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大根は葉とセットで食べて栄養をまるごと摂取!切り方・保存方法も徹底解説【管理栄養士監修】

鍋に汁物にと大活躍の大根。1年を通じて食べられますが旬は冬。これから甘みを増してますますおいしくなる季節です。捨てがちな葉にも栄養がたっぷり含まれているので、ぜひ上手に活用しましょう。栄養情報に加え、料理に合わせた上手な切り方や、みずみずしさを保つための保存方法を管理栄養士の中村りえさんが徹底解説します。

酵素やビタミンが豊富!大根の栄養情報

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大根の栄養をまるごと活用できる食べ方は?

大根は95%が水分の、みずみずしい野菜。消化酵素であるアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素を含んでいます。

すりおろすことで細胞が分解されて活性化するので、肉、魚、揚げ物やお餅に大根おろしを添えて食べるのは理にかなった食べ方といえます。

また、調理前の下処理として、大根おろしを魚や肉にまぶしておくと、酵素の働きでやわらかく仕上がるという意外な使い方も。ぜひ試してみてくださいね。

また、大根に含まれるビタミンCは熱に弱い栄養素なため、ビタミンCを効率的に摂りたいなら生で食べるのがおすすめです。

大根の葉にはビタミンなどの栄養素がたっぷり

大根の葉は捨てずに使っていますか? 大根の葉にはβ‐カロテン、ビタミンC、カルシウム、葉酸、鉄などたくさんの栄養素が含まれています。β‐カロテンは体内でビタミンAに変換され、肌や粘膜の健康維持や体を酸化から守る働きがあります。不足すると暗闇で物が見えにくくなる夜盲症を引き起こす原因になります。β‐カロテンは脂溶性ビタミンなので、油を使った調理で吸収率がアップ。炒め物などで食べるのがおすすめです。

また、大根の葉に含まれるカルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで吸収率が高まります。ビタミンDを含むしらすなどの魚類、きのこ類などと調理するといいですよ。

糖質やカロリーが低い大根はダイエット中でも安心

大根は水分が多いので食べ応えがありますが、100gあたりのエネルギー量は18kcal、糖質は2.7gと低いのでダイエット中でも安心して食べることができます。大根は脂質、たんぱく質、でんぷんの消化を助ける酵素が含まれているので、むしろダイエット中の食事には上手に活用したい野菜です。

辛み成分であるイソチオシアネートはがん予防に効果が期待できるといわれています。これは揮発性のある成分。すりおろして時間が経つと有効成分が減ってしまうので注意してください。

おいしく食べるための大根の下ごしらえ

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大根の部位による使い分け

大根の下のほうは辛み成分が多く含まれており、葉のほうに近づくにつれて辛みが少なく、甘みが強くなります。1本丸ごと買った場合は料理に合わせて選ぶと各部位をよりおいしく食べることができます。1/2カットの大根を購入する場合も、使いたい料理に合わせて上半部、下半分どちらにするか選ぶと良いでしょう。それぞれの特徴とおすすめの調理方法を併せてご紹介します。

大根 下ごしらえ 部位

・上部(葉に近い部分) 

葉に近い部分は辛み成分が少ないので、大根おろし、サラダなど生食で。水分が多くみずみずしい食感です。

・中部

辛みと水分のバランスがよい真ん中の部分。おでんや煮物に使ってもおいしく、炒め物にするとシャキシャキとした食感を楽しむことができます。

・下部(先端に近い部分)

辛み成分が多く含まれており、繊維質が多い根元は薄く切って使うみそ汁やスープに入れると食べやすいです。水分が少なく味が染み込みやすい特長を活かして煮物にするのもおすすめ。キリっと辛みの強い大根おろしを楽しみたい方はこの部分を使ってくださいね。

料理に合わせて!大根の切り方解説

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煮物、みそ汁、サラダなど様々な料理に活用できる大根。切り方によって食感や火の通りが変わるので、料理に合わせて切り方を変えてくださいね。

いちょう切り

いちょう切りはいちょうの葉のような形に切る方法です。汁物、炒め物などに使いやすい切り方です。

大根 切り方 いちょう切り
  1. 大根を5cmほどの長さに切り、皮をむく。縦に4等分に切る。
  2. 平らな面を下にして置いたら、端から同じ厚さで切る。

細切り・千切り 

千切りは細切りよりも細く切ったもの。サラダなどの生食にも向いています。火が通りやすいので炒める場合は調理時間を短めにします。

大根 切り方 細切り・千切り
  1. 大根を5cm程度の長さに切り、皮をむく。
  2. 大根を縦に置いて、繊維に沿って3~5mm幅に切る。
  3. 少しずつずらして重ね、端から3~5mm幅に切る。

2、3の工程でそれぞれ1~2mm幅に切ると千切りになります。

短冊切り

短冊に似ていることから名前がついた短冊切り。火が通りやすいので汁物、炒め物に向いています。

大根 切り方 短冊切り
  1. 大根を5cm程度の長さに切り、皮をむく。
  2. 皮をむいた大根を縦において1~2cm幅に切る。このときの厚さが短冊切りの横幅になるので、料理に合わせて変えてください。
  3. 薄切りにしたものを端から1~2mm幅に切る。

大根の下茹で・面取りって必要?

下茹でをすると、味の染み込みが断然よくなります。下茹での際は水ではなく米のとぎ汁を使うと、とぎ汁に含まれる糠(ぬか)が、大根特有の苦みとえぐみを吸着してくれます。雑味が抜けるため、だしなどの繊細な味がしっかり感じられる仕上がりになりますよ。

下茹での際は、鍋に米のとぎ汁と大根を入れてから火にかけ、竹串がすっと通るまで20分ほど茹でます。茹でた後、水にさらすとさらにアクが抜けます。

大根は比較的繊維が多い野菜なため、煮崩れ防止という点では面取りをしなくても特に問題はありません。しかし面取りをすると口当たりがよく、見た目も美しく仕上がります。好みや料理に合わせて選択しましょう。

面取りする場合は切り口の角に包丁を入れて大根の周りを一周、薄く切ります。包丁が苦手な方はピーラーを使うと簡単にできますよ。

おいしさ長持ち!大根の保存方法

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葉は分けて保存が正解、使いきれない場合は冷凍も

葉がついた大根が手に入った場合は、葉を切り落として別々に保存します。

大根はラップやポリ袋に包んで立てて保存します。1本そのままの状態で大根が野菜室に入らない場合は2等分にしてラップで包み、立てた状態で保存します。カットしたものは切り口が乾燥しやすいので早めに使い切るようにしてください。

使い切れない大根は冷凍保存することもできます。いちょう切り、千切り、輪切りなど用途に合わせて切って冷凍すると便利です。調理するときは冷凍のまま料理に使って。煮物にするときは冷凍した大根を使うと味の染み込みが良くなります。

また、おろした状態でも冷凍ができます。必要な分だけ使えるので便利。いずれも冷凍してから1月以内に使い切りましょう。

傷みやすい葉はどう保存する?

β‐カロテン、カルシウム、ビタミンCなど栄養素を含む大根の葉もぜひ活用して。根と葉を切り離したら、大根の葉の切り口に湿らせたキッチンペーパーを当ててポリ袋に入れて保存しましょう。根元から切り離した葉は萎びやすいので早めに使います。

使い切れない場合は生のまま、または茹でたものを刻んで冷凍しておくと、凍ったまま味噌汁や炒め物に使えます。冷凍したものは1カ月以内に使い切ってくださいね。

撮影:田中 麻以(小学館)

 

【参考】

・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・中村 宜督, Cancer chemoprevention by isothiocyanates, Environ. Mutagen Res., 26: 253-258(2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jems/26/3/26_3_253/_pdf
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
・農林水産省「北陸農政局」今月の園芸特産作物: 10月 だいこん
https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201610.html
・JAグループ「とれたて大百科」秋・冬の旬野菜ダイコン
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=4
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店

(すべて最終参照日 2020/10/07)

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