インフルエンザの検査の種類、所要時間は?
nullまず、知っておきたいのはインフルエンザの検査の種類について。
「インフルエンザの疑いがある場合に、患者さんが病院で受けるのは“迅速診断キット”による検査です。10分~15分程度で検査結果がわかるので、陽性だと分かれば、その日のうちに治療を行うことができます」(以下「」内、児玉医師)
迅速診断キットによる検査は、鼻やのどの奥を細い綿棒状のものでぬぐって粘液をとり、ウイルスの有無をチェックします。
また、その他にも、「血清抗体検査」(血液を採取し、ウイルスに対する抗体ができているかどうかを調べる)、「ウイルス分離検査」(鼻やのどの奥の粘液からウイルスだけを分離して、種類などを詳しく調べる)、(鼻やのどの奥の粘液からインフルエンザウイルスの遺伝子を検出する)もあるそうですが、これらは通常のインフルエンザでは、ほぼ行われることはないそうです。
「検査結果が出るまで日数を要しますし、病院やクリニックではほぼ行われていません。患者さんの治療のためというより、新型インフルエンザなどが発生した際に、国の研究機関などが疫学調査として行うものです」(以下「」内、児玉医師)
インフルエンザ検査を受けるタイミングは?
null発熱など「もしかしてインフルエンザかも?」という自覚症状があっても、つい面倒だからと病院に行くのを先延ばしにしてしまう人も多いかと思われます。
他方で、すぐに病院で検査を受けたものの結果は陰性で、その後、熱が下がらずもう1度病院に行ってみたら陽性反応が出た……という話も聞いたことがあるのですが、検査を受けるのに適切なタイミングはあるのでしょうか?
「迅速診断キットによる検査を受けるのに適切なタイミングは、症状が出てから12時間~48時間以内です。
まず、症状が出てから12時間以内では、体内でウイルスがまだあまり増殖していないため、十分な量が検知できず偽陰性(ウイルスがいるのに陰性反応を示す)となる可能性があります。
他方、症状が出てから4日目以降では、今度はインフルエンザのピークが過ぎたことによって、検出率が下がってしまうのです。つまり、症状が出てから早すぎても遅すぎても適切に診断ができません。
また、迅速診断キットで陽性が出たとしても、発症から48時間以上経過していると、抗インフルエンザウイルス薬の効果があまり見込めないと考えられています。抗インフルエンザウイルス薬は、発症初期のウイルスが強く増殖している時期に効果を発揮するものなのです。
適切なタイミングで検査を受け、回復までの期間を短くするためには、発熱してから12時間以上熱が下がらないようでしたら、病院で検査を受けることを検討してみてもいいでしょう」
インフルエンザにかかったらなるべく早く治療を受けたいところですが、検査を受けるのが早すぎても適切に診断できないこともあるのですね。
どのタイミングで病院に行くのか見極めは難しいところですが、発熱後、しばらく様子を見て、回復の兆しが見られなければ「寝ていれば治るかも」と我慢するよりも、病院を受診しましょう。
【取材協力】
児玉華子・・・北里大学医学部卒業、北里大学病院での研修後、膠原病・感染内科学教室に入局。東京逓信病院、北里研究所病院および北里大学病院勤務を経て現在は、医療法人東山会調布東山病院内科・リウマチ科として勤務。日本リウマチ学会、日本内科学会、日本感染症学会、日本東洋医学学会所属。『女医+(じょいぷらす)』所属。