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いつもと違う窓の外にワクワク…!「雪の絵本」とっておき2冊【絵本ナビ編集長select 1月】

朝、目が覚めると、カーテンの向こうから微かにいつもより明るい光が差し込んでいる。開けてみれば、窓の外は一面真っ白。

「雪がふってる!」

いつもと違う一日の始まりを感じて、ちょっとワクワクします。でも……大人になった私たちは、次の瞬間から思うのです。

「通園できるかな。どうしよう」「寒いから沢山着こまなきゃ!」「早くやんでくれればいいけれど」「積もりませんように」

心配ごとで頭がいっぱいです。ところが、ふと横を見れば、驚くほど目を輝かせているのは子どもたち。

「やったー、雪だ! もっと積もらないかなあ」

そうでした。子どもたちにとっては、雪に触れること自体が珍しいのです。積もった雪で遊べるチャンスがくるかもしれないのです。そうとなったら、雪の日は積極的な気持ちになって外に遊びに行かなきゃもったいない。まずは、気持ちを絵本で作ってみることにしましょうか。

この連載では、『絵本ナビ』編集長の磯崎園子が、月に2テーマずつ、おすすめの絵本を絵本ナビユーザーのレビューと共にご紹介していきます。今回のテーマは、「雪の絵本」です。

早く降らないかな…!『ゆき ふふふ』

『ゆき ふふふ』(くもん出版)作/ひがしなおこ 絵/きうちたつろう

いつもよりずっと冷える空。
ほら、降ってきた。

「ゆき ふわ ふわ ふわり」

どんどん降って、どんどん積もって、公園は一面真っ白の雪景色。
子どもたちも犬たちも大喜び。
雪を手の中に丸めたら、まっしろしろのまっしろちゃん!
可愛い雪玉がたくさん出来ていくよ、ふ ふ ふ。

たくさん積み上げて作った雪だるまも、にっこにこの太陽さんの光を浴びたら溶けていきます。

「じゅわじゅわ じゅわん」

歌人・東直子さんと画家・木内達郎さんが言葉と絵で季節の風景を印象的に描き出していく「きせつのおでかけえほん」シリーズ。お二人の感覚を通して、私たちはその季節の空気感を絵本の中で体感できるのです。

雪が降る日は特別な日。いつもと違う、真っ白で美しい世界。
触れば冷たくて、ふわふわで、しゅわんって溶けて。降りやんだ後の空気は澄み渡っていて…。
透き通るような色彩と、愛らしくて軽やかな言葉の表現で、直接手や体で触れる子どもたちの様々な感覚が伝わってきます。

「実際に触れたらどんな感じなんだろう? 早く雪が降らないかな」

素直にそう思わせてくれる一冊です。
さあ、雪がたくさん降った日は、外で存分に遊ばなきゃね!

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
※『絵本ナビ』より引用

【読者の声(『絵本ナビ』より)】

寒い冬にぴったりな絵本

ほっぺにゆきがついて溶けていく様子の音を「しゅわん」という音が好きです。
途中に何度か登場する「ふふふ」という言葉も
雪のやわらかさや雪の白さ、軽さも表現されているかに感じられます。

こんなにたくさんの雪で遊べたら楽しいだろうなと思いながら読み進めました。

雪だるまではなく「真っ白ちゃん」が一つ一つお顔がついていて可愛らしいです。
おひさまの光にあたると眠そうに溶けていくという感じが、まるで生きているみたいで面白い描写だと思いました。

小さな子でも楽しめます。寒い冬に是非読むことをおすすめしたい一冊です。
(Pocketさん 40代・ママ 女の子14歳 男の子10歳)

 

いつでも雪を感じることが出来そう

「あれ?降ってきた?」「降ってきたね」

雪が降り始めたときのあの感じを、思い出しました。

いつもの場所が、いつもとは違う場所に変わってゆくあの感じは
大人になった今でも ハッとしてしまいます。

子どもの頃は「ワクワク」!
大人になってからは「ドキドキ」。

普段はなかなか雪が降らない地域で暮らしていますが、
この絵本があれば いつでも雪を感じることが出来そうです。
(なーお00さん  20代  東京都 )

雪の日って、子どもたちの全身の感覚を存分に刺激してくれる貴重な機会なのかもしれませんね。こんな風に新鮮な言葉の響きで表現されると、大人の私だって、改めて雪に触れてみたくなってきます。今度の雪の日は、ちょっと立ち止まって観察してみようかな。

 

【こちらも合わせておすすめ!】

よろこびいっぱい!『ゆきみちさんぽ』

『ゆきみちさんぽ』(講談社)作/えがしらみちこ

準備はばっちり、雪の日のおさんぽ。どんな景色に出会えるのかな?

ちいさな女の子が家のなかから外を見て、窓辺でびっくりした顔をしています。
窓からつららが下がり、枠のふちには雪。
そう、外は雪!

「おきにいりの まふらー まいて
ぼうしに てぶくろ
ぶーつを はいて」

「じゅんびできたよ
いってきまーす」

きらきらまぶしい、銀世界。
赤いコートを着て、黄色いぼうしとマフラーを身につけた女の子は、さんぽにでかけます。
さく、さく、さく。
一面、雪の道。
ぱさっ、ぱさっと音がします。
ぴとっ、ぴとっと音がします。
雪がつもった、色あざやかなつばき。
軒にひかる、つらら。

樹々や草が雪をかぶった道を、さく、さくと歩いた先には、たのしい遊びが待っていました!
遊んでいるうちに、また空から雪がふってきて……。

雪がふりつもった、ある一日。
さんぽにでかけた子どもの、弾むような心が、画面からつたわってきます。

はっと目をひく、水彩画のやさしいあざやかさに、心を洗われます。
読み聞かせをする大人も、子どもの気持ちにもどっていくような感覚を味わえます。

まっしろい世界に足をふみだす、よろこびいっぱいの、ゆきみちさんぽ。
宝物のような、うれしい時間の絵本です。

(大和田佳世 絵本ナビライター)
※『絵本ナビ』より引用

 

今回おすすめしたこの2冊。気になった本がありましたら、ぜひ読んでみてくださいね。

 

【参考】

『ゆき ふふふ』 – 絵本ナビ

『ゆきみちさんぽ』 – 絵本ナビ

テーマ「雪の絵本」 – 絵本ナビ

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