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「とろろ昆布おにぎり」富山のご当地の味を新米で!【お米農家のヨメごはん#89】

こんにちは! 富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・14歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らす。そんな私たちの、食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載89回目。

今回は、今年も始まった「おにぎりアクション」について、そして新米お届けの様子、さらに久しぶりの休日についてお伝えしたいと思います。

「おにぎりアクション」に参加しています!

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白米に、黒米を少し混ぜて炊くのが好きだ。

黒米は、もち米の品種でモチッとした食感、黒い表皮をまとう玄米のプチッとした硬さ、 何より炊き上がりの色合いがいい。 おすすめは、白米1合に対して黒米大さじ1の割合。白米ではなく玄米でもいいし、黒米の割合も少なくても多くてもお好みで。 炊き方は、通常通りで問題なし。

今年の黒米は、色づきもなかなか良かった。

天候に大きく左右されて、全く色づかない年もあり栽培がなかなか難しい黒米。 でも、リピーターの方がすごく多いので、頑張って作っている。

通常通りの炊き方でと書いたが、我が家は圧力鍋を使う事が多い。

浸水の必要なし、お米と水は同量から少し多め(1合なら180ccから200cc)で、 火にかけて圧がかかったら弱火にして2分。あっという間に炊ける。

火を止めて圧を抜いたら(自然放置してもOK、その場合はかなりモチモチしたご飯になる)、 全体をサックリ混ぜる。

いつもはこのままお茶碗によそうところを、今回はおにぎりにした。というのも、今年も「おにぎりアクション」が始まったからだ。

これは、私たちの食=おにぎりを通して、ちょっとだけ世界を良くするアクションの事。 おにぎりの写真をSNSに投稿すると、世界の子どもに給食が届く仕組み(おにぎり写真投稿1枚につき、給食5食分相当の寄付を協賛企業が提供、アフリカ・アジアの子どもたちに給食がプレゼントされる)。

必要なのはおにぎりだけで、買ったおにぎりでもOKというハードルの低さ。 期間中(今年は11月6日まで)は何度でもサイトへの投稿、 又はSNSで#OnigiriActionを付けて投稿するだけ。
(詳しくは「おにぎりアクション」のサイトで https://onigiri-action.com/

この取り組みを知ったのは数年前。

その仕組みの素晴らしさはもちろんだけれど、個性あふれるおにぎりや場所ごとに異なるローカル色にも釘付けになった。 おにぎりを通して垣間見れる生活感もよくて、自然と私も参加するように。 お弁当もだからこの通り、おにぎりにして詰めてSNSに投稿。

ところで富山県にも、ご当地おにぎりがある。この、とろろ昆布おにぎりだ。

富山は、昆布の消費量が全国1位とか2位だとかで、とにかく昆布を食べる。 富山県で昆布?と不思議に思われるが、その通りで、実はほとんどが北海道産だそう。ではなぜ富山が昆布なのか。

江戸時代、日本海沿岸を運航していた北前船が大きな要因。 北海道から昆布が大量にもたらされて、一気に昆布文化が浸透した。さらに明治に入り、多くの県民が開拓者として北海道に移住。 故郷に昆布を送る交流が生まれ、それが今でもこうして食文化として残っているそう。

具はそれぞれの家庭やお店で異なり、昆布の佃煮を入れた昆布づくしおにぎりも人気があるらしい。でも私はやっぱりこれ、梅干し。

熱々炊き立てご飯をお茶碗によそったら、ふんわりと台の上にひっくり返す。真ん中にくぼみを作って梅干しを置く。 好みの形に結んだら、ほぐしたとろろ昆布の上に転がすようにしてまぶす。

酸味が苦手なので、私は白いとろろ昆布を使うけれど、 富山では酸味の強い黒い方が好まれている。

居酒屋さんの〆でもよく食べられ、食堂やコンビニでも販売されている、とろろ昆布おにぎり。 富山県民がこよなく愛するローカルフード、県外の方にも是非お試しいただきたい。

新米をお届けしています!

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さて10月は、毎年の事ながら新米お届け作業でてんてこ舞いだ。

今年も全国からたくさんのご注文をいただいている。もう10年以上ずっと変わらないご注文のお客様はもちろん、 初めましての方まで、電話やメールでやり取りをする日々だ。 忙しくも充実していて、米農家として本当にやりがいがあり有難く感じている。

田んぼの様子を少しでも想像していただけたらという思いで、この時期だけは稲穂を添える事にしている。

この一粒一粒が、食べるお米であり、また、翌年の種にもなる。 収穫の喜びと、また次の米作りの備えと。 そんな事を感じていただけたら嬉しいなと。

10月中旬、お届け作業もちょっと落ち着いた頃、 久しぶりに裏の海ヘ出かけた。 家族3人、釣り竿とバケツを抱えて。 この時期の狙いは、何と言ってもアオリイカ!  周りの友人知人がこぞって釣りまくっていて、羨ましくて仕方なかったのだ。

お供はもちろんビール。 海に沈んでいく夕陽を眺めながら、釣りを楽しむ。 簡単なアテも持参して、のんびり平和な時間だ。

娘はここからの夕陽が、世界で一番綺麗だと言う。 そうだろうか?  いやでも、そうかもしれない。

太陽が沈んだ頃、月がその姿を現した。

スマホで写真を撮る娘、を撮る私。 気軽に歩いてこれる海で過ごす時間を、これからも大切にしたい。 肝心のアオリイカは釣れなかった。でも、幸せな休日でした!

濱田ファームのホームページはこちらから。

濱田律子
濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。

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