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子どもと最後に手をつないだの、いつだったかな…?ママの心に刻まれた「最後の瞬間」を聞きました【後編】

親が全力投球でお世話をする乳幼児期を経て、子どもは少しずつ親の手から離れていき、やがて自立します。慌ただしく過ぎ去っていく子育ての過程で、抱っこすることや一緒に眠ることなど子どもとの関わりは、予告なく終っていくものばかり。そんないくつも子育ての終わりを経験する時、成長を嬉しく思うとともに、何とも言えない寂しさや切なさを感じることも……。

そこで、子育ての経験がある209人の女性に、『私の子育て、あれが“最後の瞬間”だったな』と思ったエピソードを聞きました。【前編】に続く【後編】は、子どもが精神的にも成長していき、いよいよ自立するまでの出来事をお伝えします。

 

手をつなぐのが当たり前だった頃が懐かしい!

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「外出するときは常に娘の手を握っていたのですが、小学生のある日、いつものようにつなごうとしたら、“友達とかおったら嫌やし、もうええわ”と手を離された。寂しいなぁという気持ちと、大きくなったんだなぁという気持ち」(52歳/主婦)

「外を歩いているときに自然に私の手に触れたらつないでいたのに、小学3年生ごろから、かわされるようになりました。“えぇ~⁉ うそっ!”と内心思いましたが、これが成長なんだなと受け入れました。それでも時々、つながないかな~とちょっかい出してみますが、無視されてしまいます」(45歳/コンピュータ関連技術職)

「息子が小学校4年生から手をつなぐのを嫌がるようになった。寂しいけど、本人の意思を尊重しなきゃと思いました」(52歳/主婦)

以前、kufuraでコミュニケーションコーチの山﨑洋実さんのママ向け講座を取材した際に、「手をつなぐのは今日で最後だとわかっていたら、たとえ雨が降っていても遠回りして帰りませんか?」というお話を聞き、胸にぐっときた覚えが……。

他にも、

「いつものように何気なく子供の頭をなでたら、”やめてよ”と振り払われた。小学校の高学年だったが、それ以来、あまりベタベタしすぎないようにしている。さみしいなと思うのが半分、大きくなったなという感慨が半分」(49歳/主婦)

というエピソードもあり、当たり前だったスキンシップが無くなるとき、子育ての“最後の瞬間”を意識するママが多く、「欧米の生活スタイルが羨ましかった。自立しつつハグするような、欧米のスタイルをうらやましく思った」(53歳/主婦)という意見もありました。

子どもの世界が広がって、家族の恒例行事にも終わりが…

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「夫の実家に帰省する時に、バイトや友達との約束で一緒に行くことがだんだん減っていき、やはり自分の世界を持ち始めたと思った」(59歳/その他)

「いつも親子で行っていた映画館に友達で行くと言い出した時、寂しいなぁと思いました」(47歳/デザイン関係)

「高校生になった息子が“家族旅行に行きたくない、友達と遊びたい”と言った時、家族旅行を楽しみにしてくれていたころが懐かしいと思った」(42歳/主婦)

「娘が中学2年のときに友達と動植物園へ行ってきて“こんなに楽しかったの初めて!”と語り始めた時、家族で何回も行ってる場所だけど、もう一緒に行くことはないのかなと寂しく思った」(47歳/主婦)

「ゴールデンウィークに毎年家族旅行をしていたけど、彼氏と遊びに行く方を優先された時にいずれはくる親離れの時期かなと思いました」(49歳/主婦)

「クリスマスを家族でしなくなった時に、大きなツリーもおしまいか、寂しいやら楽になるやら複雑でした」(55歳/主婦)

家族の絆が深まる季節のイベントや旅行も、子ども同士で出かけられるようになったり、子どもの人間関係が広がると、終わりがやってくるようです。

「上の子が小学5年生の時が最後のキャンプだった。その後は誘っても断られるし、ちょうどテントも寿命でやり切った感があった。寂しさと、子育ての一区切りの安堵感がありました」(47歳/主婦)

という満足感たっぷりのエピソードもあり、コロナ禍で遠出がままならない時期ではありますが、家族そろってできることを、できるうちにやっておきたいですね。

“いつでもママと一緒”を卒業。ママの方が子離れできない⁉

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「いつも私のあとをついてきていたのに“買い物行くよ”と言ったら、”行ってらっしゃい”と返された時、とても寂しくてついてこさせようと“お菓子買うよ?アイス買おっか?”と言っている自分がいた」(56歳/主婦)

「子どもの習い事に、”ついてこなくていい、ひとりで行ける”と言われた時、成長したな、頼もしい、楽になれる、少し寂しいという様々な気持ちがこみ上げました」(44歳/総務・人事・事務)

「娘は子どもの頃からいつも私が隣にいないと泣いて、外出して留守にすると不安で必ず何回も電話をかけてきたのに、気が付くといつの間にか私の方が娘を探すようになっていた。子どもが私を探していた時は忙しさで気がつかなかったが、必要としてくれた時にもっと応えてあげなければいけなかったと思った」(57歳/主婦)

「男の子が3人いるのですが、みんな小さい頃は私が外出するだけで泣いたりしていたのに、末っ子が4歳頃に“ばいばーい”と明るく言われました。楽になったような寂しいような気がしたその時、長男を産んで10年目だったこともあって、小さい子がいる生活の方が当たり前になっていたんだなぁとしみじみ思いました。今では楽になって良かったなぁとしか思っていませんが(笑)」(36歳/総務・人事・事務)

子どもがママと一緒じゃなくても大丈夫になった時、後ろ髪を引かれる気持ちになった人もいれば、明るい思い出に上書きしている人も。どちらにしても、その瞬間に寂しさを抱えるのは、ママにとって共通項なのですね。

思春期に突入すると、親離れが加速して…… 

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「私が”こうしたら?”とアドバイス的なことを言ったら、“もう自分で考えるから”と言われた時、安心したようなさみしいような気持ちに」(48歳/主婦)

「修学旅行に”じゃあね!”とあっさり行かれた時……。寂しさと、嬉しさと、入り交じった感じ」(52歳/主婦)

「小学校の授業参観の時は、私の顔を見れば手を振ったり、微笑んでくれていたのですが、中学生の時は無視されました。少し寂しいと思った私は、まだ子離れできていませんね」(53歳/主婦)

「軽くげんこつしようとしたら歯向かって攻撃してきた時、もう子育ては終わりだと思った。もう対等なんだと思って寂しかった」(55歳/主婦)

「息子に“何時に帰るの?”と聞いたら、“大学生なんだけど!”怒られた時、“あ~ぁ、もう聞いちゃいけなかった”と気がつきました」(44歳/主婦)

筆者の長男は小学5年生なので思春期の兆しが見え始めていて、私に反発して手を焼くこともしばしばです。先輩ママたちの、親の出番が激減する子育ての中で迎えた最後のシーンに”どきっ”として、とても参考になりました。

いよいよ子育てのゴール! 巣立つ我が子の言葉に感じたことは?

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「進学のため上京する息子を空港で送り出した時、子育てが終わったと思ったと同時に一抹の寂しさを覚えた」(53歳/主婦)

「大学の卒業式。自分自身も卒業した気持ちになった。胸にストンと何かが落ちてきた」(49歳/総務・人事・事務)

「成人式の日に感謝の言葉をくれた時、子育てが終わったと感じた」(50歳/主婦)

「就職した子どもに“今までありがとう”と言われた時、嬉しかったけど、悲しかった」(58歳/主婦)

「社会人になって家を出ることになり、駅で見送った時は涙をこらえて握手をした。寂しい!」(58歳/主婦)

もう自然につながなくなった子どもの手を、巣立ちの時にまた握ったエピソードが感慨深い! 色々な子育ての最後について紹介してきましたが、成人や大学卒業、就職といった節目には子育てそのものの最後を感じるようです。その時に、子どもが感謝の言葉を贈ってくれたなら……一生の思い出として胸に刻まれることと思います。

いかがでしたか? 読者の皆さんにとって、まだ“最後の瞬間”が来ていない子育てのエピソードが多々あったと思います。慌ただしくて思い通りにならなくて育児に疲れることがあった時、”これが最後かも?”と思えたら、しんどい気持ちが軽くなって、子どもにもっと優しくなれるかもしれません。いつか終りが来る子育てだから、やりきった満足感を積み重ねながら、その時が迎えられたらいいですね。

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