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子どもの頃に親から言われた「忘れられない言葉」。母親になった今、どう考える?

子どもを取り巻く大人たちの言動は、子どもの心の中に“安全基地”を作ることもあるし、 “深くて暗い穴”を開けることもあります。特に、最も身近な存在である親は、子どもに大きな影響を与えることができる存在。

親にとっては別の意図があって発せられた言葉であっても、ひょっとしたら子どもの心の底には、“澱”(おり)のように積もっているケースがあるかもしれません。

特に、近年の親子関係はより濃密になっているからこそ、親の言葉は濃く、強く、子どもの心に残り続けることも……。

今回は、子どもがいる20~50代の既婚女性186人にアンケートを実施。「子どもの頃に親に言われた今でも忘れられない一言」や、その言葉に対する思いを聞いてみました。

ポジティブな言葉からネガティブな言葉までたっぷりご紹介します。

親からの「格言」が今も役立っています

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まず、大人になっても役立っている親からの言葉です。

「『人にしてもらったことは覚えておきなさい。してあげたことは忘れなさい』。自分も同じことを言っている」(53歳・主婦)

「『常識は人によって違う』。本当にそうだと思う」(28歳・営業・販売)

「『聞くはいっときの恥、聞かぬは一生の恥』。私はその言葉に勇気と段取りの大切さと図々しさを獲得した。子どもに同じことを伝えている」(44歳・その他)

「『中途半端はよくない、やるなら最後まで諦めないこと』。一生懸命に何かをすることは素晴らしいと思うし、勉強になるし、成長できるので自分の子どもにもしっかりできるように見守ってあげたい。できたらきちんとほめてあげたい」(34歳・その他)

「『たとえ0点でも、次、頑張ればいい!』。自分の子どもたちも、同じ教え方をしました。そのせいかわからないけど、塾にもいかず大学に行き、今では、立派な社会人!  自慢の子どもです。今は亡き両親に感謝しています」(57歳・その他)

「『たとえ経済的に貧乏になっても、心だけは貧しくなってはいけない』。自分の子どもにも伝えてる」(47歳・主婦)

「『人生の選択肢は簡単でないほうを選んだ方が良い』。その通りだと思う」(42歳・主婦)

親の生き方の“芯”を明解に言語化した言葉は長く心に残り、その次の世代にも受け継がれているようです。

今でも心に残る「呪縛のような言葉」

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一転、大人になっても心の中でくすぶり続けている“負の言葉”です。

「『デブ』。容姿のことに対しては一生つきまとう。忘れたことが一瞬でもない。そういう思いをさせないようにしたいし言わないようにしたい」(25歳・主婦)

「『助けをもとめている子だけ助ける。助けを求めてないあなたは助けない』。もっと気にかけてほしかった」(39歳・総務・人事・事務)

「『この結婚は失敗だったと気づいたときにはあんたがいたんだよねー』。人のせいにするなと思っている」(53歳・主婦)

「『性格が曲がっているから背中も曲がっている』。最低だと思う」(38歳・営業・販売)

親自身は言ったことを忘れてしまっているような言葉であっても、何十年も胸に残り続けるケースもあるようです。

親にも事情はあるのかもしれないけど…「ナイフのように鋭利な言葉」

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ちょっとつらい言葉が続きますが、子どもの頃、親から言われて傷ついた言葉です。

「『人並みになることはあなたの永遠の課題だよね』。自分の能力や可能性を否定されたかのように受け取ってショックを受けたので、子どもに言わないようにしたい」(25歳・主婦)

「『こんな子産まなきゃ良かった』『子育てに失敗した』。言いたくなる気持ちは理解できる。でも、言ってはならない言葉だと思う」(43歳・その他)

「『あんたにいくら使ったと思ってるのよ』。言いたい気持ちもわかる気がする」(45歳・主婦)

「『死んでもいいから学校に行け』。最低。子どもには絶対言わない」(30歳・主婦)

「子どもを支配してでも言うことを聞かせたい」「子どもに自分の辛い気持ちを理解して欲しい」といった思いから発せられた言葉は、負のパワーを発し続けることもあるようです。

自分を丸ごと「肯定」してくれる温かい言葉

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言われたほうの気持ちを踏みにじるような言葉が数多く寄せられた反面、子どもの存在を丸ごと肯定するような温かい言葉も。

「『生きててくれてありがとう』。愛されてるという自己肯定感が高まったので感謝している。私も子どもに伝えたい」(40歳・主婦)

「『あなたなら絶対にできる』。自分も子どもにほめて自信をつけさせたい」(42歳・主婦)

「『あなたが娘でよかった』。その言葉に応えられるように親孝行をしたい」(33歳・主婦)

「『健康で生きていてくれればいいよ』。(子どもに対して)健やかで生きててくれればいいと同じように思う」(28歳・弁護士)

「いじめられていたとき『いじめる方が悪いから、堂々としていなさい』と言われた。その通りだと思うし、いじめられていたことを卑屈に思わずにこられたので、感謝している」(47歳・総務・人事・事務)

こうした言葉が現在の自己肯定感の土台となっているとの声もありました。

忘れられないちょっとツラい「子ども時代のワンシーン」

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最後は、ほろ苦い思い出とセットになった親からの言葉です。

「幼稚園ぐらいのときに、母の日に近所の商店で洗剤を買って母の日のプレゼントにと渡したら、値段を聞かれた。正直に答えると『高いから返してきなさい』と言われた。子どもが一生懸命考えて親を喜ばせるためにやったことは、全力で喜んでほめてあげたいと思った」(37歳・主婦)

「『あなたが発表会でピアノをちゃんと弾けなかったことで私(母)がおじいちゃまに言われるのよ』。ピアノの習い事は私のためにとかではなく母が自分自身のために無理矢理習わせていたものなんだなと感じた」(37歳・主婦)

「『手伝いはしなくていいから学校に行ってほしい』。学校に行きたくない理由をもっと聞いてほしかった」(39歳・総務・人事・事務)

隠しているつもりの親の本心が、さりげない言葉を通じてチラっと見え隠れする瞬間を子どもは見逃しません。言葉そのものよりも、親の気持ちが伝わってきたことがショックだったのではないでしょうか。

以上、既婚女性が子どもの頃に親から言われた胸に残っている言葉をご紹介しました。

言葉は、隠している本音を映し出す鏡。

たった一言でも、その言葉の裏には親の強い不満や不遇が隠されていたり、親自身の人生観が凝縮されているケースもあるのではないでしょうか。

なにげなく発した親の言葉の真意を子どもが自分なりに読み解き、その後、長きにわたってよくも悪くも影響を与え続けると思うと、親ってなんて業が深い役割なのだろう……と思った次第です。

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