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農家仲間から直送のアスパラは「新鮮だから」こんなレシピで!【お米農家のヨメごはん#51】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・12歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を、皆さんにお伝えする連載の51回目。
今回は、色とりどりのアスパラをシンプルに楽しむお料理と、人手も農機具も施設も必要!大がかりな育苗作業についてお伝えしたいと思います。

この時期のアスパラガスの味わいは、別格!

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アスパラガスの季節は長い。

九州から始まって北海道まで収穫時期がかなり異なるし、 ビニールハウス栽培もあれば路地物もある。 春芽を食べる事が多いけれど、その後に夏芽もあるから9月まで楽しめる。

日本全国でアスパラガスを育てる農家仲間がたくさんいるので、 寒い季節以外、いろんな産地・いろんな味わいのアスパラガスをいただいている。

それでもやっぱり、春から初夏にかけて、この時期のアスパラガスの味わいは格別だ。

最近はこんな、紫色のアスパラガスも見かけるようになった。 緑に比べると、甘みが強く(糖度が1~2度高いそう)とってもジューシー。 ポリフェノールの一種アントシアニンがたっぷり含まれている。 そしてこの美しさ!

残念ながら加熱すると緑になってしまうので、 色合いも楽しむのであれば生がお勧め!

新鮮なアスパラガスは、実は生でポリポリ食べると美味しい。 ほんのり甘みを感じられてアスパラガスそのものの香りも楽しめる。 だからドレッシングは極々シンプルに。

塩と胡椒をパラパラふって、オリーブオイルを回しかけるだけで十分。

クリームソース仕立てのスパゲッティにも、トッピング代わりに載せるだけ。

新鮮なアスパラガスだからこそ楽しめる一品。

生で食べても美味しいアスパラガスを、焼いてギュッと旨味を閉じ込めるのもお勧め。

丸々1本そのままという姿もいい。

生産農家さんから直接お取り寄せすると、こういう風にシンプルに素材を堪能できるから好きだ。

新鮮でジューシーで甘くて。 エグミも筋張った食感もないアスパラガスは、娘もすごい勢いで食べる。 素材が本当に美味しいから、レシピなんて全く必要ない。 ただ切るだけ、焼くだけ、味付けのほとんどは塩と胡椒とオリーブオイルに頼ればOK。

ただし一度こういう美味しいものを食べてしまうと、その後はもう元に戻れなくなってしまうのが悩み……(笑)。

焼いたアスパラガスに、オリーブオイルでサッと炒めたベーコンを添えたら、いつものアスパラベーコンもちょっとよそ行きになった。

最後に。

出回る時期があっという間に終わってしまうホワイトアスパラガスは、緑のと一緒に、新玉ねぎや春キャベツと一緒にポトフにした。 味付けは塩胡椒とローリエのみ。これまた極々シンプルに。

春のお野菜の旨味が溶け出すスープを堪能できる。 まだまだ肌寒い春の日の夜は、こんな温かいポトフでホッとお腹も心も満たして。

田植え前、忙しさのピークです!

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さて農作業の方は、田植え前の忙しさがピークに達していて、 旦那さんは毎朝4時に起きて作業している。

なかなか一般の方には、田植え前のこの忙しさが想像できないかもしれない。 田植えに向けて苗を育てる作業=育苗は、たくさんの工程があり、田植えが終わるまで2ヵ月近く毎日続く。 精神的にも体力的にも大変だ。

中でも播種(はしゅ=種まき)は、たくさんの人手と広い場所、特別な農機具に大量の資材が必要な、 大がかりな作業だ。

1年に1回、2日にわけて播種をする。

長方形の苗箱と呼ばれる箱を播種機という農機具にセット。 あとはベルトコンベアにのって流れていくだけで、土→種籾→水→土と自動でまいてくれる。 それでも苗箱を入れたり出したり、種籾や土を補充したり、播種が終わった苗箱をフォークリフトで移動させたりと、4~5人の人手が必要だ。

さらに播種した苗箱をビニールハウスに並べる作業もある。 微妙に重い(約7kgほど)苗箱を、腰をかがめながら1枚1枚並べていく。 その数3000枚ほど!

腰にも腕にもくる重労働だ。

娘もお休みの日はお手伝い。

しっかりとお小遣いの交渉をされたけれど、なかなかの働き具合で助かっている。 昔からお手伝いについては、農作業はもちろん家でも、強要どころかお願いする事もほとんどなかった。

それは、お手伝いされると説明が面倒だし余計に時間がかかるからという、いたって私の勝手な理由からだ。 特に農作業は、遊びではなく本気の仕事であり、タイミングが大事な場面が多かったり、時に危険な作業もあるから、たとえ我が子でも遊び感覚の体験ではなく、本気で仕事をしてもらわないと困るからだ。

小学校6年生くらいになって少しづつ、私たちの仕事を肌感覚でわかるようになり、この時期の忙しさや人手が必要な事、そして何よりちゃんと労働をした際の対価がある事も理解できるようになってきた。

今では娘だからと甘える事もなく、しっかりと自分の与えられた仕事をこなしている。 こうして並べた苗箱に遮光用のシートを被せる作業も、周りの状況を判断しながらできるようになってきた。

白いモヤシのようだった苗も、シートの中で緑色になり、シートを取り払うと、目にも眩しい青々とした苗に成長してきている。

田植えに向けて、水やりと温度管理で気の置けない日々がまだまだ続きます!


濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係らず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。

濱田ファームのHPはこちらから。

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