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出産後「いつから家事を再開」した?里帰り出産をした場合、しない場合で比較したら…

出産後の母体は大きなダメージを負っています。とはいえ、誰もがゆっくりと休めるわけではありません。

今回は、第一子出産後の家事スタート時期についてアンケートを実施しました。

実家・義実家によるサポート、パートナーの家事能力や職場理解、母体の回復の度合いなどによって、産後の“生活の質”には大きな差が見られました。

出産後の家事スタートの時期。里帰りの有無で違いはある?

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今回アンケートを実施したのは、出産経験のある20~50代の女性132人。

第一子出産後、家事をスタートした時期についてうかがったところ、以下のような割合となりました。

【家事をスタートした時期】

退院した当日・・・13.6%
退院から1週間未満・・・17.4%
退院から1週間後・・・8.3%
退院から2週間後・・・10.6%
退院から3週間後・・・9.1%
退院から1カ月後・・・31.8%
退院から2カ月後・・・6.1%
退院から3カ月後以降・・・3.0%

「当日スタート」から「2~3カ月以降」まで、ずいぶんバラつきのある結果となっています。

続いて、実家に帰省して出産をする“里帰り出産”をしたケース(53.0%)、しなかったケース(47.0%)ごとに家事スタート時期について質問したところ、里帰りの有無によって、スタート期に顕著な差が見られました。

【家事をスタートした時期(対象:里帰り出産しなかった女性)】

退院した当日・・・26.2%
退院から1週間未満・・・29.5%
退院から1週間後・・・11.5%
退院から2週間後・・・11.5%
退院から3週間後・・・4.9%
退院から1カ月後・・・16.4%

【家事をスタートした時期(対象:里帰り出産した女性)】

退院した当日・・・2.9%
退院から1週間未満・・・7.1%
退院から1週間後・・・5.7%
退院から2週間後・・・10.0%
退院から3週間後・・・12.9%
退院から1カ月後・・・45.7%
退院から2カ月後・・・11.4%
退院から3カ月後以降・・・4.3%

出産のために帰省しなかったグループでは、約4人に1人が退院当日に家事をスタートしており、帰省したグループ(2.9%)のおよそ9倍にのぼりました。

両グループ間には、1カ月家事を休んだ割合にも約3倍の差が生じていました。

皆さんの声を通じて、出産のために産前産後に帰省した場合と、しなかった場合の家事スタートの体験談をご紹介します。

「里帰り出産しなかった」場合の家事のスタート期は?

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里帰り出産(産前産後に帰省)をしなかったグループの家事スタート時期について「退院後1週間未満」「1~3週間後」「1カ月後」に分類して皆さんの声をご紹介します。

【退院後1週間未満で家事をスタートした理由】

退院後1週間たたずに家事をスタートした人たちの声です。

「夫は仕事で家にほとんどいないため、親に手伝いに来てもらってはいましたが、退院当日から簡単な家事から再開しました。手伝ってくれる人がいるので、疲れたら頼んで休みのくり返しでやっていたので身体はしんどくならずにすみました。手を抜けるとこは抜いて、親に頼めるところは頼んでやるようにしました」(39歳・主婦)

「里帰りをせず、夫は退院の翌日から普通に仕事があったので、退院の翌日から炊事洗濯等の家事を始めました。無理に動いたため傷の治りが遅く、回復は遅れたような気がします。悪露も長期間続きました。子どもが泣いたら手を止めて、手を抜くとこは手を抜くのが大切です」(55歳・主婦)

「実家が海外だし、旦那も仕事で家にほとんどいなかったから1週間たたずにスタート。難産で身体の回復に数カ月もかかったから、なるべく無理をしないようにした」(32歳・主婦)

「夫があまり協力してくれなかった。実際やってみて、想像より体力的にも精神的にもかなりキツかった。夫にバレないよう、手を抜く事を考え実行した」(44歳・主婦)

夫や親のサポートが得られずに「ほかに方法がなかった」「大変だった」という声が目立ちます。

【退院後1週間~3週間後にスタートした理由】

退院後1週間~3週間(目安として産後2週間~4週間頃)に家事をスタートした女性の声です。

「帝王切開で出産したため、産後しばらく動けず退院後2週間後に家事をスタートしました。本当は嫌だったのですが、同居している義母があれこれと手をかけてくれて、慣れようと努力しました」(53歳・金融関係)

「退院から2週間後に手伝いに来ていた親が帰ったので少しずつ洗い物などからやっていった。立ち仕事は椅子に座ってやったりした」(43歳・主婦)

「里帰り出産しなかったが、母に来てもらってストック料理をつくっておいてもらった。1週間後にこまめに休んで家事をした」(43歳・その他)

短期間、母親と義理の母親のサポートを得られたケースがありました。

家事の休止期間が3週間以内のグループには、家事の担い手としての“夫”の存在感がやや薄い印象を受けました。男性の育児休業取得率は約10年前まで2%前後と低迷しており、2020年時点でもなお12.7%。必然的に「頼れるのは親」ということになったのかもしれません。

【退院後1カ月後にスタートした理由】

退院後1カ月後(目安として産後5週間後~)に家事をスタートした人のエピソードです。

「1カ月はしっかりと家事を休むように産院から言われ、また夫も身体のことを気遣ってくれた。産後の家事は、完ぺきにしすぎないこと。子どもがいると完ぺきに出来ないし、やろうとするとストレスがすごいから手を抜くことを覚えた」(43歳・その他)

「体調がすぐれず、産後に里帰りした。不馴れなことはしないようにした」(34歳・主婦)

「義母が家事をやってくれた。産後の家事は手抜き一択でした」(50歳・主婦)

退院後1カ月家事をしなかった理由としては、親や夫の手厚いサポートが得られたほか、帝王切開の傷の痛みや、産後の肥立ちが悪く「家事をできる体調ではなかった」という声が聞かれました。

◆里帰りしなかった場合の家事スタート期の傾向は?

里帰り出産をしないグループの回答を振り返ると、一定の期間、家事をせずに体の回復と新生児ケアに専念できた人は、以下の条件のいずれかに該当していました。

・夫が家事に前向きで、なおかつ夫の職場に「産後の妻のケア」への理解がある

・産後ケアに協力的で、なおかつ健康で、さらにある程度良好な関係にある義母・実母がいる

・病院や自治体の「ショートステイ(産後ケア施設)」を活用できる

これらの条件に該当しない女性は、退院から間もなく家事に追われていました。

出産後は、産前にはなかった新たな家事が加わります。新生児の産着や寝具の洗濯、哺乳瓶の殺菌や、沐浴の準備・後片付けなど、加えて、新生児のおむつ替えと授乳は昼夜問わず続きます。

細々とした家事をまかせられる人がいることが理想ではありますが、実際には、「里帰り出産をしなかったグループ」は78.7%が退院後2週間以内に家事をスタートしており、「里帰り出産をしたグループ」の3倍にのぼっています。

「里帰りした」場合の家事スタート時期は?

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続いて、里帰りした場合の家事スタート時期についてご紹介します。

約6割の女性が退院後1カ月以上、家事を休んでいます。

皆さんの声を聞くと「よく休めた」という声が多く聞かれる一方、不便な点をあげる人も見受けられました。詳しくご紹介していきます。

【退院後2週間以内に家事をスタートした理由】

退院後2週間以内(目安:産後3週間程度)で家事を始めた女性の声です。

「産後でも体調が良かったので、退院当日から普通に家事をしていた。趣味がなく家事が終わると退屈だと思ってしまうので、暇さえあれば掃除などをしていた。子どもがほったらかしにならないように気を付けた」(37歳・営業・販売)

「里帰りしていたが、親も仕事をしていたので、退院後1週間である程度の家事はしていた。分担していたのでマシだったが、季節も暑く疲れた。食事を作るのが面倒だったので、料理は母に任せた」(26歳・主婦)

産後の回復が早い場合、リフレッシュ程度に家事をしたという声がありました。また、親が仕事を持っている場合には留守中に一部の家事を担うケースもありました。

【退院後3週間~1カ月後にスタートした場合】

産後1カ月程度で家事をスタートした人のエピソードです。

「帝王切開だったので、傷口に負担がかからないようにしっかりと歩けるまでお世話になった。ゆっくりでもできることは全部自分でやる」(49歳・総務・人事・事務)

「帝王切開で動けなかった。実家から1カ月で戻り、家事育児をすることに。家から出るのも大変で、精神的に参ってました。再開後、大人の洗濯とゴミ捨ては、主人にお願いした」(41歳・主婦)

「里帰り出産だったので、ゆっくり過ごすことが出来ました。自宅に帰ってからも、夫も協力的だったのでのんびり楽しく生活出来ました。平日のお買い物が大変なときもあったので、生協やスーパーの宅配をお願いしていました」(30歳・その他)

「実家にも居づらいし、主人の面倒や家の事も気になったし、体調も悪くはなかったので、1カ月ほどで家に戻り家事を再開した。特に無理はしないように、でも、若かったので、普通に過ごした」(37歳・その他)

里帰り出産をしたグループでは、親のサポートによって産後1カ月ほど家事を休めた、という声が多くありました。一方、実家で“お世話になっている”状態について、全員が「ラク」と感じるわけではなく、「かえって気を遣う」という声も聞かれました。

【2カ月以上してからスタートした理由】

「里帰り出産だったが産後うつでずっとモヤモヤだったがやっと回復し、家事をやるようになった。病院で“きっちり”と指導されたが、母親からすべてやらなくていいと説得され、手をぬくことを教わった」(39歳・営業・販売)

「実家に帰っての出産だったので、3カ月実母がすべてしてくれていた。旦那との生活になったときに、すごくしんどかった。旦那にいろいろしてもらおうと思っていたが、全然してくれなくて、逆に大きな子どもが増えたようで、憂うつだった」(42歳・コンピュータ関連技術職)

◆「里帰りした」場合の家事スタートの傾向は?

里帰り出産したグループでは、里帰り出産については、親からの手厚いケアによりゆっくり休めたケースが多く見られます。親が仕事を持っている家庭では、日中に一部の家事を手伝いながら、料理や洗濯など“手間がかかる家事”をまかせているケースもありました。

また、産後に心身のバランスを崩し、2カ月以上家事を休止しているケース、実家に滞在して身の回りのことをまかせる期間が3カ月以上というケースもありました。

里帰り出産では、手厚いケアを受けられる反面、自宅に戻った後に急に家事を全て担うようになったので「つらかった」「夫が育児に適応するのに時間がかかった」という声も散見されました。

 

以上、今回は産後の家事スタートの時期についてお届けしました。

親や配偶者のサポートの有無や手厚さ、産後の体力消耗の度合い、母体の回復スピードも、出産ごとに異なっています。第二子以降ではその負担感はさらに多様化します。

しかし、どの家庭にも共通しているのが、産後の母体のケアについては多くの場合“家族頼み”となっている、ということ。

筆者がさまざまな人の話を聞いたうえでの主観ですが、「産後のつらかった記憶」や「体の状態を理解してもらえなかったつらさ」というのはその後の夫婦関係で長く引きずりやすい傾向があるように思います。

産後が“つらい記憶”として心に刻まれないために、出産前から、家事の振り分けについて家族間で話し合ったり、自治体の産後ケア事業、家事のアウトソーシング先をリサーチしておくとよさそうです。

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