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体調不良時の「ワンオペ育児」のつらさをわかって…家庭の緊急事態に夫に望むこと

幼い子どもと一緒の時間を過ごすことは、絶え間なく体・心・目を子どもに向け続ける状態にあるということ。だからこそ、育児は体力と気力を要します。でも、もし子育てを担う親が体調を崩してしまったら……?  

ママが体調不良に…そのときパパは?

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小さな子どもを育てている親にとって最もしんどいシチュエーションのひとつが、自分が体調不良に陥ってしまったときではないでしょうか。

布団で横になりたい。でも、子どもがいるから気を抜くことができないし、どんどん家事はたまっていくし、パートナーは仕事で不在。保育施設に入園前の子どもがいる場合や、保育施設まで送る気力・体力もない場合、「今日1日どうやって過ごしたらいいのだろう」と、泣きたくなるような気持ちになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

以前「4割がワンオペ育児中と回答!『辛いと感じること』時間がない、より多かったのは…」の記事では、育児を1人で担う時間が多い女性にとって最もつらいシチュエーションが、自分の体調が悪くても助けてくれたり、共感する人がいないことでした。

今回『kufura』では、小学生以下の子どもを持つ148人の女性に新たにアンケートをとりました。結果を見ると、子どもが小さく世話が必要な時期、自分の体調不良の際に、「夫の手助けがあればもう少し救われたのかもしれない」と思った経験が「ある」と回答した女性は約7割にのぼっています。

寄せられたエピソードからは、当時のつらさが伝わってきます。

「子どもの手足口病がうつって、高熱が出た。意識がもうろうとしながら子どもの世話をした」(37歳・主婦)

「肺炎になって入院をすすめられたが、2人の子どもがいるので入院できず、家に帰り、それでも家のことをしたり、とても大変でしんどかった」(39歳・営業・販売)

「3人の子どもがまだ幼いとき、幼稚園の送り迎え時や食事の準備など、夫は少しの時間だけでも面倒を見ててくれるとかなり助かると思うが、夫はしてくれなかった」(42歳・その他)

「第2子を出産し退院したその日から第1子の保育園への送迎は正直つらかった。骨盤が不安定な状態なので第2子抱っこしての送迎は怖かった。つわりの時期の送迎も辛かった。ごみ袋片手に吐きながら行ったことも」(37歳・総務・人事・事務)

文字数の関係上、ご紹介できるのはほんの一部ですが、1つ1つのエピソードを読んでいると、当時の皆さんの心境を勝手に推し量って、勝手に感情移入した末に、筆者はちょっとつらくなって途中でいったん読むのをやめたほど。

容易に動かない体、子どもからの絶え間ない要求、仕事を休んでしまうことへの自責の念と焦り、床にこぼれたままの麦茶、空っぽに近づく冷蔵庫の中身、迫る送迎時間、子どもが退屈に耐えられずに煮詰まっていく空気……。

皆さんの回答から、そんな家庭の景色が垣間見えてくるようでした。

なぜ母親が「体調不良なのにワンオペ育児」状態になってしまったのか?

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体調不良時に1人で家事・育児を担うのは、とてもつらいことですが、ここでひとつ疑問が生じます。「このような状態なのに、どんな事情で夫は家族をサポートできなかったのだろうか」ということ。

体調不良時に夫からの手助けを得られなかった経験をした女性に、何が理由だったのか自身の視点で振り返ってもらいました。

考えられる理由は以下の3つです。

(1)夫の職場の理解が薄い

「夫の会社が『子どもの育児は妻がやるもの』という姿勢で、育児の為に定時で帰る人はいないから無理だと言われた。残業すればするほど偉いみたいな風潮があり、企業意識が変わって欲しかった」(37歳・総務・人事・事務)

「夫が早退できる環境だったらよかったんじゃないかと思う」(30歳・主婦)

「社長に言えば承諾してくれると思うけど、他の社員に気を使って(早く帰ることを)言えないみたい。上に理解がないというより、同僚が理解ないと思う」(34歳・営業・販売)

(2)職場での責任が重い

「仕事が大変で代わりがきかないのもわかるけど、家族にとってパパも代わりはきかない。ママが体調不良のときぐらいは早めに帰宅して、子どもの面倒をみてくれると、私も早く良くなるのに」(32歳・主婦)

「子どもを3人、家に残したまま入院になったのは辛かった。『出張を取りやめて』とは言えなかったが、辛かったので代わりに行ってくれる人を探してもらえるとありがたかった。義母がなんとかして下さったから助かったものの……」(46歳・ 主婦)

(3)家事・育児の当事者意識が薄い

「『自分のご飯いらないよ』なんて言って優しいふり。『子どものご飯を用意するのは誰なんだろう』と言いたかった」(37歳・主婦)

「保育園の送り迎えをして欲しかった。『自分の子どもだから、自分で何とかしないと』いう気持ちをもう少し持って欲しかった」(41歳・総務・人事・事務)

出産後も働く女性が増え、“ママ社員”の時短勤務や子どもの発病時の急な休みは少しずつ社会で受け入れられるようになってきましたが、“パパ社員”への眼差しは以前とは変わらず会社優先を求める職場が少なくないようです。

また、男性側に「育児や家事は自分以外の家族が担うもので、さほど大変なことではない」という意識がある場合、それが言動にあらわれてしまうことがあるのかもしれません。

育児を担う妻が体調不良になったとき「夫に求められること」は?

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続いて、幼い子どもがいる家庭において、主に育児を担っている自分(母親)が体調不良になったときに必要だと感じたことを聞いてみました。

(1) 夫が状況に応じて仕事時間の調整すること

「仕事が休めるような会社の環境作り」(49歳・総務・人事・事務)

「会社に行く時間をずらしたり、合間にお迎えしてくれたらよかった」(33歳・主婦)

「半日でも仕事を休んでくれたら、だいぶ違っていたと思う」(45歳・主婦)

(2)子どもの面倒を見たり、家事をすること

「定時で帰ってくれて、子どもの相手をするか、家事を手伝ってくれるだけで楽になる」(34歳・主婦)

「腰痛のとき、旦那が早く帰ってきて子どもを抱っこして下に連れていってくれたら腰痛も長引かなかった」(33歳・主婦)

「子どもの食事を用意したり、オムツをかえたり、お風呂にいれてほしかった」(39歳・主婦)

(3)定時帰宅が無理でも、せめて共感やねぎらいの言葉を…

「電話等でちょっとしたねぎらいの言葉だけでもあれば違ったと思う」(49歳・総務・人事・事務)

「『きついだろうから代わりにあやすから休んで良いよ』と言葉をかけてもらえたら少し気分が楽に感じたと思う」(37歳・その他)

夫が普段から子どもに関わって「育児は“片手間”ではできない」ということを理解してもらうこと。そして、夫の職場が必要に応じて労働時間を変えられることを望む声が多く集まっています。また、つらかった1日を体調不良の妻が1人で乗り切った場合、労わりやねぎらいの言葉が欲しいとの回答も見受けられました。

アンケートを振り返って…

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育児の先輩からは、「乳飲み子を抱えて寝込んだときに、夫は飲み会で帰ってこなかった」という声もあるかもしれません。「多少体調が悪くても育児や家事は無理すればできる」というのは、これまで“普通のこと”だったのかもしれません。しかし一方で、核家族化も進み、結婚後も仕事を続ける女性が増えているという状況の変化もあります。

夫以外にも、地域のサポート組織、民間のシッターなどを頼る方法も考えられますが、体調不良は急に発生したり、想定外だったりすることが多く、臨機応変の対応が求められます。

ママに限らず、育児を担う親が体調を崩したとき、もう一方の親が代わりに育児を担うことや、第三者の手を借りやすくなることが“普通のこと”になるかどうかは、夫婦の意識だけではなく、夫婦の職場の意識、社会の意識も大きく関わっているようです。

 

次回は、「妻の体調不良時の対応」について、夫側に聞いたエピソードをお届けしたいと思います。

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