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乳がんチェック自己触診の仕方教えます。部位・方法・頻度は?

女性のがん罹患率1位の乳がん。しかし初期に発見できれば、治せる可能性があるという。(前の記事「乳がん検診。年代で効果的な検診方法が異なる理由」)。検診を受けるのはもちろんだが、正しい方法で自己触診することも大切だ。ではその自己触診、どのように行えばよいのだろうか。

乳がんができやすいのは、乳房の上半分

順天堂大学で行われた「『乳がん検診』~自分にあった検診方法を見つけよう~」講座で、同大学医学部外科学教室、乳腺・内分泌外科学研究室助手の猪狩史江氏先生は、自己触診の仕方をこう説明する(以下は猪狩先生の説明)。

「乳腺は、ミルクを作り、それを乳管という管を通して分泌する臓器です。その領域はA、B、C、D、E、C´の6つに分かれています。乳がんが好発するのはC領域で、約半数がこの領域に見つかります(下図参照)。

視触診のポイントは、まず乳腺全体を触り、しこりがあるかどうか調べます。指の腹で上から押さえるように触るとよいでしょう。

しこりを見つけたら、大きさや硬さはどうか、よく動くしこりかどうか、痛みが伴うかなどを確認します。

乳房をくまなく触って調べよう

次に、皮膚の所見がないかを見ます。

『えくぼ徴候』というサインがあります。しこりの上の皮膚を寄せてみると、その部分の皮膚がくぼんで、えくぼのようになる所見です。

とても稀ですが、炎症性乳がんという乳房表面の皮膚が赤くなるタイプの乳がんがあります。見た目は細菌感染による乳腺炎と似ているのですが、乳腺炎のほとんどは授乳期のものなので、ご高齢の方で乳房が赤いという方は外来受診を検討してください。

乳頭や乳輪部に変化がないかも調べましょう。

乳がんの場合には、脇のリンパ節に病気が転移することがあるので、脇の触診も行いましょう。

片方だけではなく反対側の胸も触診し、左右差がないかどうか確認してください。

また、乳頭を押し、分泌液がないかを確認します。良性、生理的な分泌液は白色、透明です。血性や赤茶色の分泌液は良悪性のどちらの可能性もあります」(猪狩先生)

毎月1回は自己触診を

「乳腺の張りが落ち着いた時期に、月に1回程度でよいので、自己触診を行ってください。座った状態、仰向けに寝た状態など、体位を変えて乳房をくまなくチェックしましょう。

検診に行くことも大事ですが、ご自身でのチェックも重要です」(猪狩先生)

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猪狩史江いがり・ふみえ
順天堂大学医学部外科学教室 乳腺・内分泌外科学研究室助手

◆取材講座:「『乳がん検診』~自分にあった検診方法を見つけよう~」(順天堂大学医学部附属順天堂医院)

取材・文/和久井香菜子 写真/まなナビ編集室・fotolia/koti

(初出 まななび 2018/02/08)

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