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幸せなはずなのに育児がつらい…子育ての現場で起こること【犬山紙子の答えはなくとも育児会議vol.22】

育児は数えきれない喜びをもたらす反面、経験したことのないような「つらさ」がつきまとうこともあります。もしかしたら、いまはつらい方が勝ってしまっている、という方もいるかもしれません。

『kufura』が、エッセイストの犬山紙子さんと一緒に募ったアンケートにも、そんな悲喜こもごもがつづられていました。


この連載では、2017年1月に女の子を出産し、育児まっただなかの犬山紙子さんと、先輩ママ、独身女子などいろいろな立場から「妊娠・出産・育児」にまつわる話をしていきます。

【今回の会議参加者】編集K(8歳女&4歳男の二児の母)、編集S(独身)、ライター北川和子(9歳&7歳&0歳の三児の母)

楽しみにしていたのに…育児がつらくなるのはなぜ?

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前回は、産後直後~半年までに「しんどかった」の声が集中、という現状をお伝えしました。今回は主にママたちの「育児がつらい」の感情の原因をひもといていきます。

集まった声は、体のキツさ、孤独、ワンオペ状態などの共通点がありながらも、その苦労や想いは十人十色でした。リアルな“育児の現場”を感じる声をみていきましょう。

寝ては起こされ…もはや思考停止状態に陥る「睡眠不足」

「娘が、夜はなかなか続けて寝られず、2時間おきの細切れ睡眠が続き、夜間の頻回授乳が精神的にも体力的にもつらかった。睡眠の大切さを実感した」(38歳 / 長女10カ月)

「低血圧で一度寝てしまうと起きるのがとてもつらく、それでなくても高齢出産(36歳)だったので体力も落ち、寝不足はつらくてたまらなかった。ちなみに、夫はいるが家事は全くしませんでした(現在は洗濯物だけはやってくれる)」(46歳 /長男13歳・次男10歳)

―2時間おきに泣く赤ちゃん……。分かります。私も夜が来るのが怖かったなあ。夫にも手伝ってほしくて、ちょっと寝たふりをしたのは私だけじゃないはず。でも、結局夫は起きないというあるある(編集K)。

まだ泣くの…?でも、「泣いてる理由が分からない」

「子どもがいる時点で自由な時間なんてないけど、四六時中子どもと一緒で、泣いたら理由を探して四苦八苦していたから」(25歳 / 長男1歳・次男新生児)

―子どもが泣いている理由がわからないのはつらい。泣き止まないと「私のせいかも」って思えてくる(犬山)

軽い軟禁状態じゃないですか?「外に出られない」

「言葉が通じない相手と密室にずっと二人でいること」(34歳 / 長男1歳)

―わかりますよ、軟禁状態!しばらくこもっていた後、久しぶりの外出の嬉しかったこと(犬山)。1カ月健診までは、確かにそうだった……。急な生活の変化に対応するのは難しくて(編集K)

一緒に住んでるのに…なぜ私のワンオペ?「夫の無理解」

「夜間授乳、黄昏泣き、離乳食づくりなどの対応がきつすぎた。ほぼワンオペ。なのに、夫が育児参加してる雰囲気を外野には出す。旦那の収入が少ないから気持ちにも余裕がない。体調不良だと訴えてるのに別室で寝る、無理と言う。“魅力がなくなったなー”と言われたことで気持ちがしんどかった」(36歳 / 長男1歳)

「子どもとの生活よりも、旦那との仕事のやりくり(お互いフリーランス)の話し合いで疲れしました。お互い仕事したいけど、近くに親が居なかったり頼れるところが少ないため、どのように育児とのバランスをとるかで揉めました」(31歳 / 長女0歳)

―心は疲れ、体も癒えてないところに、パートナーの無理解というダメ押し。読んでるだけで胸が苦しい(北川)

このやり方で本当に合ってるの?「“初めて”というプレッシャー」

「0~6カ月頃・・・ちょっとした油断で死なせてしまうかもしれないという不安がすごかった。1歳半・・・産後、自分のことは常に後回しという生活が続き、心身共に限界にきていた。そこに加え、日々元気に動き回りますます目の離せなくなる子ども。本当につらかった」(35歳 / 長男3歳)

―“初めて”を切り開くのは、いつも手さぐり。そして、その時その時で育児の悩みはどんどん変わっていく(北川)

育児書通りに作ったのに…「離乳食を食べない」

「私が無理に食べさせようとする気持ちがいけないんだろうな。“食べなくてもいい、大人になるまでアンパンマンポテトとバナナだけで生きる奴はいない”と思うようにならなければいけないんですけど、ついイラついてしまいます」(33歳 / 長女1歳4カ月)

母乳が出なくて…「授乳の悩み」

「母乳の出が悪く、実母からは“母乳で”と言われ続け、搾乳器まで勝手に買ってきたこと」(29歳 / 長女1歳)

―私も産後、授乳でかなり悩んだ。周囲の子育て経験者から体質や生活習慣に結論付けられるとめっちゃしんどいと思う(犬山)

善意の言葉になぜか凹む「身内からのアドバイス」

「出産後、里帰り先の実家で、実祖母や叔母から、抱っこの仕方や服の着せ方など細かいことに“もっとこうした方が良い”と意見され、言い返せずもやもやした。子育てしている自分にしっくりこず、産後の体型など見た目が老けていくことに嫌気がさし、子育てをポジティブに捉えられなかった」(28歳 / 長男4か月)

―善意とわかっているんだけど、身内からの「そうじゃない」「こうしなさい」の遠慮のない言葉は、産後の心にグッサグッサと刺さるのはなぜだろう(北川)

産後の睡眠不足に追い打ちをかける「体力低下・ホルモンバランス」

「ホルモンバランスの影響からか毎日夕方になると涙が止まらなかったです」(30歳 / 長女1歳)

「手の抜きどころが判らず、24時間常に緊張状態の生活が続いていたため」(38歳/長女2歳・長男7カ月)

―女性はもちろん男性も、産後の女性の体の状態を前もって学んでおく必要があると思う(犬山)

喜びも悩みも分かち合える人がいない「孤独」

「親類全員遠方、近くに友だちゼロ、育休中、近所づきあいなし、でとても孤独だったことが大きかったと思います」(30歳 / 長男1歳4か月)

―しとしと雨の日、シーンとした部屋に子どもと2人きりでいるときの孤立感は忘れられない(北川)

自我の芽生えとは分かってるけど…「イヤイヤ期」

「1歳半でイヤイヤ期の始まり。かんしゃくがひどくなり、お菓子が欲しくて30分は泣き叫んだりする。あちこち歩き回って、手を繋いでくれない。車道に出たがる。とにかく手がかかる。ママじゃないと嫌」(28歳 / 長女1歳)

―イヤイヤ期おそるべし!覚悟しておかねば……(犬山)

2人目が生まれた後の「上の子との兼ね合い」

「上と下の歳の近さ。下の子1歳で仕事に復帰して色々大変だったこと」(41歳/長男6歳・長女3歳)

―上の子のイヤイヤ期と下の子の誕生が重なったりすると、もう大変!私も当時の記憶がかなり抜け落ちてる(北川)

子どもの命を守る責任感を1人で負う危うさ

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犬山紙子:1つ1つに目を通していくと、それぞれの回答に胸に迫るものがありますね。産後のお母さん達は体力が完全に回復する前に孤独に小さな命を守る責任を背負って、それが日常になって……。そりゃ、つらいですよ!

こうして皆さんの回答を読んでいると、夫の育児参加と産後の女性への周囲の理解がめちゃくちゃ大事だってわかりますね。

北川和子:どれも皆さんの気持ちがわかりすぎて、ちょっと気持ちが凹むほどです。感情移入というより、乗り移って疑似体験している感じ。3人目産んだら強くなるどころか共感のしどころが増えて涙もろくなっちゃってるんで……。

編集K:育児中の辛い記憶は、思い返すとちょっと胸が苦しくなる。あっという間に子どもが赤ちゃんの頃に時間が巻き戻されたような気持ちになりました。

さて、今回はつらかったエピソードをみんなで共有しましたが、次は「つらいとき、育児ラクになったと感じたきっかけ」を、同様に見ていきましょうよ!

犬山紙子:これを待っていたんですよ!うわーー、めちゃくちゃ良い回答がたくさんありますね。

 

というわけで、次回は、育児中のママ達のつらい気持ちが和らいだきっかけをたくさんご紹介します!

 

イラスト/犬山紙子 構成/北川和子

 

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