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忙しい日こそ「魚」に頼る。我が家のお昼ごはんは、こんな風に!【お米農家のヨメごはん#36】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・12歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を、皆さんにお伝えする連載の36回目。

今回は、いよいよ稲刈りが始まり忙しくなってきて、それでも、いや、だからこそ、しっかり家で食べられるご飯を用意しなくてはいけない時の頼みの綱、冷凍食品(?)を使ったお昼ごはんの様子と、新しいコンバインでの稲刈り作業についてお伝えしたいと思います。

稲刈り時期の9月は、仕事も育児も家事も、フル回転

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9月は忙しい。
まず稲刈り(と、乾燥調製という刈り取った籾<もみ>を乾燥させて、籾殻を取り除き玄米にする作業)の時期なこと。

そして、お米を直売している我が家にとっては、販売に関わる全ての事、営業・広報・情報発信・問い合わせ対応・ご注文対応・梱包・資材調達・代金回収・経理などなど……、書き連ねるともっとでてきそうな諸々の仕事もあり、それを一手に引き受けている私にとっては、もう稲刈りどころではないくらい、忙しい。

今年も有難いことに、毎日のようにたくさんの新米ご予約をいただいている。

10月から新米をお届けできるように準備を進めているけれど、対応が追いついていない。

家でしっかり食べられるものが、絶対に必要!だからこそ、魚!

旦那さんは、稲刈りが忙しいと朝から晩まで家にいないから、 いつもは旦那さん担当の朝ごはん作りや食事の後片付け、洗濯物、そして娘のお稽古ごとの送り迎えまで、 私に大きく負担がのしかかってきている。

旦那さんと同じく私も今がすごく忙しいのだけれど、私には他に頼る誰かがいない。 仕事はもちろん、家事も育児もフル回転で回さなくてはいけないのだ。

普段は手を抜く事も多々ある家事。その中でも食事の用意は、 忙しい時期だから外食に出かける暇もなく、しっかりと家で食べられるものが絶対に必要……。

ご飯とお味噌汁を軸に、その時にあるお野菜で作る副菜や前の晩の残り物、 そして梅干しや納豆を並べる。 そしてメインは、潔く冷凍食品に頼る!

罪悪感を持ちがちな冷凍食品だけれど、干物やお魚の味噌漬けなんかはどうだろう?

単に保管の為に冷凍してあるだけだし、冷凍庫から取り出してそのままサッと火を通すだけで、基本的には味付けの必要もない。魚だから栄養の面でもいいような気がする。なによりこれだけで立派にメインのおかずになるところがすごい。
こんなにお手軽なのに、もう、堂々と食卓の真ん中にドーンと置いてしまう。

ちなみにこれは干物ではなくて、カナダの友人より送られてきたスモークサーモン。冷凍庫でずっと眠っていたので、ネギと一緒にサッと火を通した。

そのままでも十分に美味しいけれど、仕上げにお醤油をジュッと回しかけたら、スモークサーモンがあっという間に、日本仕様の鮭に早変わり。

こちらは、富山県民がこよなく愛するニギスの干物。酒の肴としても親しまれている庶民的なお魚だ。

味わい深いのに、子どものお小遣い程度で数本変えてしまうくらいのお値段。頭から尻尾まで骨ごとムシャムシャっと食べられる。

程よい塩加減が、ご飯にもぴったり。

富山湾の近くの我が家だから、漁協直営の市場で魚の買い出し

私が暮らす富山県黒部市は、県外の方には山のイメージがすごく強くて、それはひとえに黒部ダムのせいだと思うけれど、実は海にも面している。

我が家のすぐ裏は富山湾だ。漁港もすぐそこにあるので、漁協直営の市場によく買い出しに出かける。

高級なお魚から、とってもお手頃なお魚まで並ぶ様子は壮観。 見ているだけでも楽しいし、調理法のオススメをあれこれ聞くのもワクワクする。

お魚一匹丸のまま売られているけれど、ちゃんとさばいてもくれるので安心(特売のお魚を除く)。

時間に余裕がある時は、ちょっと挑戦して自分で挑戦しても面白い。 魚ってこんなにヌルヌルするんだ、ウロコってこんなに硬いんだ、 大きく見える魚もさばくとこんなに小さくなっちゃうんだ、等々。

さばいてみて初めて分かる事もたくさん。 子どもがいたら尚更、キャーキャー言いながら格闘できちゃう。 こういうのが食育なんだと思う。

……思うんだけれど、今はとにかく時間がないので、迷わず干物コーナーへ。

いたいた、ニギスもいっぱい並んでいる。自分で必要な分を好きなだけ買える。冷凍庫に保管しておけばいつでも好きな時に食べられるので、本当に便利。

イカの丸ごと一夜干しは、サッと炙るように火を通しただけ。 すぐに食卓に並べて食べられる。

こんなに便利で手軽で、それでいて美味しい冷凍食品。 これがあれば、忙しい稲刈りシーズンも乗り越えられそうだ。

ただ今、稲刈りの真っ最中

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田んぼは稲刈りの真っ最中。

7月の長雨と日照不足、そして8月の猛暑を乗り越えて、今年も収穫の秋を迎える事ができた。 毎年のように異常気象という言葉を耳にするから、もうどういう状態が異常なのか、感覚がマヒしかけてしまうくらい今年もまた、過酷な年だった。

それでもこうして、稲は育つ。 今年は育ちすぎてしまい、茎が徒長気味で倒れてしまったけれど、これくらいは全く問題ない。

それもこれも、新しいコンバインのおかげだ。

少しくらい稲が倒れていても、そして田んぼがぬかるんでいても、 バリバリとものすごいスピードで刈り取っていく。

コンバインという名前が定着しているけれど、 正式にはコンバイン・ハーベースターという複合収穫機だ。
ただ刈り取るだけではなく、 刈り取った稲穂から籾(もみ)を脱穀し、 さらには藁(わら)と選別までしてしまう。 藁は細かく裁断して田んぼに排出、 籾はコンバイン内部のタンクに貯める。

昔はこの工程1つ1つが手作業だったわけで、 気が遠くなるくらいの手間だったはず。

今は本当に便利になって、コンバイン無しでの稲刈りはとても考えられない。 一般の方が想像するような、牧歌的な収穫作業とは全くかけ離れた世界でもある。 コンバインの轟音が鳴り響く中、黙々と、本当に黙々と、刈り取り作業が続く。

コンバイン内部に貯まった籾は、ある程度の量になったらこんな風に、軽トラに載せたコンテナに排出。

そのまま作業所の乾燥機にさらに排出されて、一晩かけてゆっくりと、貯蔵に適した水分量に乾かしていく。 その先の工程はまた次の機会にお伝えしたいと思う。

ちなみに。
よく稲刈りのお手伝いをしたいとお声がけいただくのだが、お手伝いとなるとひたすらこの、軽トラを運転して刈り取った籾を乾燥機に張り込む作業になる。

田んぼに戻ってくると、籾を排出するためにスタンバイしているコンバインが待ち構えているので、 休む間もなくすぐさま作業所へ、という流れ。 手に鎌を持って手刈りという作業は、ほぼない。

そんなわけで、専業米農家の本気の稲刈りを垣間見たいという方だけに、お勧めしています(笑)!

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