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年1回の「寒ブリ」の集い。ブリしゃぶはこんな風に!【お米農家のヨメごはん#98】

こんにちは!富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・14歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らす。そんな私たちの、食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載98回目。

今回は、富山の冬といえば!の寒ブリを食べ尽くす集いの様子と、農家だってペーパーワークいっぱい!の事務作業についてお伝えしたいと思います。

年1回のお楽しみ「寒ブリ」の会!

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富山の冬の味覚と言えば、いろいろいろいろあるけれど、 圧倒的な存在感があるのは寒ブリ。

県外の方からすごく羨ましがられるけれど、でも、寒ブリなんて贅沢すぎて。ほとんど食べる機会がなく、いつしかブリは憧れの魚に……。 いつかブリを思う存分に食べたい!お皿にちょこんと数切れとかではなく、豪快に1本丸々食べ尽くしてみたい!という願いを叶えるべく、実は数年前から仲間うちで、ブリを食べる集いを催している。

荒れる事が多い日本海側の冬の海、漁は天候に大きく左右される。しばらく富山ではブリがあがらない日が続いた。

今年は養殖になるかも?と思ったが、漁業関係の方のお力をお借りして、同じ日本海側の港から、何と10kg近くもある立派なブリを仕入れる事ができた。

これだけ大きなブリだから、さばくのも一苦労。

だけれど、仲間うちの元船乗り(今は農家)が、慣れた手つきでバキバキっとさばいていく。 見事な手つき。

農家にしておくのがもったいない。

腹を出して頭を落として3枚におろして。 助手の私、血しぶきを浴びながら(笑)右往左往。 ここまできたら、あとは切っていくだけ。

ご覧の通りの手つき! ブリしゃぶ用は、薄く斜めにそぐように。 ジッと手元を見て勉強させてもらう。脂がのった寒ブリ、これだけでもう美味しそう。

お刺身はこの地域らしく、厚めに切っていく。ツマも何もなく豪快に!

ブリの準備が整ったところで、いよいよブリ祭りスタート!

ブリしゃぶは、シンプルに昆布を入れたお出汁と薄く切った白ネギだけ。 ネギも畑から取りたて。ブリを捌いた元漁師の農家は、この時期にネギを作っている。 写真にはないけれど、ネギを切る手つきも圧巻だった。

さてそれでは、ブリしゃぶを。

たっぷりネギが入ったお出汁に、サッとくぐらせる、だけ。 究極に、素材の味をシンプルにいただく。

そんなお料理だからこそ、ポン酢も自家製で用意。 冷蔵庫に眠っていた、カボス・スダチ・レモンを使用。

スライスしてギュッと絞って、醤油と昆布と合わせただけ。 数日おいておくと、味がまろやかになる。

そんな私のこだわりポン酢の説明を聞く人は誰もいない(笑)、このカオスな状況。

この日はたくさんの人が集まった。はじめましての方も多く、ブリを通して人と人とが繋がっていく。そんな楽しそうな様子を見ると、企画して良かったなと思う。

大人は酔っ払い、歌い踊る。子どもはUNOをしたりスマホで動画を見ている。この様子を友人は「ダラな親戚の集まりみたい」と形容した。

「ダラ」というのは富山弁で馬鹿という意味だが、関西弁でいう「アホ」のような、軽いニュアンスで使われる事もある。

富山でもかつてはこんな風に、障子を取っ払った部屋続きで、親戚一同が集まる光景が当たり前にあった。でも今ではこの地でも核家族化が進み、人が集まる間取りの無い家も多くなってきた。

もしかしたらこういう集いが、血のつながりより大事なのかもしれない。

そんな真面目な事を考えている側から、DJの機械を持ち込み大音量で音楽を鳴らしたり、お酒を溢れこぼす大人がいる。ギター片手に誰も聞いていないのに歌う大人や、 カニ面に富山の貴重な日本酒を注いで食べる大人もいる。

ダラな大人を見て、さて、子ども達はどう思ったか。
大人って面白そうだなって思ってもらえていたらいいな。

農家の「書類」仕事。実はこんなに!

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さて狂乱の宴が終わり、 二日酔い気味の頭をかかえての事務作業。

農家は早朝から農作業しているイメージを持たれがちだが、 実際は事務所にこもって書類と格闘する時間も多い。

特にこの時期は、 地主さんとの田んぼの契約書や、各種の申請書、 何より確定申告の為の簿記入力など、パソコンと向かい合う日々だ。

この日、旦那さんは燃料に関する申請書を作成していた。

一般家庭でも、電気代やガソリン代の高騰は頭を悩ませるところ。 農業でもそれは同じ。 使用する量が膨大なだけに膨らむ費用も大きい。

少しでも節約しつつ、受けられる軽減措置は利用させていただきたいと思います!

濱田さん一家の『濱田ファーム』ホームページはこちらから。

濱田律子
濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。

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