(58歳・主婦/結婚20年目以上)

「共働きなので、家事をすべて自分がするのではなく、分担制にした方が良いこと」(45歳・主婦/結婚14年目)

回答者が結婚した頃は、女性らしさを表す“女子力”が、結婚相手として“選ばれる女性”の指標としてみなされた時期と重なっています。“尽くすこと”“家事をしてあげること”が夫のため、家庭のためだと信じていた頃を振り返った言葉には含蓄があります。

過去に無理をして演じていた“いい嫁”の残像が、夫婦の呪縛となっているケースもありそうです。

おおらかに子育てをしてね

null

子育てに追われていた時期を振り返って“ピリピリ”“イライラ”していたと省みる声も。

「気持ちにゆとりを持って子育てしないと家庭がピリつくよ」(45歳・専門職/結婚12年目)

「子育てにイライラしないこと。もっと大らかに子育てした方が良いよ」(48歳・主婦/結婚20年目以上)

「もっと楽に子育てしたほうがいいよ!」(40歳・総務・人事/結婚11年目)

育児期にもっと“楽しく”“おおらか”でありたかった、という思いが伝わってきます。

翻って男性サイドの回答では過去を振り返り「もっと育児に関わればよかった」という声が聞かれたのが対照的でした。

あなたの夫、本当はこんな人ですよ

null

結婚して気づいた夫の性格に言及する声です。

「旦那、こだわり強いよ」(32歳・ パート・アルバイト/結婚10年目)

「若くして結婚したからか、家事をまったく手伝わなくてイライラしてるけど、子育てがひと段落したころ、ごみ捨てや茶碗洗い、洗濯物など自分から進んでやってくれるようになるよ」(54歳・パート・アルバイト/結婚20年目以上)

「マザコンか見よ」(43歳・主婦/結婚14年目)

「この人、浮気するよって教えてあげたい」(53歳・主婦/結婚20年目以上)

相手が隠していた“素”に幻滅する声が一定数寄せられています。男性サイドからも、同様の声が聞かれました。

お金の管理に気を付けて

null

そして、誰にとっても“自分ごと”のお金の話です。

「金(きん)の積立止めちゃダメ! こんなに値上がりするとは思っていなく、途中でやめてしまったので」(48歳・総務・人事/結婚20年目以上)

「“地道にコツコツ貯金しなさい”と伝えたい。子どもが成長するにつれて食べる量も増えるし、学費の出費に親は大変だからお金の管理をしっかり身につけてと伝えたい。備えあれば憂いなし」(36歳・パート・アルバイト/結婚14年目)

「お金を貯めた方がいいよ。マンション買わない方がいいよ」(49歳・主婦/結婚20年目以上)

「夫婦2人で思いっきり仕事ができるうちに、しっかり貯蓄をしておきなさい」(37歳・その他/結婚7年目)

男性と同様にお金がかかる時期を迎えているケースに加え、「自分が稼げなくなる前に貯蓄を」という声が聞かれました。

手に職をつけておいて!

null

「貯金をして」という声に加え、「仕事を大切に」という声も寄せられています。

「正社員で仕事を探せ」(46歳・営業・販売/結婚17年目)

「自立できるような仕事を持っていた方が良いこと」(48歳・その他/結婚20年目以上)

「仕事をやめなければ良かった。再就職は難しそう」(49歳・主婦/結婚17年目)

「夫の考えに何でも合わせて仕事を辞めてしまわない方がいいよ。切り札がなくなって苦しいよ」(55歳・ 主婦/結婚20年目以上)

結婚、出産、夫の転勤などで、いったんキャリアが途絶えた女性からは「手に職を」という声が寄せられました。一度仕事を辞めると、なかなか元の収入を取り戻すことが難しい現状を表わしているかのようです。

夫婦でよい関係を築いているよ

null

最後に、こんなコメントをご紹介します。

「結婚して29年目の今も結婚当初と変わらず幸せな日々を送っているよ、思いやりの心をずっと大切にしてね、と伝えたいです」(51歳・主婦/結婚20年目以上)

「旦那は唯一無二の存在だよと伝えたいです。お互いにとってなくてはならない存在だということに、早く気づいてほしいです」(36歳・主婦/結婚12年目)

「これからもずっと幸せだよ」(39歳・主婦/結婚9年目)

「年数を重ねるごとに、もっともっと仲が深まるよ! 二人でよく話し合うことが大事です」(47歳・その他/結婚20年目以上)

時の流れとともに夫婦が円熟味を増し、良好な関係を築いていることが伝わってきますね。

男女の回答を振り返って…

null

以上、【夫編】【妻編】の2回にわたって「新婚だった“あの頃の自分”に、今の自分から教えることができるなら……」という内容の記事をお届けしました。

男性からの声を振り返ると

  • 妻とコミュニケーションを取ろうとしてこなかったこと
  • 育児・家事に関わらなかったこと
  • あまり蓄財をしてこなかったこと
  • 妻が変わってしまったこと

について、新婚時代を悔いる声が多く聞かれました。

一方、女性からは

  • 「よい嫁」を演じて、それが当たり前になったこと
  • 完ぺきであろうとがんばりすぎたこと
  • 育児でイライラしてしまったこと
  • 仕事を辞めたこと
  • あまり蓄財をしなかったこと

を悔いる声が多く寄せられています。

筆者は男女の回答を合わせて読みこんでいたら、今回のテーマと領域は異なっていますが、オーストラリア人の著者ブロニー・ウェア氏による『死ぬ瞬間の5つの後悔』の内容を連想しました。

著者は同著の中で、人生の最期に差し掛かる人が直面する後悔には5種類あると述べています。それは、周囲からの期待に応えようとして自分に正直でなかったこと、仕事をしすぎたこと、素直な気持ちを表現しなかったこと、友人と疎遠になってしまったこと、自分自身の幸せをあきらめたことだといいます。

今回のアンケートでは、男性からは「結婚後、妻・子とまっすぐ向き合って素直な気持ちを伝えてこなかったこと」に類する回答が多く寄せられ、女性からは「周囲の期待に応えるべく“良い嫁”であろうと家族に尽くしてきたこと」が多く寄せられていたのが印象的でした。

この記事をここまで読んでいただいた多くの皆さんには、これからも長い日常が待っていると思います。これから別れを選択するカップルも、話し合いが不可能になっているカップルもいるかもしれませんが、現時点で対話が可能な場合には、2人がこれまでの結婚生活を振り返って感じていることを持ち寄り、今後の結婚生活について考えてみてはいかがでしょうか。

【参考】

ブロニー・ウェア/著 、仁木めぐみ/訳『死ぬ瞬間の5つの後悔』2012年(新潮社)

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載