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【2023年版】「小1の壁」およそ5人に1人の母親が実感…その背景は?どう乗り越えた?

新学期、新しい学校やクラスの雰囲気に慣れるまでには、ある程度の時間が必要ですよね。特に、子どもの小学校進学にともなう環境変化は大きく、親と子にとっての困難が生じることがあるようです。“小1の壁”と呼ばれる問題です。

『kufura』編集部は、毎年新年度を前に小1の壁についてのアンケートを実施していますが、幼稚園・保育園から小学校への進級時、おもに3種類の困難が生じていました。

小学生入学後、何が変わる?

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“小1の壁”は、共働き家庭の子どもが小学校に進学するにあたって、以前と同様の就労形態が困難になることを意味する言葉です。

『kufura』編集部は2020年から定期的に“小1の壁”に関するアンケートを実施していますが、毎回2割~3割の母親が「子どもの入学後に“小1の壁”を感じた」と回答しています。

今回、小学生以上の子どもがいる105人の女性に“小1の壁”を感じたことがあるかどうか聞いたところ、以下のような割合となりました。

ある・・・18%
ない・・・61%
わからない・・・21%

それでは、子どもの入学後、どのようなことが障壁となり、どのような対応が必要になるのでしょうか。まず、皆さんが直面した悩みについてご紹介します。

1:学童の開所・閉所時間でこれまでの就労が難しくなる場合も

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まず1つめは、子どもが通う学童の預かり時間に関する回答です。

「夏休み等の長期休校中、学童が開く時間が登校時間より遅く、出社時間に間に合わないという事態に陥った」(42歳/その他)

「保育園のときの迎え時間は18時半。入学後にお世話になった子どもの学校の敷地にある学童の閉所時間は18時。定時でダッシュで帰らなければならない」(41歳/その他)

「預かり保育のある幼稚園に行かせていたときより働けない」(41歳/主婦)

「幼稚園の頃は預かり保育があったが小学校は無いので放課後の時間を持て余した」(50歳/主婦)

「学級閉鎖や警報が出て学校が休みになったときに連鎖して学童が閉まる」(45歳/その他)

子どもが通う学童(児童クラブ)の迎え時間が保育園の頃よりも早い場合、定時までの就労や残業ができなくなる、という声がありました。他にも長期休暇に子どもが学童に行き渋る、自治体内の学童の枠が埋まっている、というケースも見受けられます。

近年、学童の利用者数は増加の一途をたどっています。2022年の5月時点で、登録児童の数は過去最高の139万人超。待機児童は1万5,180人にのぼります。

利用者数の多い地域では、親の就労形態によっては学童を利用できないケースがあります。多くの児童を受け入れるために過密な空間になっているという悩みも聞かれます。

2:他の子との「放課後格差」を感じることがある

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続いて、放課後の過ごし方に関する悩みです。仕事の両立についての回答は親目線の言葉でしたが、子どもの立場にたって悩ましい思いを抱える人が見受けられました。

「学童に通っているけど、学校の友達と遊べない」(46歳/パート・アルバイト)

「共働きなので帰宅後の過ごし方」(48歳/公務員・団体職員)

「ゲームやYouTubeばかりを見て宿題をあまりしなくなった」(49歳/専門職)

学童では、子どもたちを飽きないような遊びと学びの時間、玩具、本などを用意してくれています。とはいえ、同じクラスの子たちがいろんな過ごし方をしているのを見ると、親はちょっと後ろめたい気持ちになるケースもあるようです。

3:新しい環境に慣れるために「サポート」が必要になった

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幼稚園や保育園から学校に進学し、新しい環境に少々とまどったという声です。

「保育園に通わせていたので、幼稚園組と比べて落ち着きがなく、明らかに差があった。幼少期から色々学んでいる子が多いので、周りの子ができることが多いのに驚いた」(45歳/主婦)

「幼稚園でずっと手厚い報告をしていただいていたのに、子ども本人が親に伝えるなど、伝わらない内容がある」(41歳/主婦)

「忘れ物が多い子なので、明日の準備のサポートが必要になった」(41歳/主婦)

小1の段階で、子どもの落ち着きや学力に差があることを実感している人がいます。

加えて、学校の集団生活の雰囲気が“園時代”と異なるために、学習のサポートや、日常生活のケアなど、親の役割が増えるケースがあります。

「小1の壁」に直面したとき、どう乗り越えた?

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小1の壁についての対策は、過去のアンケートで以下のような対策が寄せられています。

・一時的に働き方を変える

・自治体の子育て支援サービスを活用する

・送迎つきの習いごとを探す

・祖父母が近くに住んでいる場合には、協力を要請する

・学区内の民間の学童を探す

・保育園時代のママ友と助け合う

・夏休みは、夫と休みを調整して自宅・学童以外で過ごす日もつくる

これらの対策を見ると、「“策士”になれ」と言われているようで、プレッシャーを感じる人もいそうです。あれこれ策を巡らせて戦略を練って頑張ったあとは、燃え尽きないように自分自身のケアも必要となりそう。

職場、クラスの雰囲気、先生の寛容さ、子どもの性格など、さまざまな背景で小学校1年生の壁は偶発的に立ちはだかる可能性があります。とはいえ、乳児期のような“四六時中のケア”ではなく、少しの調整で解決に至るケースもあります。困りごとが起きた場合、配偶者や家族、職場などのサポートを得て、なんとか日常が軌道にのりますように!

【参考】

令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和4年(2022年)5月1日現在) – 厚生労働省

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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