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【もしかして、毒親!?】子どもの褒め方が分からない時の3つのルール…教育評論家・親野先生に聞きました#4

“子どもの自己肯定感を高めましょう”“子どもは褒めてのばしましょう”と盛んにいわれる現代の育児。でも現実は、褒めるどころか子どもの悪いところばかりに目がいってしまい、結局叱ってばかり……。褒めるって難しい!と感じている人も多いかもしれません。

“厳しく叱るよりも褒めてこそ子どもはのびる”ことを様々なメディアを通して積極的に伝えている教育評論家の親野智可等さんに、実践しやすい褒め方について教わりました。【もしかして、毒親!?】の連載4回目は、長年の教師経験をもとにした、子どもにしっかり伝わる褒め方のルールをお伝えします。

ルール1:部分を褒める・・・子どもの宿題、注目するポイントは?

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「保育園や幼稚園で描いた子どもの絵。全体をパッと見ただけだと“下手だなぁ”と思うことはありませんか?(笑) でも、『部分』を見れば、“この馬の脚はたくましくていいね” “この空の色がきれいでいいね”と褒められるところが見つかるはずです。

小学生なら、漢字のドリル。漠然と見ていると“もっと丁寧に書きなさい!”となかなか褒めることはできないのですが、『部分』を見るとたくさん書いた文字のなかに、偶然書けた上手な字があったりします。それを見逃さないで“この字、上手い! これも上手い。はなまる。これも……”と褒めてあげる。これを毎日やっていると、だんだんと上手に丁寧に書くようになるものです。

どうしても直したい字があるときは、『部分』を褒めてから“じゃあ、この字とこの字だけ直そうか”と促す。この順番なら、子どもも素直にとりかかる気持ちになれますよ」(以下、「」内は親野さん)

ルール2:場面を褒める・・・きょうだいでテレビを観ていたら「仲いいね」

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「きょうだい喧嘩をしている場面で、“なんで喧嘩ばっかりするの! 仲よくしなきゃダメでしょ” “お母さん悲しいよ”と、否定的な言語化をしていつも叱っていると、“ぼくたちって、仲の悪いきょうだいなんだな”と否定的な自己イメージを持ってしまいます。

きょうだいで並んでテレビを観ている『場面』で、“あなたたちって仲いいね。お母さん嬉しいな”と肯定的に言語化して褒めてくれると、“ぼくたちって仲がいいんだ”というイメージが子どもたちにも生まれて、本当に仲がよくなる可能性が高まります。

自然とできている『場面』は、親は当たり前だと思っているから褒めるチャンスだということに気づかないんですね。だから、望まない出来事ばかり目について、いつも叱る羽目になってしまうということです」

ルール3:丸ごと褒める・・・子どもの存在自体を無条件に肯定する

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「何かができるようになったとか、いい結果が出せたということではなく、その子の存在自体を無条件に丸ごと肯定する言葉で愛情を伝えるのも大切です。

●○○ちゃんのこと、大好きだよ

●生まれてくれてありがとう

●あなたを見ていると幸せな気持ちになるよ

たとえばこんな言葉ですね。

日本人は非常に口下手で、夫婦でも“愛してる”が言えなかったりします。口で言えないときは、手紙やメールでもいいので、無条件に褒める機会を持ってください」

写真でも伝わる愛情

「文章でも愛情を伝えるのが苦手という人は、写真で伝えることをおすすめしています。

・親子で写っている七五三の写真

・お父さん、お母さんが子どもを抱っこしている写真

・家族で一緒に楽しんでいる写真

こういった写真を、目につくところに飾っておくとよいでしょう。

写真選びのコツは、親子で写っていること。写真からでも子どもは無条件に肯定されたことを感じ取って、“ぼくには、大事にしてくれるお父さん、お母さんがいる。愛されているんだ、嬉しいな! ぼくもお父さん、お母さん大好き!”という気持ちになります。

親にとっても、“この時は夜泣きが大変で苦労も多かったけど、私も子育て頑張ってきたな”と思える証になって、親自身の自己肯定感も高まります。親と子の自己肯定感の高まりは相関関係にあるので、是非試してみてください」

親野さんおすすめの『ほめ写プロジェクト』。やんちゃ真っ盛りの小学3年生男子のママでもあるkufuraの編集部員が試してみたそうです。

パパやママ、いろいろな人に抱っこしてもらっている赤ちゃん時代の写真だけを集めてミニアルバムにして、9歳の誕生日プレゼントとして渡したところ、「もらったプレゼントの中でいちばん嬉しい」とこそっと伝えてくれ、何度も何度も見返しているそうです。

次回は、この連載でも何度もあがっている「子どもの自己肯定感」について。この感覚を育めない親は、毒親でしょうか? 育児のプレッシャーにもなりかねない現代育児のキーワードとの付き合い方についてお伝えします。


 

【取材協力】

親野智可等(おやのちから)

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。TwitterInstagramYouTubeBlog、メルマガ、各種メディアの連載などで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。詳細については「親力」で検索してHPから。

駿河真理子
駿河真理子

大学卒業後は銀行に就職するも、大好きな雑誌の世界に飛び込む。『女性セブン』(小学館)で、編集兼ライターとして10年間、エンタメ系の誌面に携わる。第2子出産後、5年ぶりに『kufura』のライターとして復帰。今後は、育児や暮らしにまつわる記事を発信していきたい。

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