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母になった記念日(=娘の誕生日)に、ふたりでケーキを手作り【お米農家のヨメごはん#4】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・11歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載の4回目。

今回は、私が母になった記念日(娘の誕生日ともいう)の事と、ようやく終わった田植えの風景をお届けします。

誕生日は、自分の親に「命ありがとう」を伝える日

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何かと忙しい春、この時期の11年前に私は母になった。産休も育休もない自営業なので、出産当日も普通に働き、出産直後もお米注文の電話を病室でとったりしてた。退院したら田植えの真っ最中という超繁忙期で、私の仕事(注文対応や発送業務など)は私がやるしかなくて、それを大変だとか辛いとか考える暇もないくらい、とにかく無我夢中で忙しく走り抜けたような気がする(あまり覚えていない)。

仕事の合間に母になって、仕事の合間に育児をしていたんだ、きっと(笑)。

まだ若かったからかもしれないけれど(出産当時そんなに若くもない36歳)、それでもやっぱり育児と仕事の両立は大変だった。娘が1歳になる少し前にようやく保育園に通い始めて、それで少しだけ楽になった気がする。

私が母になった事をお祝いしなくては!

通っていた保育園の理事長先生が、誕生日は自分の親に「命ありがとう」を伝える日なんだよと、子ども達にもわかる言葉でお話しされていた。あぁ、本当にその通りだと思った。私自身の誕生日は私の母親に感謝する日なんだ。だから娘の誕生日は娘の誕生をお祝いしつつも、私が母になった事をお祝いしなくては!

誕生日には必ず娘とふたりでケーキを作る

私にとっても娘にとってもめでたい記念日なので、毎年かならず娘と2人でケーキを作る。数年前に家を改装する事になった時、間取りも壁の色も特に希望はなかったけれど、魚焼きグリルは不要、絶対にガス、大きなオーブン!   この3つをリクエストした我が家のキッチン。オーブンはもちろんケーキを焼くためだ。

それはきっと、私の母親がやはりずっとそうして、手づくりのケーキを作ってくれていたからだと思う。子どもながらにとっても嬉しくて、それがうちのちょっとした誇りだったのかもしれない。

親が子どもに教えられる事って本当に限られていると思うんだけど、こういう行事ごとの習慣とかが、もしかしたら子どもに伝えられる唯一の事なのかもしれない。娘の思い出の1つになってくれたらいいな。そんな気持ちで毎年一緒にケーキを作っている。

今年はシンプルなイチゴのショートケーキにした。卵を全卵のまま混ぜて泡立てる「共立て」のスポンジケーキは、ハンドミキサーさえあればそんなに難しくない。たとえ失敗したとしても、卵と砂糖と小麦粉とバターという限られた材料を混ぜて焼いただけなんだもの、まずくなりようがない。

生クリームは植物性ではなくて、動物性の脂肪分が高いものであれば間違いなく美味しくできる。あとは瑞々しいイチゴさえあれば、どんなに不格好でもお店屋さんに負けないケーキの出来上がり!

……でもそれだけだとちょっと淋しいので、庭で勝手に自生しているほったらかし状態のイチゴの葉っぱと花を飾ってみた。苦肉の策だったけど、なんだかいい仕上がりになった気がする!

田植えが終わって、春の作業はひと段落

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今年も年代物の田植え機が機嫌をそこねる事もあったけれど、なんとか田植えが終わった。3月中旬から1日も休みなしで駆け抜けてきた春作業も、やっとひと段落。早朝と夕方の田んぼの水回りがあるので、まだまだしっかり1日休みをとる事はできないけれど、それでも緊張感から解放されてホッとしている。

この景色! これは夕景だけれど、夕日で赤く染まっていく北アルプスの美しさったら!!   絶景は世界の果てではなくて、家のすぐそばにあったんだ。

そんな絶景の麓で、テデウエール。田植え機で植えきれなかった箇所を、手で植えていく補植という作業だ。

一般的に田植え体験というとこのテデウエールになるんだろうけど、実際の現場ではテデウエールは考えられない。あくまでも補植であって、さっと作業してさっと田んぼから野に上がってくる。そう、野上りだ!

かつては地域で協力してテデウエールで田植えをした時代があった。何日もかけて田植えをして、ようやく終わって野に上がってきた事を祝って宴会をしたそうだ。これを野上りと言うんだけれど、私たちも農家仲間とともに野上り宴会を大いに楽しみました!

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