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4人に1人の母親が実感!「小4・9歳の壁」どうやって乗り越えた?経験者の声

子どもが小さい頃には、乳児検診のときに子どもの発達の“目安”に向き合う機会が訪れますよね。寝返り、おすわり、つかまり立ちといった発達の“おそい”“はやい”は、親を一喜一憂させることもあります。

子どもがある程度成長しても、子どもの成長の“目安”と向き合う機会は折に触れてやってきます。そのうちの1つの節目は、9~10歳頃。いわゆる“9歳の壁”“小4の壁”と呼ばれる時期です。

『kufura』編集部が小学校4年生~中学校3年生の子どもがいる女性88人にアンケートをとったところ、23.9%の母親が「“9歳の壁”“小4の壁”を実感したことがある」と回答しています。

この場合の“”というのは、先に進むためのエネルギーを要する“節目”の例え。その具体的な内容について聞いてみたところ、子が9~10歳頃の家庭では3種類の悩みが生じていました。

(1)「情緒面」「人間関係」の悩み

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文部科学省のページによれば、9歳ごろは発達の個人差が顕著に表れやすく、情緒面の成長の個人差が顕在化しやすい時期。体が大きく成長するだけでなく、物事をある程度客観的に見ることができるようになり、“自己肯定感”を持てずに悩み始める時期とも言われています。

今回のアンケートでは、以下のような声がありました。

「実際にできること以上に大きくなったつもりでいたいという子どもの心が見えた。本人も葛藤が多く、反抗心が増した」(36歳・主婦/子・小5)

「急に反抗期になり悪い言葉を使い始めた。子どもと時間を過ごして、話をするうちにだんだんと落ち着いてきた」(49歳・主婦/子・中2)

「まだ壁をよじ登り中です。学校に行きたくないと言ったり、勉強したくないと言ったり。なるべくそばについてフォローしてあげたりすると、安心するようです。1人でできるようにはなってはいますが、まだまだ甘えたいのかもしれませんね」(44歳・総務・人事・事務/子・小4・中1)

「親の言うことを聞かなくなりました。何かにつけて文句ばっかり言っていて、何を言ってもダメでした。時期が過ぎたら優しい子に戻りました」(49歳・総務・人事・事務/子・中2)

「学校の友達関係に悩むようになり、学校へ行くのを嫌がるようになった。友達への接し方などアドバイスをし続け、少しずつ改善されてきているように感じた」(46歳・主婦/子・小4)

「友達関係がうまくいかなくなったりする」(42歳・主婦/子・小4)

子どもの反抗的な態度や、友人関係の悩み、学校の行き渋りなどの回答が寄せられました。

筆者は以前、小4の女の子が「クラスでモテそうな男子ランキング」の話題で盛り上がる場面を目にしたことがあります。“自意識”が生じると同時に、友人からの評価にさらされる時期なのかもしれないな……と思った瞬間です。

最近では、小中学生が自分自身を“陽キャ(明るく活発)”か“陰キャ(おとなしく内向的)”で乱暴にカテゴライズする風潮もしばしば見られるところ。

こうした空気の中で、どんどんふくらんでいく自意識と、他者からの眼差し、学校の規律を“しんどい”と感じる子もいるかもれません。

この時期には、家庭では子どもの悩みを受け止め、子どもの話に寄り添って聞いたり、スクールカウンセラーの協力などを得たりして少しずつ落ち着いていったという声が聞かれました。

(2)「学習面」の悩み

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2つめの悩みは”勉強“に関することでした。

「勉強が急に難しくなるから勉強をするのが億劫になる。自分のペースでやれるところだけやるようにして気楽に考えるようにした」(37歳・主婦/子・小4)

「学校の勉強についていけなくなった」(48歳・その他/子・中2)

小4では、学習の難易度がアップします。例えば算数を例にあげると、小3までに習得した足し算・引き算・かけ算・わり算の基礎を踏まえて思考力、判断力、表現力が求められる内容となっており、文章題や図形問題が難しくなります。

この時期の問題解消のために「ドリルをやって一緒に見直した」(44歳・主婦/子・小6・中3)、「塾に通い始めた」(37歳・総務・人事・事務/子・小5)という声がありました。

家庭や塾での学習面のサポートが、学習面のつまずきを防ぐことにつながっていました。

(3)共働き家庭の「放課後」「長期休暇」の壁

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3つめは、共働き家庭の放課後や長期休暇の子どもの“居場所”問題です。

「学童がなくなり正社員を辞めた」(49歳・営業・販売/子・小5)

「優先が低いので学童に入れない」(44歳・その他/子・小4・中2)

「放課後児童クラブ」とも呼ばれる学童の待機児童は、近年、増加の一途をたどっています。小学校高学年以上の子どもは、入所の優先順位が低くなったり、退所を迫られるケースがあります。

これについて、留守番のルールを決めたり、塾や習い事を増やすなどして対応している家庭は多いと思います。そして、ネックとなるのが夏休みなどの長期休暇です。

しばしばインターネット空間では「親のいない時間はのびのびできる。留守番くらい簡単」なんて声も聞かれますが、場合によっては朝から晩まで“自宅に1人”という期間が40日以上続くわけです。コロナ禍で友達との集いも難しくなっていますし、やはり、どうしたって長期休暇は“親の悩みの種”となります。

これについて、夏季には夫婦で時間を融通し合って早く帰宅したり、祖父母の協力を得たり、習い事の夏季プログラムに参加するなどの方法で、まさに家族で“壁をよじのぼって乗り越える”かのように乗り切っている家庭は少なくありません。地域の居場所確保や、父母の職場理解も必要となってくるでしょう。

 

以上、“9歳の壁”“小4の壁”の具体的な内容をお届けしました。

“壁”と言うと大変なことに聞こえますが、皆さんの回答を見てみると、1つの期間と次の期間をつなぐ“節目”のようなもの、と言えます。

しばしば、“節”と“節”がうまくつながらずに親も子も悩むことがありますが、いずれ自然とつながっていくもの……と考えれば、心が少しだけ軽くなるかもしれません。

 

【参考】

子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題 – 文部科学省

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